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第1429話 昔の戦争の原因を教えてもらいました
第1429話 昔の戦争の原因を教えてもらいました
エルケリッヒさんに獣人の国との、戦争の発端となった出来事を教えられる。
間違えて相手国の耳や尻尾に触れてしまい、掟を破った事が原因らしいが……詳しいユートさんがいなかったため、獣人の掟を知らなくて酌量の余地はあるかもしれないけど。
そういえば以前、ユートさんがリーザを見て獣人に関する事を話してくれた時、戦争はこちらが完全に悪かったとも言っていたし、その事があってから監視……もとい、国内を動き回っているユートさんと連絡をつけたり居場所を把握するために、護衛が付いたんだったか。
何人目かはわからないけど、ルグレッタさんもその一人なんだろう。
「私も、その頃は獣人の掟を知らなかったため、やってしまった者はあまり責められんがな。だが、その爪痕はまだ残っているのだよ。おかげで、長年の付き合いがあった友を失った」
「友ですか……」
寂しそうに言うエルケリッヒさんを見るに、腐れ縁とかではなく、親友だったんだろう。
ただ、失ったという言い方が少し気になった。
戦争が原因であれば、友が亡くなった……と言うんじゃないかな? と思ったから。
「失ったというのは?」
「戦争で亡くなったわけではないからの。友は、発端となった獣人の尻尾や耳を、友好と勘違いして褒めた後に触れたのだ。戦争の発端として……そして罪人として処罰されたわけだな」
「そういう意味だったんですね……」
やった事は耳や尻尾を触っただけ。
だけど、戦争の発端となったんだから処罰されても仕方ないか……。
本人としては、その気が一切なかったとかは関係なくな。
戦争が短い期間だったとはいえ、それなりに多くの人が犠牲になっているだろうし。
「今頃どこかで生きているのか、それとももうすでにこの世にはいないのか……」
「え?」
「む?」
懐かしむようなエルケリッヒさんの呟きに、思わず声を漏らす。
そんな俺に、どうしたと言わんばかりの声と共に目を向けるエルケリッヒさん。
処罰されたと言っていたけど、生死はわからないのかな?
「えっと、処罰されたのでは?」
「うむ、そうだが……これまでの働きと、本人は何も悪心のない行いだったため、温情が与えられてな。戦争が短期間で終わったのも大きいが、財産などは全て没収のうえ、平民に身を落とすという処罰だ。そこらの世間知らずの貴族であれば、野垂れ死ぬこと間違いなしの処罰だな。まぁ、友はそれでも生きていくような者ではあったから、どこかで生きているかもしれん」
「な、成る程……」
処罰であって、処刑ではないわけか。
ただ確かに、全てを没収されているから当然お金もないわけで、そんな状態で放り出されたら魔物のいるこの世界、生き続けるのは結構難しいだろう。
それに、実質追放的な扱いなわけで、自分の事を知っている人が多い場所には居づらいだろうし、必然的に旅をしなければいけなくなりそうだ。
馬や馬車を借りるお金もないから、サバイバルができるならともかく生存確率はかなり低そうだ……エルケリッヒさんの友人だし、言い方からはできる人だったんだろうけど。
「まぁ、処刑するのとそう変わらんな。苦しみが長引くか短くて済むかの違いでもある。感じ方はそれぞれだろうが。あと本来なら、国外追放とするところでもあるのだが、他国に対して問題を起こしたため国外に放逐するのも問題があろうとな」
この国の出身者、追放されたとはいえ元要人……つまりほぼ間違いなく貴族だった人が、別の国で問題を起こしても困ると判断されたんだろう。
昔の事だし、処罰に対して何が正しいかまではわからない俺には、どういう話し合いや判断が下されたのかまでは、エルケリッヒさんが話す内容から察するしかできない。
もしかしたら、他にも処刑する方がという人もいたかもしれないし、何かしらの考えが働いているかもしれないし。
「ふぅ……」
と、そこまで話してエルケリッヒさんが溜め息を吐く。
古い友人の事を思い出しているのだろう。
もう会えない相手と考えると、ここまで話してくれただけでも少し辛い思いをしていたのかもしれないな。
「ありがとうございます、知らない事を教えて下さって。戦争があった、という事は聞いていましたが詳しくは知らなかったので」
「なに、獣人の子を引き取っているタクミ殿だからな。知っておいた方が良いだろう」
座ったままではあるけど、エルケリッヒさんに頭を下げて感謝しておく。
戦争のない日本からきた俺は、それがある国だと考えるだけで不安な気持ちもあったからな。
原因がわかれば、戦争になった理由もわかるし……気を付けていれば避けられる事もできる。
まぁ、戦争するかどうかは、王様とかが考えることかもしれないけど。
身近なところで、ちょっとした争いにならないためにも、注意すべき事を知るのは大事だからな。
相互理解のためってところだ。
「リーザは俺とは別の人に、物心つく前に拾われたので獣人の掟とかはわからないみたいですけど、だからといって、他の獣人に対して同じように接するわけにはいきませんから」
「うむ、そうだな」
「私も、リーザちゃんがそうだからと言って、他の獣人もとは考えないように気を付けます」
俺の言葉にエルケリッヒさんが頷き、クレアも自分に言い聞かせるよう呟いた。
「タクミ殿であれば、レオ様がいるという点だけで獣人からは全て許されそうだが、気を付けるに越したことはないな」
「さすがに、そこまでレオばかりに頼るわけにはいきませんよ」
レオに視線をやりながら言うエッケンハルトさん。
リーザはともかく、デリアさんとかはやっぱりレオに対して特別に見ていたから、エッケンハルトさんが言うようになんとかなるのかもしれない。
けどだからってレオ任せというのもなぁ……許してもらえるからといっても、やってはいけない事をやっていいというわけでもないから。
まぁデリアさんは、むしろ頭を撫でて欲しそうにしていたし、一緒に耳を撫でて欲しそうにしていたから再会してもそこまで気を遣う必要はないかもしれないが。
聞けば尻尾も触らせてくれる気もするし。
フカフカとして触り心地良さそうではあるけど、さすがに無理に触らせてもらおうとまでは思わないからな。
とりあえず、エルケリッヒさんの話してくれた事、知らなかった事で間違えてしまった人物と起こってしまった事を覚えておいて、今後別の獣人に会った時に気を付けておけば良さそうだ。
本来獣人がいる事そのものがかなり珍しい公爵領で、別の獣人に会う事があるのかはわからないけど。
リーザやデリアさんは、凄く特殊な例だ――。
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