第48話 朝食にまた新しいメニューが追加されました



 薬草と思われる物を食べて強くなった気分……運動能力を上げる? 身体能力を上げる? ほぼ同じことか……。

 もしかしたら……俺……ロエに続いて凄い薬草を栽培したのかもしれない……。

 とりあえず、研究のために明日にでもまた裏庭で栽培させてもらおう。

 今回の薬草は、何の情報が無くてもただ適当に考えてただけで栽培出来た。

 『雑草栽培』の使い方を試すためにも色々考え直す必要があるかもな……。

 俺は明日、『雑草栽培』の試し方、試す物等を考えながら、早めにベッドに入って寝る事にした。


「……ちょっとレオ、薬草を食べて元気なのはわかったからおとなしくしてくれ……」

「ワフワフ!」

「……わかったわかった……ちょっとだけ遊んでやるから。少ししたらちゃんと寝るだぞ」

「ワフー!」


 早く寝ようとしたのに、元気になってしまったレオと深夜までしっかり遊んでしまった。

 満足したレオは、体の上半分をベッドに乗せたまま寝てしまった。

 俺はこの機会にとレオのモサモサの毛を枕にして寝た、凄く気持ち良いなこれ……。

 レオの抜けた毛とかで枕とか作れないかなぁ。

 でも今まで抜けた毛を見かけないな……シルバーフェンリルは生え変わりとかないのか?

 そんな事を考えながら、俺はレオの毛を枕に朝までぐっすりと寝た。


―――――――――――――――――――


 朝起きて、まだベッドに体を半分乗せたまま寝てるレオを起こす。


「……そんな態勢で寝て体が痛くならないのか?」

「ワーフ」


 すんなり起きたレオは、欠伸をしながら体をベッドから降ろし、前足を突っ張って伸びをする。

 レオの毛を枕にしてたおかげか、熟睡出来て体の調子も良い。

 ベッドから起き出して、部屋の外に待機してたライラさんにお湯を用意してもらう。

 そのお湯で顔を洗い、いざ髭剃り!


「……少し肌がヒリヒリするな……ぼちぼち慣れて行こう」


 髭も剃り終わり、着替えも済ませて身だしなみを整えた頃、部屋のドアがノックされ、外から声が聞こえた。


「タクミさん、レオ様、起きてますか?」


 この声はティルラちゃんだな。

 今日も朝からレオに会いに来たんだろう。


「起きてるよ、どうぞ」

「失礼します!」


 俺が中から声を掛けると、ティルラちゃんが元気良くドアを開けて入って来る。

 元気だなぁ。


「おはよう、ティルラちゃん」

「ワフ」

「おはようございます! タクミさん、レオ様!」


 朝の挨拶と一緒に一礼。

 10歳くらいの女の子とは言え、公爵家のお嬢様。

 礼儀作法は一応教えられてるみたいで、クレアさんみたいとまでは言えないが、それなりに綺麗な礼をしてる。

 俺とレオに挨拶をし終えたティルラちゃんは、さっそくとばかりにレオへ抱き着く。

 レオもティルラちゃんの顔に頬を擦り付けて朝のスキンシップ。


「タクミさん、レオ様。朝食に行きましょう。準備が出来てるみたいです」

「ありがとう、ティルラちゃん。わざわざ教えに来てくれて。それじゃ、皆で一緒に食堂に行こうか」

「ワフー」

「はい!」


 ティルラちゃんはわざわざ朝食の用意が出来た事を伝えに来てくれたみたいだ。

 ……まぁ、レオに早く会うための口実でもある気がするけど、そこは気にしない。

 ティルラちゃんに懐かれて、レオも嬉しそうだしな。

 俺とレオ、ティルラちゃんは部屋を出て食堂へ向かう。

 途中、ティルラちゃんをレオの背中に乗せてやったりと、軽く遊ぶようにしながら移動した。


「タクミさん、レオ様、おはようございます」

「タクミ様、レオ様、おはようございます」

「クレアさん、セバスチャンさん、おはようございます」

「ワフーワフワフ」


 食堂に入り、先にテーブルについていたクレアさんと、その後ろに控えているセバスチャンさんに挨拶をする。

 いつもの席へと俺とレオが座り、ティルラちゃんはレオから降りてクレアさんの隣へ。

 テーブルには既に美味しそうな朝食が並べられていた。

 シュークリームのような生地と一緒にソーセージを入れて焼き上げられた料理がグラタン皿の様な物に入っている。

 えーと、これは確か……トード・イン・ザ・ホールっていう料理だったかな。

 ヘレーナさんがまた頑張ったんだろうなぁ。


「では、頂きましょう」

「頂きます」

「はい!」

「ワフ」


 クレアさんの号令で、皆が料理を食べた。

 お皿を空にして朝食が終わり、お茶を頂いて食後のティータイムかな……と思ったら、まだ続きがあった。

 トード・イン・ザ・ホールの生地を使ったデザートが用意されていたからだ。


「これはまた……甘くておいしいですね」

「そうですね。まさかヨークシャー・プディングが出て来るなんて……」

「甘くておいしいです!」

「ワフワフ!」


 ヨークシャー・プディング。

 トード・イン・ザ・ホールと同じ生地を使って作られた付け合わせの料理だったかな。

 本来は肉料理と一緒に食べる物だったと思うが、これはホイップバターが乗せられて、甘いデザートにしてある。

 食感はふわふわでもありもちもちでもある。

 クレアさんを始め、ティルラちゃんも美味しそうに笑顔で食べてる。

 レオも甘い物好きだから、クレアさん達に負けない勢いでがっついてる。

 やっぱり女の子は甘いものが好きなんだなぁ。

 そういう俺も結構甘いものが好きな方だがな。



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