【大感謝!510万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第1223話 ヘレーナさんの新作料理ができました
第1223話 ヘレーナさんの新作料理ができました
ヘレーナさんが後ろにいる料理人さん達を促し、持っていたお皿に載っている物を見せる。
二種類の料理があり、一つは大きめの平皿に乗った平べったい……揚げ物?
クレアが大きいと言ったのはその揚げ物の方で、人の顔くらいの面積があった。
もう一つは、こちらも平皿に入っている白いソーセージで、一緒に透明なガラス製の小皿が二つ載っていて、そちらには赤色のソースと黄色のソースがそれぞれ入っている。
多分、赤色はケチャップソースで、黄色はマスタードソースかな。
好みで、ディップソースを付けて食べるための物だろう。
「こちら、揚げてある方はシュニツェ。ハンバーグ用にミンチ肉を準備している際に、ミンチではなく引き延ばして使ってみてはどうか? という発想で試作いたしました。パンの粉を付けて、ラードで上げた物になります。こちらのソースを付けてお召し上がりください」
「平べったい揚げ物に、黒いソース……?」
シュニツェと呼ばれた揚げ物は、わらじ揚げのように平たく幅広の物。
ラードを使ったと言っているから、植物油ではなく豚脂(とんし)をを使ったって事だろう……多分、オークからだと思われる。
オーク、フェンリル達が獲って来なくても、定期的に散歩中のフェリー達が遭遇して狩って来るからなぁ、ハンバーグ用のミンチ肉をと言っていたけど、他にも使える物がないかと試行錯誤した結果だろう。
黒いソースは……中濃ソースのようにドロッとしているけど、それとは違う、というか黒さが違うな。
これは、中濃ソースなどをよく見ていたから、わかる事だろうけど。
ともかく、その黒いソースは……わからない、俺の知識にはないソースだ。
「こちらは、グレイビーソースと名付けました。肉類を調理する際に出る汁を、他の食材と合わせて煮込んだ物です」
「グレイビー……あぁ!」
肉汁ソースって事か。
グレイビーは確か、肉汁って意味だったはずだから。
「やはり、タクミ様はご存じでしたか……」
「あ、いえ……知っていたというよりは、言葉の意味を考えてってだけです。見た事も食べた事もありません」
もしかしたら、日本とか地球では探せばあるのかもしれないけど……俺はグレイビーソースなんて知らない。
シュニツェは、もしかしたらシュニッツェルの事かもしれないけど、こちらも名前と豚カツに似ている料理? と聞いた事があるだけで、料理そのものは実際に見た事も食べた事もない。
わらじ揚げなら食べた事はあるけど、それとは違うんだろう……あれは、鶏肉を使われる事が多いらしいし。
「そ、そうですか! ~っ!」
俺の言葉に、喜色満面の笑顔を浮かべたヘレーナさん。
喜びをかみしめるように、言葉にならない声を出して俯いた。
シュニッツェもグレイビーソースも、俺が知らないってだけなのに……見れば、お皿を持っているから大きな喜びを表現できないだけで、他にいる料理人さん達も満面の笑顔を浮かべていた。
「それで、もう一つの……白いソーセージ、かしら?」
「あ、はい! こちらは、焼くソーセージではなく茹でたソーセージです」
「ワフ! ワフ!」
喜んでいるヘレーナさんに対し、クレアは別の料理人さんが持っているお皿、その上に載っている白いソーセージに興味が移ったようだ。
見た目からほぼそのままだけど、ソーセージと聞いてレオの反応が凄い。
さっきから、シュニツェや白いソーセージ、さらにソースなどの美味しそうな匂いが、俺にもわかるくらい漂っているからな。
「あら、ヘレーナの事だから、今までとは違う調理法を試したと思ったのだけれど、それだけの違いなのね?」
「こちらは、調理法こそ特別ではありませんが、使われている物が他と違うのです」
「ほぉ、それはどういう物を使っているのですかな?」
興味をそそられたのか……いや、最初から興味津々の表情は隠していなかったけど、セバスチャンさんが会話に加わってきた。
ヘレーナさんの話によると、これまでのソーセージとは別の生き物……まぁ、こちらもオークなんだけど、その腸を使った肉詰めという事らしい。
オークの腸、と聞くとちょっと嫌悪感を抱きがちだけど、仕留めたオークのうち特に綺麗だった腸を念入りに洗って使っているとか。
ただ、これまでの物よりも腸そのものが柔らかいらしく、焼くと裂けてしまう事が多く内部の肉がはみ出したり見た目があまり良くなかったと。
それなら茹でてみよう、と考えて作られたのが白いソーセージ……ヘレーナさん命名、ヴァイスソーセージだ。
豚の腸を他のソーセージよりも使う塩を少なくして、茹でる事で白くなるんだとか……白いソーセージという物の存在は知っていたけど、こちらもシュニツェと同じく食べた事はない。
あと、白くなる理由も違う気がするけど、それはともかくだ。
こちらは塩分が少なく味が薄いため、ディップソースを付けたらしい。
塩が少ない影響で、保存もあまり長くはできなくて保存食には向かないと。
まぁそれはハンバーグも似たような物だから、シュニツェもヴァイスソーセージもハンバーグから着想を得て作られたって事になるか。
保存できる事よりも、味や見た目を変えて美味しい物をと考えた結果でもあるわけだからな。
「ヴァイスソーセージ……これはそのまま食べると薄味で、物足りなく感じますね。けど、ソースを付けると変わった味がして面白いです」
「そうだね。複数のソースを用意して、好みやその時の気分で味が変えられるのはいいかも」
「美味しいです!」
「うん、美味しいねティルラお姉ちゃん」
まずはヴァイスソーセージを試食。
皆の前に料理人さんがそれぞれ白いソーセージと、ディップソースが載った器が置かれる。
ソースを付けずに食べると、クレアが言っているように薄味で物足りないが、ソースが塩分の少ないソーセージの味を引き立てているように感じた。
途中の味変もさる事ながら、好みのソースを使えるので多くの人に受け入れられると思う……複数のソースを作れる環境や材料などがあればだけども。
ティルラちゃんやリーザも、美味しそうにディップソースを付けて頬張っている。
すぐにお皿に遭ったヴァイスソーセージがなくなりそうだ。
ちなみにディップソースは、予想通りケチャップとマスタードとほぼ同じ物だった……ソースに関しては、これから色んな種類を試す予定らしい――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます