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第1405話 自分の考えを語ってしまいました
第1405話 自分の考えを語ってしまいました
「父親の跡を継いだ後の事に関しては……そうだね、これからテオ君が何を感じて何を思うか次第じゃないかな?」
「これから、ですか?」
「うん。もちろん、これまでテオ君が学んだことも大事だし、父親を見てそうするのが相応しいと思った部分もあると思う。けど、これからテオ君が経験する事は、これまでになかった事ばかりだ」
「……確かに。シルバーフェンリルに触れる事ができたり、それを従える人とこうして話したり……それからあんなに大量のフェンリルを近くで見れたり。初めて食べるハンバーガーという物もありました。全部、これまでになかった事です」
ハンバーガーはともかく、俺と話す事やレオ、フェンリル達に関しては俺が言いたい事とちょっと違う方向性だ……あと、レオは相棒だと心の中で訂正しておく。
というか、経験して学ばなければいけない事でもないからな。
そうではなくても身分を隠して生活するのなら全てとは言わなくても、初めての事がいっぱいあるはずだ。
「レオ達の事はともかく、この屋敷での生活や村の人達との交流。オーリエちゃんはすぐにリーザと仲良くなれていたけど、テオ君だって村の子供達と仲良くなれるかもしれない。もちろん遊んでみる事だってね。大人達と親しくなって話してみるのもいい。そうして話して、色んな経験を得たテオ君がどう考えるか。どういった事を成し遂げたいのか……これまでの自分だけじゃ不安でも、これからの自分を加える事で、立派な人になれるかもしれないって事だよ」
「生活と皆との交流。それから、話したり経験した事を……ですか」
「うん。立派な人とは言ったけど、無理になる必要はないんだ。自分でなろうと思ってなれるものじゃないし、それは周囲の人が判断する事だからね」
こうすれば立派な人、あれを成し遂げたら立派……なんて考えはあるけれど、実際それをした時に本当に立派だと自分で言えるかは別問題だ。
意外と、傍から見ていて立派だと評価される人物程、自分の事を立派だとは言えないし言おうとしない人の方が多い……気がする。
「だから、もし何か困った事があれば周りに相談。俺でもいいしクレアでもいい、それこそ屋敷の使用人さんでも、村の人達でもいい。初めての事が多いテオ君が迷う事はいっぱいあると思うけど、周りの人達の誰かは必ず解決策を持っていると思う。大事なのは、経験するのに自分が全てどうにかするのではなく、誰かに相談して意見を聞いてみる事。そうした方が、経験として活かせて行けるんじゃないかって思うんだ」
まぁ自分でやり遂げてこそという部分もあるだろうけど、テオ君にはあまり有効な考えじゃないと思う。
真面目だから、できる事は自分でなんとかしようと既に考えているようだし、思いつめるとさらなる重圧になる気がするから。
ちなみにこの事は、俺自身の経験談というよりもティルラちゃんが一人でラーレを巻き込んで暴走した時に、使用人さん達の話を聞いて考えた事だ。
相談して欲しい、できる限りで支えたい、と漏らしていた使用人さんが多かったみたいだからなぁ……。
「あ、そうだ。テオ君にこの言葉を」
「言葉ですか?」
「『聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥』って言葉がね、俺やユートさんがいた世界にあったんだ。知らない事を誰かに聞くというのは、立場とかもあって恥ずかしかったりもするかもしれない。けど知ったかぶりをしていては、何も得られない。もし知らないままでいて、後々恥ずかしい思いをするなら、その時誰かに聞いておいた方がいいだろうってね」
細かい事を言うと少し違うかもしれないが、大体そんな感じの言葉だ。
経験がどうの、という話をしているから「百聞は一見に如かず」とかそのことわざに続く言葉の方が、相応しかったかもしれないけど。
でもまずは、考え込むよりも誰かに意見や知識を求める方が、優先されるべきかな。
両方はさすがにこの場では詰め込み過ぎだと思うし、真面目なテオ君は重く受け止め過ぎてしまいそうだからなぁ……また別の機会にしよう。
「『聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥』……ですか」
「うん。何が言いたいかというと、俺自身もまとまっているとは言い難いんだけど……溜め込んで、自分一人だけで考えてどうにもできなくなるくらいなら、ちょっと恥ずかしいなんて思っても人に意見を求めて、知識を求めて、なんとかする方法を考えようってね」
ことわざを例に出したけど、要約すると俺が言いたいのはこうなる。
知識豊富な人……頭に浮かぶのは説明好きなセバスチャンさんだけど、それでも一人の知識や考えというのは限界があるから。
失敗を恐れずなんでもやってみるのも大事だけど、できれば失敗しない方がいいに決まっているからな。
特にテオ君が懸念している事に対しては、失敗できない事の方が多そうだし。
それなら、周りに頼りになる大人が多い事を知って、恥を忍んで意見を求める方がいいだろう……失敗した方が大きな恥になるし、それこそ「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」だ。
頼りになる大人に関しては、俺は力になれないかもしれないが、ユートさんとかエッケンハルトさんとかエルケリッヒさんとか、両親もいるわけだからな。
「僕一人で考えるのではなく、周囲にちゃんと相談して決めていく。そういう事ですね」
「うん。テオ君なら大丈夫。こうして俺の話もちゃんと受け止められているからね」
「それは、タクミさんが話しやすくて……レオ様やユート様のように、凄い方だからですよ」
「ははは、話しやすいと言われるのは嬉しいけど、俺は本当にすごい人ではないよ。多分テオ君が真面目だから、そうやって俺が話した事も真剣に考えているから」
「そうなのでしょうか。僕が真面目……わかりません」
「自分がどうだっていうのは、自分だからこそわからないのかもしれないね」
俺も人から真面目だとか言われる事は、これまでにも何度かあった。
けど自分にその自覚はない……こういう、特に性格に関する事は自分でわからない事の方が多かったりするからなぁ。
というか、それをユートさん達は知っていて、真面目同士でとか考えて任せる事にしたんじゃないかとか、頭の片隅で邪推する。
まさかなぁ、けどユートさんならあり得るか――。
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