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第897話 『雑草栽培』を活用する事にしました
第897話 『雑草栽培』を活用する事にしました
薬草採取をするらしいデリアさんが、森の入り口に残り、俺やフィリップさん達も一緒にいるが……。
ふむ、どうせデリアさんを雇う事はほぼ決まっているんだし、薬草畑の方で働いてもらわなくても、リーザの近くにいればわかる事だから、今のうちに話してしまった方が良さそうだ。
幸いにも、木こりさん達がいなくて、森の近くには他に人はいなさそうだしな。
村だと、タイミング的に話すのが難しかったりもするから……家で食事中でもいいんだが、防音意識がないため外へ漏れ聞こえて誰かが偶然、という事もないとは言えない。
例え叫んだとしても、誰かに聞かれる事がない今が、一番いいだろう。
「えっと、デリアさん。その薬草ってどんな薬草なの?」
「えーっと、イヌホツキっていう薬草で……」
……もしかしなくても、イヌホオズキの事かな?
デリアさんから聞いた薬草の名前と特徴、大体高さ数十センチに育ち、葉は厚めで卵みたいな形。
花は白くて黒い小さな実を付けるが、その果実は毒があるので食べてはいけないが……その植物を、果実や根と一緒に全部磨り潰して使うと、冷やしてくれるらしい。
セバスチャンさんに借りた、薬草の本にも同じような薬草の事が書かれていたのを覚えている。
特徴と名前から、なんとなくイヌホオズキという薬草を彷彿とさせる……あれは確か、腫物に塗布して使ったり、少量を服用する事で解熱作用があったりしたはずだ。
まぁ、使い方によって薬にする過程は違うんだろうけど、さすがにそこまで詳しくは知らない。
ともあれ、それなら本に絵が描かれてもいたし、デリアさんから詳細を聞いたのですぐに『雑草栽培』で作る事ができそうだ。
でも……。
「デリアさん、村長さんは重い物を持とうとして、腰を痛めたんだよね?」
「そうです。腰に痛みが走ったと言っていました。暑くもないのに汗を掻いたり、痛くて最初は動く事もできなかったんです」
「そうなんだ……ふむ……」
「どうかしたんですか?」
「いや、ちょっとね……」
聞けば聞く程、村長さんの腰はぎっくり腰じゃないかと思う……素人判断はいけないんだろうけど、ある程度時間が経って、この前話した時のような腰の痛み以外は元気そうな様子を見れば、特にそう感じる。
少なくとも、腰を痛めている以外は何かの病気だというわけではなさそうだ。
村長さんがぎっくり腰だとして、ある程度痛みに耐えれば動けなくはない状態になっているようだから、最初の段階は越えたんだろう。
確かあれって、最初は炎症状態だから冷やすのが効果的だけど、しばらくすると炎症が収まるので温める方が効果的だったはず……まぁ、伯父さんがぎっくり腰になって、その時に調べたんだけど。
ともかく、村長さんの様子を思い出せば、一番痛みが強い時期は過ぎ去っているようなので、炎症は既におさまっているはず。
だったら、イヌホツキを使って冷やすよりも、温めた方が治りが早いんじゃないかな?
えーと、確か温める薬草もあったはず……。
「デリアさん、ラモギモドキって薬草は知っている?」
「え、ラモギなら知っていますけど……モドキ、ですか?」
「そう、モドキ。ラモギに似てて、時折薬師が間違う事がある薬草らしいんだけど……」
「いえ。ラモギなら何度か見た事がありますけど、それに似た薬草は見た事がありません。ですがそれが、村長の腰と何か関係が?」
デリアさんに聞いてみると、ラモギモドキの方は知らない様子。
ラモギモドキと言う薬草は、その名の通りラモギにそっくりの見た目なんだが、効果が違う薬草だ。
これもセバスチャンさんに借りた本に載っていた……知ったのは、偶然作ってしまったからだけど。
以前『雑草栽培』で研究している際に、そういえばラモギとそっくりなヨモギって、体を温める効果があったっけなぁ? なんて考えていた時に作ってしまった物だ。
地面から生えている時は、よく見れば違いがわかるからラモギとは違う薬草ができたってわかったんだが、乾燥させるとラモギと完全に同じ見た目になるうえ、服用する際に磨り潰して粉状にすると違いは全くわからなくなってしまう。
混ざったりしてしまうと見分けが付かないので、薬草を扱う際には要注意と後で調べた本に書かれていた。
ちなみにラモギモドキは、病を治すラモギとは違ってその効果はなく、食べたり塗ったりすると体を温める効果があるらしく、乾燥させずに磨り潰して使うようだ。
使用方法や効果が違うが、見た目が似ているために間違ってラモギとして服用する事があるみたいだが、毒ではないので間違って食べても求めた効果が出ないだけなのが幸いか。
毒と間違って、とかになったら大変だからな。
とは言っても、見分けられずに薬師が販売してしまうと信用がなくなってしまうし、病も治らないので買った人も苦しんでしまうため、注意が必要だ。
ラモギを作る時は、余計な事を考えない事で間違えて栽培してしまわないように気を付けているから、俺は今のとこ大丈夫だけど。
「一応、薬草畑ではラモギも作るし、似た薬草があるって知っておいた方がいいだろうから、見せた方が早いかな」
「見せた方が? 今、その薬草を持っているんですか?」
「いや、持っていないよ。はっきりとそうだとは言えないけど、もしかしたら村長の腰は、冷やすんじゃなくて温めた方がいいのかもと思ってね。そのための薬草だよ」
「温めた方が……ですけど、持っていないのならどうやってその薬草を? イヌホツキならこの辺りに生えている事が多いんですが……もしかして、今から森の中に入って探すとかですか? まぁ、アウズフムラの狩りではそこまで疲れていないので、構いませんけど……」
『雑草栽培』の事を教えるついでに、ラモギモドキを作るのを見せればいいかなと思う。
不思議そうにこちらを見るデリアさんに、両手を上げて今その薬草を持っていない事を示す。
しかしデリアさんは、森の中に薬草を取りに行く提案だと勘違いしたようだ……確かに、アウズフムラを見つけるのに苦労はしなかったし、走り回ったデリアさんはまだまだ元気そうだから、今から森の中に入るのも大丈夫そうだ。
けど、わざわざ森の中に入る必要はない……まぁ、余計な時間を割くよりもさっさと見せた方が早いかな――。
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