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第927話 村長さん達への説明はセバスチャンさんがやってくれました
第927話 村長さん達への説明はセバスチャンさんがやってくれました
ヨハンナさん達は、俺の事も村長さんに伝えたらしい。
カナートさんに支えられながらだけど、俺にも深々と頭を下げられた……公爵家の関係者、となるとこうなるかぁ。
薄々何かを感じていた村長さんには悪いけど、やっぱり色々と隠して村に来たのは正解だったな、と苦笑してやんわり今まで通りで……と伝えながら思った。
そんな事もありつつ、レオの紹介やリーザの紹介で村長さんが腰を抜かしそうだったりしながらも、簡単な挨拶を終え、村の中へ。
その際、子供達も含めて集まった人達全員が、クレアやレオに対して平伏したりもしたけど、ランジ村でエッケンハルトさんやユートさんとの一件を見ていたので、大袈裟に驚かずに済んだ。
驚いたは驚いたんだけど。
ともあれ、取り乱す事もなく親方さんとか、ペータさんが目を見開いて俺を見ている中、村長さんやカナートさん、クレアにセバスチャンさんといった、限定的なメンバーで村長さんの家へ。
そこで、会談というか……色々な事を話し合うからだ。
……フィリップさんの予想通り、俺も一緒にいないといけないみたいだ。
レオは、リーザと一緒に子供達の相手をする事にした……大きさの問題で、村長さんの家にレオは入れないからな。
デリアさんもそちらに残り、フェリーも同様だけどこれは村の人達がフェンリルに慣れてもらうためと、無害である事を伝えるためだな。
ヨハンナさんは俺達と一緒だけど、ライラさんや他の人達も一緒だからなんとかなるだろう。
ちなみに、ティルラちゃんもレオやリーザと一緒に、子供達と遊ぶ方に行こうとしたけど、クレアに止められた。
一応、公爵家の者として来ているので、会談の場にはいた方がいいとか、ティルラもそろそろ対外的な事を経験した方がいいという事らしい。
まぁ、ティルラちゃんの苦手な、勉強の時間みたいなものだな。
シェリーはリーザと一緒だったので、そちらを羨ましそうに見ていたけど……また遊べるから、今は我慢だ、ティルラちゃん!
――村長宅で、村長の息子夫婦も一緒に形式的な挨拶を終えた後、この村に来た理由や様々な事を話す。
本来は、俺のわがままで一般の暮らしを見てみたい……という事だったはずなんだけど、どうやらランジ村で薬草畑を始める事もあって、周辺の村を視察しているという名目になったようだ。
クレアがランジ村に移るので、周辺の街や村々の状況は重要とかなんとか。
こっそりと、セバスチャンさんが「丁度良かったのです」と耳打ちしてくれた……貴族家の人って、移り住む際には色々考えたり、やらないといけない事が多いんだなぁ。
俺やティルラちゃん、村長さんの息子夫婦はほとんど黙って聞いているだけだったけど。
セバスチャンさんが率先して話すから、俺から言う事はなかったし、ティルラちゃんは話を聞いておく事が重要だったらしい。
年齢的にはまだ先の事だけど、公爵家のご令嬢としてある程度は施策とかを考える時期に差し掛かっている、という事だろう。
息子さん夫婦は……外から楽しそうにはしゃぐ子供達や、レオ達の声が気になっている様子だけど……まぁ、こっちは村長さんと話せればいいから、大丈夫だと思う――。
――村長さん達との話が終わり、レオやリーザ、デリアさんに誘われてティルラちゃんと村の子供達に混ざって遊び、それぞれ夕食を取った後に俺が滞在している家に集まった。
家に入らないので申し訳ないが、レオやフェリー達は森付近で屋敷から一緒に来た使用人さん達と野営をしてもらっている。
家に集まったのは、村長宅で泊まるのを固辞したクレアとセバスチャンさんとライラさん、村にいる間色々お世話になったデリアさんと俺だ。
フィリップさんやヨハンナさん、ニコラさんもいるけど、そちらは集まるというより護衛だからな。
ティルラちゃんは、ラーレに乗ってきたり村長さん達との話を一緒に聞いたり、子供達と遊んで疲れたんだろう、二階の一室でリーザと一緒に寝ている。
「すみません、タクミさんも疲れているでしょうに……」
「いや、クレアのように移動してきたわけじゃないから、大丈夫だよ。まぁ、急な事だったから驚いたけど、村では随分とのんびりできたから疲れとかは大丈夫」
「そうですな……タクミ様はともかくとして、フィリップなどは楽しく過ごせたようですからな?」
「っ!」
今のテーブルに集まって座り、クレアが最初に俺へと謝る。
ラーレが空を飛んでいる時は驚いたけど、疲れているという程じゃないし、村ではほとんどのんびりしていただけだから、問題ない。
クレアの隣に座っているセバスチャンさんは、ニコラさんからの報告を聞いたんだろう、フィリップさんの方に視線をやっていた……ライラさんはジト目だ。
フィリップさんの方は、首を痛めないか心配になるくらいの勢いで、顔を逸らしていたけど。
「では……ある程度の事は、合流した際に話しましたけど……こちらの事などですね」
「そうだね。こちらからもまだ全部話せていない事もあるけど……その、ヨハンナさんから聞いたんだけど、ラーレに乗ってティルラちゃんが来る事や、フェリー達に乗って来た事はお試しだとか……?」
「そうですな。まず……タクミ様が屋敷から出立した後の事から話しましょうか……」
「はい、お願いします」
簡単には、合流した時に話したけどまだ不十分なため、お互いに話さなければいけない。
そのために、今こうして集まっているわけだな。
まずはクレアやセバスチャンさん達の事だけど、俺が屋敷を出発してブレイユ村に向かったのと入れ替わりに、エッケンハルトさんから連絡……というか手紙が届いたらしい。
その手紙には、セバスチャンさんが報せていた駅馬の事や、街道整備に関する許可などが書かれていたとの事だ。
「タクミ様が出発した翌々日には、ラクトスで街道に関する話が進み始めました……」
ラクトスは東西に伸びる街道の中継地点でもあるので、起点として既存の街道を整備するとともに、各村へも繋げてはどうか、という話になったみたいだ。
駅馬の事は置いておくとしても、道の整備をする事で馬や馬車が滞りなく進めるようにして、人や物の行き来を活性化させるのが狙いらしい。
また、本当に村と繋げても問題ないか、公爵家の人員で各村に視察や調査を初めたらしいけど、それの一つとして俺がブレイユ村を視察するとしたので、クレア達が来て俺の事を明かすようにしたとの事。
というよりそもそも、最初はクレアがラクトスからの街道整備を見るためだったらしく、それならとついでに色々試してみようと考えたとか――。
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