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第884話 ニャックの交渉相手が来ました
第884話 ニャックの交渉相手が来ました
「ニャック、と言えば伝わるって言っていました。タクミさん、村長とニャックの事を話していたんですか?」
「あー……成る程。確かにニャックの事は話したよ。この村に来たついでだし、戻る時には買って帰ろうと思ってね」
「あ、そういう事ですか。えーっと、あちらの方達はニャックを気に入ったのですか?」
そういえば、昨日村長にニャックの話をした際、取引の意味合いを込めて明日か明後日って言われていたっけ、村長さんは、本格的に交渉するつもりなのかもな。
ニャックと聞いて理解し、首を傾げるデリアさんに買うつもりだと答えておく……怪しまれたから、苦し紛れの言い訳代わりにとは言いづらい。
あちらの方達、というのは屋敷の人達や公爵家、主にクレア達の事だろう。
「女性に特に人気だね。あと、料理にも加えやすいからそちらでもかな。大量にあるから、厨房で働く人なんかは料理をする途中に、ちょっとつまんで食べるとかしているみたいだ」
「へぇ~、そうなんですね。ニャックは私も好きですけど、他の場所でも好きになってくれると、嬉しいです!」
自分の村で作っている物だから、クレア達が気に入ってくれたのが嬉しいんだろう。
俺も、ギフトのおかげが大きいけど、薬草を作っているのでその気持ちはなんとなくわかる……自分かその近しい人が作った物が褒められたら、嬉しいもんだ。
ちなみに、料理人さんがつまんでいるというのは本当で、ヘレーナさんから聞いた。
今までは簡単で大量に作れるふかし芋が多かったらしいんだけど、塩で味付けしただけなので食べづらく、不評だったところにニャックが登場。
味としては薄いけど、食べやすくその後も口の中に残らないのが、好評らしい……料理の味見をするからだとか。
ヘレーナさんもそうだけど、料理人さん達は特別な事情がない限り、クレア達の食事が優先で食べるのが遅くなってしまうからなぁ……小腹が減った時に、ちょっとだけつまめるものが必要なんだろう。
「村長は、俺達が借りている家にって言ったんだね?」
「はい。村長はまだ動けないので、代わりの人らしいですけど。とにかく、家に戻って待っていれば、そのうち来ると思います」
「わかった。っていっても、今伝言が来たんだからもう少し大丈夫そうだね」
「そうですね。夕食の準備を始める頃に戻れば、大丈夫だと思います」
「わかった。それじゃデリアさん、ニコラさん……行こう!」
「はい!」
「え、某もですか!? あぁ、こういうのはいつもならフィリップ殿のはずなのに!」
尋ねて来る人が誰かはわからないけど、村長の代わりに来た人を待たせてはいけない……けど、伝言が来てすぐとも言われていないし、猶予はあるだろう。
デリアさんや俺に伝えたと、村長に伝えにも言っているだろうしな。
ともあれ、まだもう少し時間があるだろうし、子供達もそろそろおとなしくしているのに飽きている様子が見え始めていたので、ニコラさんとデリアさんに声をかけて、今度はこちらから子供達に向かって突撃。
ニコラさんが何やら抵抗している様子もあったけど、手を引っ張って一緒に子供達の所へ向かった……確かに、フィリップさんがいたら突撃したりされるのは、一人で担当していたんだろうなぁ。
フィリップさん、お酒を飲んで休んでいて運が良かったのかもしれない――。
「邪魔するぞ。お、皆揃っているようだな……って、デリアもいるのか」
「あれ、カナートさん?」
「カナートおじさん。うん、私もタクミさんと一緒に話を聞こうと思って。一応私、タクミさんの部下になるんだし」
「そういえば、そんな話を聞いたな」
子供達の相手を終えて家に戻り、回復したフィリップさんも一緒に村長から遣わされる人を待つ。
少しして、日も落ち始めた頃に家を訪ねて来たのは、カナートさんだった。
デリアさんは、カナートさんには話をしているようだけど、部下……部下かぁ……いや、確かに俺が雇うわけだから間違ってはいないけど、なんとなく慣れない響きだ。
まぁ、これまで部下らしい部下を持った事がない、下っ端だったからなんだけど。
「でも、カナートさんはどうしてここに? 今日は一日姿を見なかったので、来ないと思っていましたけど……」
「なに、俺が村長からの遣いってだけの事だ。ニャックに関してだろ? 余剰分だがラクトスに売りに行って、しかも全て売れたって実績を買ってだな。これまで、ニャックに関しては村の中だけで食べていたから、実際に売る段階での反応は、俺が一番わかっているだろうってな」
「成る程、そういう事ですか」
ニャックの交渉という事で、どんな人が来るのか内心緊張していたんだけど、カナートさんが相手だったのか。
カナートさんはこちらの事情を知っているし、これならやりやすいな。
「まぁ、ほとんどタクミや、あのお方が買った物だからなぁ……残った樽の分は、順調に売れてくれたがな。交渉と言われても困る所だったが、タクミ達が相手なら俺もやりやすいとな」
「そうですね、俺も今同じ事を考えていました。カナートさんなら事情を知っていますし、ニャックが欲しい理由もわかってもらえるでしょう」
「やっぱり、あのお方は気に入ってくれたのか? さすがに、大量に買ったからそれで不評だったら、村の心証が悪くなるか、心配だったんだ。あ、いや、あの方達がそんな事で何かをするとは思っていないぞ?」
「あの方……あぁ、はい。もちろん皆に好評で、特に女性に人気でしたよ。それに、あの人達は自分が決めて買った物が期待外れだったとしても、変に考える事はないですね」
あの方と言うのが一瞬誰かわからなかったが、ニャック繋がりでクレアの事だとわかった。
家の中だから大丈夫だと思うけど、外に漏れていたりするかもしれないし、変に公爵家のお嬢様の名前を呼んでいるとなったら、怪しまれるかもしれない配慮だろう。
デリアさんもそうだけど、カナートさんにも気を遣ってもらってありがたい限りだ。
あと、不評だった場合の事を考えて、カナートさんは少し不安だったようだけど、クレア達はそれくらいで怒ったりはしないからな……むしろ、自分の決断が間違っていたと、落ち込みそうなくらいだ。
そこはカナートさんに安心してもらい、ニャックの話を本格的に始めようと思ったんだけど……そういえば、村の中で食べている事がほとんどらしいけど、それって外に売れるくらいの数が用意できるんだろうか?
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