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第714話 不意打ちでレオを風呂に入れました
第714話 不意打ちでレオを風呂に入れました
フェンリル達の寝床に関しては、セバスチャンさんが用意しようとしていた部屋はなしになり、裏庭でフェリー達三体のフェンリルが寝る事になった。
フェリー達よりも大きいレオが、部屋で過ごせるのだからフェンリル達も大丈夫だろうという事だったんだが、向こうからするとそこまでしなくても……と考えたらしい。
あと、外で風を感じながら寝る方が気持ちいいとの事だ……レオとシェリーはそうかな? と言うように首を傾げていたけど。
屋根の上にはラーレがいたりもするから、外に強力過ぎる魔物がいるのは今更だし、レオがいるおかげでおとなしくしてくれるのなら問題ないか。
さらに、俺が作った簡易薬草畑を見守る執事さんやメイドさんが、撫でて過ごしたり風除けになってくれるようなので、むしろ俺の方から感謝を伝えた。
レオが後ろにいたせいか、やたらとフェリーが恐縮した様子だったのは、ちょっと微笑ましくはあったが……後ろで、威圧するのは止めような、レオ?
「さて、それじゃ寝る前に……風呂に入るぞ、レオ?」
「ワフ!?」
フェンリル達を裏庭に残し、部屋の戻ってから呟いた俺に驚いた声を上げるレオ。
もうゆっくり寝る気分だったようで、床に足を伸ばして転がろうとした途中で体が固まったのが面白い。
今日は帰ってきたばかりで、ゆっくり休むために剣の素振りはお休みだから、レオを風呂に入れる時間は十分にある。
エッケンハルトさんに鍛錬は怠らないよう言われていたのもあって、帰る途中の馬車旅でも夜にティルラちゃんと剣の鍛錬をこなしていたんだが、さすがに戻ってきたばかりだから今日くらいは休むべきだとクレア達に言われてしまったからな。
「私もママをお風呂に入れるー」
「そうだな、リーザがいてくれるとレオも嫌がったりはしないだろうな。よしリーザ、部屋の外に行って誰かメイドさんを呼んで来てくれ。近くにまだゲルダさんがいると思うけど、いなかったら他の人でもいいぞ?」
「うん、わかったー。行って来るね、パパ、ママ!」
「ワウゥ……」
俺のお願いに頷いて、元気よく部屋を出て行くリーザとは対照的に、元気のない声を出すレオ。
それでも、以前のように嫌がる素振りを表に出さないのは、意思疎通できるようになってレオが風呂で嫌いな事をしなくなったおかげと、リーザがいるからだろう。
あまり、情けない姿を見せたくないみたいだからな。
その後は、リーザが呼んできてくれたゲルダさんや他の使用人さんと一緒に、レオを風呂に入れて洗ってやり、俺も風呂に入って汚れを落とした。
ライラさんはランジ村までついてきた疲れがあるだろうと、屋敷に到着してからはお休みとなっているためいないが、レオの洗い方は皆に伝えていてくれたらしく、滞りなく行われた……レオ以外は楽しそうだったな。
もちろんだが、レオを洗う時は全員濡れてもいい服装で、今回はリーザ以外体が濡れるのを避ける事ができた。
レオをタオルで拭いている間に俺が風呂に入り、交代でゲルダさんとリーザが風呂へ入り、全員が汚れを落として綺麗になった後は、湯冷めしないようにベッドで横になって毛布をかける。
リーザはフェンリル達が来てはしゃいでいたり、料理の手伝いもして疲れていたようで、横になった途端に寝てしまった……幸せそうに、自分の尻尾を抱いて寝る姿がかわいらしい。
リーザを見ながら、レオにお休みの挨拶をして寝ようとしたが、レオは不意打ち気味に風呂に入れられたため、すでにふてくされて背中を向けて丸まっていた。
明日機嫌が直ってなかったら、美味しいハンバーグを作って食べてもらおうかな……と考えながら、リーザの横で就寝した――。
―――――――――――――――
翌日、屋敷を離れていた間の薬草を作って、リーザとミリナちゃんとの調合や、ヘレーナさんの料理手伝いと少し忙しい時間を過ごして、昼食の時間。
「グルゥ、グル~」
約束通り、フェリーにはハンバーグを用意してあげると、尻尾をブンブン振って喜んで食べていた。
なんとなく、マルチーズだった頃のレオに好物を食べさせた時の事を思い出した。
そのレオは、フェンやリルルと一緒に喜んでいる様子なので、用意した甲斐があったかな。
もちろん、リーザやティルラちゃん、ラーレやシェリーにもちゃんとハンバーグを用意したので、美味しそうに食べている。
俺やクレアは、オーク肉を焼いた物をサラダにしてドレッシングをかけた、さっぱりした物を食べている。
ダイエットとかはともかく、連日ハンバーグというのも飽きてしまうし胃がもたれてしまうからな……子供達やレオ達はそんな心配がなさそうなくらい、食べる事に夢中になっているけど。
「タクミ様、数日後……五日後にラクトスへ行く予定を入れても、よろしいでしょうか?」
「え、あ、はい。特に予定はないでしょうから大丈夫ですよ。でも、ラクトスで何かあるんですか?」
「畏まりました。タクミ様が雇うに足る人物かどうか、希望者を集めて一度話をしておいた方がいいだろうと考えましてな? 以前お渡しした資料の他に、追加も用意しているのですが……やはり実際に会って話をした方が、判断するには必要でしょう」
「あぁ、それはそうですね。セバスチャンさん達が選別してくれているので、怪しい人物はいないでしょうけど、ちゃんと会ってみないとどういう人物かわからない事が多いですから」
食事が終わりそうな頃合いで、セバスチャンさんから声をかけられ、予定を入れてもいいか尋ねられる。
俺の予定といえば、今のところ簡易薬草畑を見たり、鍛錬をする以外にはレオやリーザと遊ぶくらいしかないため、特に問題はない。
セバスチャンさんが入れる予定とは、早い話が面接をしようという事だな。
以前渡された資料には、年齢や性別の他に、それぞれの人の簡単な略歴や住んでいる場所などが描かれていた……まぁ、顔写真のない履歴書のようなものだ。
全員今住んでいる場所を離れて、ランジ村で働く事にも同意しており、仕事を持っている人もいるがそれを止めてまで来てくれるという人達で、さらにセバスチャンさんを始めとした公爵家の人達が見てくれているから、怪しい人物がいないのは信頼できるな――。
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