非日常な日々1

生き物はジリジリと間合いを詰め、

俺はガラス片を手にその生き物が飛びかかるのを待つ。

そうして、

俺もジリジリと。

摺足で後退しあの乗客達が逃げられるように少しでも時間を稼ぐ。

そして生き物が俺に飛びかかる!

それと同時に俺もガラス片を全力で投げる今度は口に刺さった。

ありゃあ、痛いなんてものじゃあないな…。

自分でやったのにグロい事この上ない…。

そして、足元に落ちてるガラス片をもう一枚取り、

次の手に備える。

これで諦めればいいが、

このわけわからん生き物はそれ程利口ではないだろう…。

そう思ってたらその生き物は諦めずに飛びかかるっ!

そして大きく開けた口にもう一枚ガラス片をお見舞いした。

その生き物は口に刺さったガラス片を抜こうと必死に悶える。

その隙にもう一枚ガラス片を取ろうと、

屈もうとした時、血濡れのガラス片が目の前を通り過ぎた、

そして俺の足に深々と刺さり、激しい痛みが襲う…。

あまりの痛さに膝をガラス片の散らばる床に付き、

「ぐうっ!!」痛みに悶える、

あの生き物にこんな知性があるなんてなぁ…、

こりゃあ歩けそうもないな…。

でもあの人達さえ逃げられればいいや…。

膝立ちになりながらも、

俺はガラス片を取り最後の悪足掻きといった感じでガラス片を一枚一枚取り、

それを生き物に向かって次々に投げるが、

力が上手く入らないせいで生き物に刺さらない…。

ここまでか…?

そう思った次の瞬間後ろから物凄い銃撃の嵐が舞起こりあの生き物を蜂の巣にした…、その瞬間俺の意識はぷつりと途切れた…。

そうして何時間意識がなかっただろうか…、

次に目が覚めた時には、

知らない天井を見ていたそしてベッドに寝かせられている…。

ここは病院だろうか…。

周りには医療用の器械が沢山ある…。

そして看護婦さんらしき人が立ってる…。

「ここは…?」

無意識にそんな言葉が出た。

それに反応する医療従事者の人達が一斉に俺に向く。

そして、

「あぁ…目を覚まされましたか!」

そう言って看護婦さんらしき人達はほっとした表情で俺の顔を見る…。

看護婦さんのひとりが病室出て、

「私、先生に知らせてきますっ!」

そうして脚に激痛を感じ呻き声をあげる、

すると看護婦さんが「貴女は脚に深くガラス片が刺さったんですよ?

しかも、

膝にもガラス片のカケラが細々と出血量も大量にですよ?

あのまま目を覚まさないじゃあと思いましたからね…?」

看護婦さんの心配そうな表情に一言「すいません…」

と謝罪する。

ふと、

同時に気掛かりな事を思い出す。

「あのっ!俺が逃した人達は無事なんですか!?」

そう言うと看護婦さんは「落ち着いてください」

と落ち着いた口調で言う。そして病室の外から

「おいっ!お嬢ちゃんは無事なのか!」「あの人は無事なんですか!?」「俺はあの嬢ちゃんに助けられたんだっ!一言でもいいから礼を言わせてくれっ!!」

「あの人が居なかったら今頃どうなっていたか…」

老若男女の人達の声が…。そして確信した、

あの人達は無事に逃げられたんだな…、と、ひと安心した。

看護婦さんが一言「英雄さんですね~」そう言って茶化すが、

ひと安心した俺はそのまま寝にはいってしまった…。

そして、その晩不思議な夢を見た。

ガラス片の刺さった脚に、

仄かに緑色に光る猫ちゃんが引っ付いていた…。

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