第5話『プリン争奪』

俺と健也は伊勢さんのお父さんとバイトとして異世界部に入ることとなった。

そして、2人の部屋に戻ると


「……」

「……」


2人は睨みあっていた。

そこにはRT・ゼンさんもいた。

そしてなぜか一つしかないプリン

あ……察した……取り合ってるな……

そして、それを見ていたTXO型-12は

完全に呆れかえっていた。


「なあ、RT・ゼンさん……どうしてこんなことになってるんですか?」


と聞くと


「まあ、来たばかりである程度の事情は察したようですが詳しく聞きたいのなら説明しましょう!!」


そして、RT・ゼンさんは


「実はですね、私TXO型-12を見るの初めてなんですよ!! なんせ最近この職に就いたばかりなので!!」


と言った。

俺は


「それとこのプリン争奪が始まりそうな臨戦状態にどんな関係が?」


と聞くと


「魔術と科学のどちらが勝つか気になるじゃないですか!!」

「そんな理由で職場の預かっている娘さんで遊ばないでください!」


と俺はさすがにツッコんだ。

健也は


「プリンをもう一個買ってこようか?」


というと

RT・ゼンさんに言うと


「ははは、それ私が作ったプリンですので売ってませんよ」


と完全に詰んだ状態だった。

TXO型-12は


「嬢ちゃんエゲツないなあ、ワイの力を見たいからって……」


と言って2人を見る。

そして、


「プリンは渡さない!! 絶対!! これを渡せば何か私の何かがぷつんと切れる気がするもん!」


と先に加奈さんが言った。

そして加代さんは


「私こそ渡さない!! 私の魔術を受けてみよ!! TXO型-12!! マジカルパワー全開!!」

「あいよ……しゃあないな」


と言ってその場でおっぱじめようとしていた。

それを見てRT・ゼンさんは


「でしたら闘技場へと向かいましょうか?」

「闘技場あるのかよ!」

「てかこのお屋敷の娘さんの事なんだと思ってん駄メイドは!!」


と俺と健也はツッコんだ。

そして


「まあそうやな、この場やと人死にが出るし……広い場所でやろか?」


と言ってTXO型-12は面倒臭そうに言った。

それを聞いて俺は


「いったい何が起こるんだよ……」


と少し恐ろしいと思った。


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そして、闘技場に入り


「さて始まりました! プリン争奪魔術科学対戦!! 実況は私RT・ゼンと!」

「外田健也がお送りします!!」

「観客が俺だけなんですけど?」


とさすがの静けさに俺は何だが悲しくなってきた。

そして


「では選手の入場です!」

「東の虎!! 伊勢加奈!! 科学の力を信じて科学の力を使い魔術に対抗します!」

「西の龍!! 伊勢加代!! 魔術の力を信じて魔術の力を使い科学に対抗します!」


と実況が入る。

そして、それぞれの場所から2人が出てきた。


「今日こそは魔術の力を思い知らせてやる!」

「今日こそは科学の力を思い知らせてやる!」


と言って2人はバチバチの火花を散らす。

そして


「TXO型-12!!」

「あいよ!! 今度こそやな!」


と言って加代さんは


「せどやをらかちてしそ!! てしんしんへ! したわいいわか!!」


と呪文のような言葉と唱えると


「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


と奇声の様な声を上げながらTXO型-12は加代さんの項にまるで寄生するように入って行った。

そして、項から何かボコッとしたものが頭へと進んで行く。

すると


「う!! うええ!! うげえべばばばばばばあああ!!」


と奇声のように呻きだす加代さん

体がどんどんとボコボコと変形していった。

ビリビリビリ!!

と服を破き何故か大切な部分だけは破けなかった。


「何だこれは!! もしこの世界がラノベならばこの作者は変趣味すぎるぞ!! ヒロインに寄生生物を入れて変形させるなんて!! そして嬉しくないチラリ!」

「ああ……たとえこれがラノベではなくても流石に常軌を逸している……」


と俺と健也はドン引きしながら見ていた。

そして


「ぐああああ! うごばあああああ!!」


と言って膨らみながら脇から両サイドに手が2つずつ生えてもともと手だったところは鋏のように鋭くなり尻からはサソリの尻尾の様な物が生えた。

そして


「変態……スコーピオン!!」


と言ってもはや伊勢加代さんの姿でなかった。


「うわー」

「ええええ……」

「美しいです!! お嬢様!」

「「ええ!!」」


RT・ゼンさんは趣味が合うようだった。

そして


「おねえじゃあああああああああん!! わだじいいいいいいいいい!! ごんなにづよおいいいいいいいいいいい!!」


となんか喋り方も人間らしさが失われているような気がする。

すると


「フン、やるわね……なら私は!!」


と言って加奈さん白衣から手を出して


「科学よ!! 我に力を!! 我に叡智を!! そしてあの者に科学の鉄槌を!!」

「プリン如きに!!」


そして、加奈さんは再び白衣に手を入れて注射器を取り出した。


「変態!!」


ブス!! チュウウウウウ!!


と自分の首筋に薬品らしき液体をぶち込んだ。


「うわあああがばんけlんlふぁあjかlっかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


と体を痙攣させて泡を吹く出す。


「やばいんじゃねえのかあれ!!」

「まあ見ておこう!」

「いや! 手遅れになったら!」

「大丈夫です! お嬢様なら!」

「その自信はどこから!」


と俺はツッコみが止まらなかった。

そして、加奈さんの体は加代さんのようにボコボコと膨らみだして徐々に大きくなって言った。

白衣を破きそして例の如く大切な部分だけは破けない。


「これも嬉しくないチラリだと!! 分かってない!! 分かってないぞ!!」

「健也は誰に何を言ってるんだ!!」


と俺はだんだんと疲れ始めた。

そして、加奈さんは加代さんのように別の生き物で無く加奈さんのまま巨大化して


「タイラント……妹よ……覚悟はいいか……」


と言っている。

俺はもはや何が何だか分からなくなっていた。

そして


「ぐばあああああああああああああああああああああああああああああああああ!! おねえじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああん!!」

「じねええええええええええええええええええええええええ!! がよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


と言って闘争が始まった。

完全に怪獣映画……いやよくギリシャ神話の映画である怪物同士の戦いにしか見えなかった。


「グワアアアアンン!!」

「ぎゃああああああああええええええええええええええええええ!!」


加代さんが加奈さんの肩に鋏で挟む。

血を流しながら加奈さんは悲鳴上げるが、


「グアアアアアアアアアアアアアアア!」


と言って

バゴオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

と加代さんの顔面を殴る。


「ギェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!」


悲鳴を上げて尻尾の針で目を突こうとするが


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


と言って尻尾を持った。

そしてそのまま引っ張り上げる。


「ケエエエエエエ! ケエエエエエエ!!」


と悲鳴を上げて加奈さんの足に生えた手で掴み腹に鋏を突き立てる。


「エエエエエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


悲鳴を上げながらも加奈さんは尻尾を離そうとしなかった。

そしてそのまま体と尻尾を引っ張った。


「エエエエエエデエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!! エエエエエエデエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」


と戦いは続く。

俺は


「プリン如きに俺は今何を見てるんだ……」

「プリン争奪だよ」


と俺の言葉に健也は答える。

ブチ!!


「ゲエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!」


と加代さんの尻尾が引きちぎられた。

それと同時に加奈さんの指が

バチン!!

と鋏で切られた。


「グバアアアアアアアアアアアアアアアラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


と悲鳴を上げる。

それを見て俺は


「なあ! 大丈夫なのか!! あれ戻るんだよな! 身体には異常無く戻るんだよな!」


と聞くと


「さあ?」


とRT・ゼンさんは言った。


「はああああああああああああああああああ!!」


と俺は絶叫しながら見ていた。

すると

ブチン!!

と首筋から何か出てきた。


「もう終わりや! お前ら!! さすがに体持たんぞ!」


と言って出て来たのはTXO型-12であった。

すると見る見るうちに加代さんの体が戻って行った。

傷もなく……だが服は破れてエロい状態であった。

すると同時に薬の効果が切れたのか加奈さんの体も同じように戻った。

当然のように傷は無くなっていたというか再生していった。

同じく服は破れてエロい状態だ。

それを見ていた健也は


「これならば分かる。ラノベのサービスシーンだな」

「あれを見てからのサービスシーンはさすがに嫌なんだけど……」


と俺は言って残念そうに言った。

そして、2人は


「糞……引き分けか……」

「残念……次こそ勝つ!」


と言って2人は手を握り合った。


「お互い! ベストを尽くしましてね!」


と言ってRT・ゼンさんは泣いていた。

俺はドン引きして

健也はハアハア言っていた。

そして、


「プリンは分けて食べよう」

「そうしよう」


と言って仲良くプリンを半分ずつに分けて食べていた。

俺は


「最初からそうしろよ」


と口に出して言った。


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2人の部屋に戻りプリンを食べる2人

俺は


「なあ、お前らあの時に記憶ってあるのか?」


とふと疑問に思い聞くと


「「あるけど」」


と答えた。

不思議に思い


「へえ、どんな感じだった?」

「「自分が自分でなくなる感じ」」

「スゲエ嫌だな!」


と俺は絶対あんなのになりたいと思わなかった。

健也は


「加奈さん、アレは何の薬だ?」


と聞くと


「え? 趣味で作った強化剤だよ? 副作用なし、再生機能高める、高揚感、脳内麻薬を分泌して痛みを消す、などの効果があるよ、ノーリスクハイリターンの薬だよ!」


と笑いながら言った。

とりあえずそんな変な薬を作っているのは分かった。

俺は


「じゃあ、加代さんのTXO型-12が入ったのは何?」

「ああ? あれはマジカル変身や」

「明らかにマジカルではなかったよね! 何か寄生生物が入って体を変形させてたよね!」


とツッコんだが


「阿呆が! そんなわけあるか! 是也から何も分からんガキは見たまんまを認識すんねん! いくら目から入る情報が多いからってそれはないやろ!」

「じゃあ何なんだよあれは!」

「ワシが脳に入ってマジカルエナジーを加代の中に注入して加奈自身がイメージした生き物もしくわ動物に変身させるもんや!」

「ええ! 加代さんあんなのイメージしてたの!」

「スコーピオンカッコいい」


と言ってどうやら本当のようだった。

そして、


「ワイ凄いやろ? なかなかこんな凄いことはでけへんでえ!」


と言って芋虫エイリアンっぽい癖になんか偉そうだった。

俺は


「そういやアンタいつ帰るんだ?」


となんとなく気になって聞くと


「はあ? 直ぐには帰れんよ、召喚が解除されるまでや」


と言ってプリンを食べていた。

2人は


「「いいなあ……皆は1個分食べれて……」」


と羨ましそうだった。

するとRT・ゼンさんは


「大丈夫です、まだありますよ、さっきのは見たかったから言っただけです」


と言って新しいプリンを2人に渡した。


「わあああい!」

「ありがとうウウ!」


と言って2人は嬉しそうに食べ始める。

俺は


「さっきの戦いを引き起こした原因にありがとうではない」


と言って疲れながらもツッコんだ。

すると


「ふむ、やはり君の子は使えるな」

「ありがとうございます」


と言って伊勢さんのお父さんと父さんが現れた。


「何だよ、父さん……」


と言って俺は呆れながら父さんを見ると


「いやあ、お前が部活に入ったおかげで父さんは給料が上がった」


と自分の手柄でないことで給料が上がったようだ

それを聞いて俺は


「伊勢さん……どうしてこんな奴に?」


と聞くと


「まあ、確かにそうかもだが息子さんにお世話になるからね」


と言ってかなり御人好しのようだった。

あの時自然を破壊すると言っていた議員だとは思えないぐらいに

なので俺は


「あの? お話良いですか?」


と言うと


「ああ、良いぞ? ここで話せないことのようだね」


と言って俺と伊勢さんのお父さんは別の部屋に移動した。

そして


「で? 何かね?」


と聞いてきたので


「あの……あの時駅で講演していた時自然を破壊するって言ってましたけど……あなたの様な御人好しが何故?」


と聞くと


「ああ、そのことか……あの時も話したんだがこのままこの我が星の自然を守ってもどうせ破壊される……ならば一層の事開発を進めれる場所で人間の生きる方法を私は調べたいんだよ、それに異世界があるならばそこの自然を使えば人間の未来は少しは守れるかもしれないだろ? だから君には異世界部に入って欲しいんだ……さっきも言ったがここまでしか話せない……悪いな……」

「いえ……それは……」


と言った。

何故こんなにも異世界にこだわっているのか分からないが教えられないことは人には多くあるし仕方ないことだと思った。

そして、伊勢さんのお父さんは続けて


「もし今行っている政策が成功したら君にはうちの娘のどちらかと結婚して貰ってもいいぞ」


と言った。

俺はちょっと


「え……それは……」


とあまりいい気がしなかった。

可愛いが異世界のために2人から殺されそうになったし……さっきの戦いを見て結構ゲンナリした。

すると


「ぜひお願いします!」


と後ろから父さんが勝手に承諾した。


「な! 父さん何を!」


と言ったが


「ああ! お前! こんなチャンス滅多にないぞ!! 金持ちの御嬢さんと結婚して少しは俺に楽をさせろ!」

「アンタいつも楽をしてるだろうが!」


と喧嘩しながらも


「君なら娘を預けられる」


と勝手に婚姻を進められてしまった。


「何でこうなるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


俺は絶叫した。

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