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第488話 魔法と刀でオークへ立ち向かいました
第488話 魔法と刀でオークへ立ち向かいました
「ライトエレメンタル・シャイン!」
「ギュオォォ?!」
「よし、狙い通り……ではないけど、勢いは落ちた!」
光を発するだけの魔法。
俺が最初に習って、ランジ村でも活用した魔法を放ち、オークの目を眩ませる。
光自体は一瞬だし、周囲が明るいので、目を潰すまでには至っていないが、怯ませる事には成功したようだ。
それでも、怒って興奮しているオークは、突進を止めない……勢いは衰えたから、狙い通りでなくとも十分だ。
「ギュオァァァ!!」
「ふっ!」
勢いは衰えたが、そのまま突進して来るオーク。
その目は光の効果が薄かったらしく、はっきりと見開かれて俺を睨んでいる。
ようやく、フィリップさん達から俺に標的を移したようだな。
まぁ、興奮しているのは相変わらずだが……。
そんな事を考えながら、自分が冷静であると認識しつつ、持っている刀を少し低めに構えてこちらへ突進するオークに向かって地面を足で蹴った。
経験というのはやはり馬鹿にならないな……興奮しているオークが目の前にいてこちらへ向かって来ているのに、冷静にどうしたら有効な手立てかを考える事ができる。
ランジ村のような危機的な状況でもなく、たった一体のオークを相手にするだけなら気負う事もない。
「せいっ!」
「ギュオ!? ギュアァァァ!!」
オークに向かって駆けだした勢いのまま、少しだけ横にずれて体をオークとすれ違いさせる。
その瞬間、持っていた刀を腰の位置から振り下ろす。
狙いは、オークの足。
どれだけオークが興奮していても、どれだけこちらへの攻撃意志が強くとも、足がなくてはまともに動けない。
まずは動きを止めるべきだと判断した俺は、すれ違いざまに低く両手に持った刀を、さらに低い位置へと振り下ろす。
刀は、狙い通りオークの右足へと当たり、すんなりと切断した。
斬った感触や手応えはあったが、剣の時よりも少ない……それだけ刀の切れ味が鋭いという事なんだろう。
オークの足は短かったため、予想以上に低い場所を斬る事になり、すれ違った後は多少体制が崩れてしまった事は、反省点かな。
右足の膝から下を切断されたオークは、悲鳴に聞こえる叫び声を上げながら、突進したままの勢いで前へと倒れ、ズザザザザ! という音と共に、地面の石や土を巻き込みながら一、二メートル程度進んだあたりで停止した。
頭の中に、ヘッドスライディングの形を思い浮かべたが、ここにはタッチするべきベースもなければ、オークが手を伸ばしてもいない。
「ギュ……ギュオオォォ!」
「おっと、立たれる前に! っ!」
「ギッ! ………」
「ふぅ……」
痛みに耐えるためか、体に力を入れているのか、オークが叫びながら手を地面に付いて起き上がろうとしていた。
右足の膝から下がないから立てるのかどうかは疑問だが、それでも魔物相手に油断をする事はしない。
すぐさま全身を振り返らせ、刀を逆手に持ってオークの頭部へ深々と突き刺す。
短い悲鳴を上げ、沈黙したオークはそのまま微動だにする事がなくなった。
とりあえず、動きを止めて止めを刺す……という基本に沿った形で戦えたが、一度刀を振った後に体勢が少し崩れたりと、やっぱりまだまだだなと反省しながら、刀に付いたオークの血を振り払って息を吐きつつ鞘へと収めた。
とりあえず、見本になったかどうかはともかく、オークを倒す事はできたな。
「見事! オークへの魔法で怯ませ、勢いを弱めてから刀の一閃。そして油断せず、すぐさま止めを刺す……鍛錬の成果が出ているようだ」
「エッケンハルトさん。はい、オークと戦った経験もそうですが、鍛錬を付けてくれたおかげです」
「なに、全てはタクミ殿の実力だ」
「ワフッワフッ!」
「レオも喜んでくれるか、ありがとうな」
刀を収めてすぐ、少し離れた場所で見守っていたエッケンハルトさんが大きく声を上げた。
そちらに向かって歩きつつ、鍛えてくれたエッケンハルトさんに感謝。
レオも、尻尾を振ってオークを倒した事を喜んでいるようで、お礼をするように撫でる。
「えっと、ティルラちゃん? 大丈夫?」
「……あ、はい! 大丈夫です!」
レオを撫でながら、ティルラちゃんの方を見てみると、俺が止めを刺したオークをジッと見たまま固まっていた。
声をかけると、ハッとなって返事をしてくれたけど……本当に大丈夫だろうか?
「まぁ、初めてオークを間近で見たのだから、衝撃が大きかったんだろう。先にタクミ殿が戦うようにして、正解だったな」
「そうですね……」
オークの肉を見た事はあっても、魔物として五体満足なオークを見た事はなかったんだろう。
意外に突進して来るのが速い事も含めて、特徴なんかは伝えていたはずだが、それでも実際に見てみると衝撃だったんだろうな。
まぁ、十歳の少女が初めてオークを見たんだから、そうなるの仕方ないか。
「……タクミさん、お怪我はありませんか?」
「クレアさん。大丈夫ですよ、冷静に対処できたので怪我とかはしていません」
「そうですか……良かった。……それにしても、タクミさんが戦う所は初めて見ましたが、凄く鮮やかでした!」
「そうですか? 俺よりも、エッケンハルトさんとかフィリップさん達の方が、鮮やかにオークを倒せると思いますけど……」
「私やフィリップ達は、経験が違うからな。鍛えてきた日数も違う。だが、短期間でこれだけの動きができるのは凄いと思うぞ?」
エッケンハルトさんと、ティルラちゃんの様子を見つつ話していると、川の近くで見守ってくれていたクレアさんが、こちらに歩み寄って声をかけた。
優しい人だから、オークと戦った俺の事を心配してくれてたんだろうが、とりあえずは怪我もなく倒す事ができた。
俺が笑顔を向けながら大丈夫な事をアピールすると、ホッとした息を吐きつつ、褒められた。
ちょっと照れ臭くて、俺よりもエッケンハルトさん達の方が……と言い訳のように言ってしまうのは、許して欲しい。
褒められ慣れてないというのもあるが、戦いで褒められるなんて、経験した事がない事だから特に気恥ずかしい。
いやまぁ、日本人で戦い慣れてる人の方が少ないから、仕方ない事かもしれないが。
スポーツではなく、やるかやられるかの戦いだしな。
さらに追い打ちのように、エッケンハルトさんからも褒められ、クレアさんもコクコク頷いていて、照れ隠しに苦笑するくらいしかできない。
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