第4話『魔術』

土曜日学校が休み普段ならグータラしているが約束が出来た。

その為に俺はある場所へと向かった。

てか……


「地図見たら隣の家だった……ということは……

都市開発計画 議員本社でもあり家でもあるとはいえやはり大きい

そして、RT・ゼンさんの言ってたお嬢様が合の双子姉妹だとは……

と考えながら門まで行った。

そして


「ここが伊勢姉妹の家……」


と聳え立つ建物を見上げた。

すると


「よう、久内、来てたか」


と言って自転車に乗ってやってきた。

健也は


「でも相変わらず凄いなあ、この家は……」


と言って健也も呆気にとられていた。

俺は健也に


「まあ政治家の娘って聞いた俺は昨日の時点で驚いていたけど……」


と正直な気持ちを言った。

すると


「お前の家の隣とはな……」


とびっくりしながら言った。

俺も


「取り敢えず呼び鈴を鳴らすぞ」


と言ってチャイムを押した。

ジャジャアアアアアアアアアアアアアアン!


「!! 何その音!」

「金持ちって分からねえなあ」


と2人は驚いていると


「ようこそ我が屋敷へ……おや? 久内様?」

「いましたか……RT・ゼンさん」


と言って苦笑いをする・

健也は


「知り合い?」

「この子のお母さんと食事に行く約束をしている意味では知り合いですね、ただのお隣ですが」


と言って笑った。

RT・ゼンさんは


「取り敢えずお上がり下さい」


と言って屋敷に案内してくれた。

俺たちは黙ってついて行った。

中では目の光る宝石のような物やあの時の議員さんの銅像などもあった。


「スゲエな……」

「ああ、正直見ることが無いはずの光景が目の前に広がってるぞ……」


と2人はビックリしながら見ていた。

RT・ゼンさんんは


「お嬢様はお部屋におられます、どうぞこちらへ」


と言ってそのまま部屋をノックした。


「お嬢様、お友達をお連れしました」

「「どうぞ」」


と言って2人の声がした。

そして、RT・ゼンさんはドアを開けた。

そこには異様な魔法陣が床に描かれていた。

それを見てRT・ゼンさんは


「なるほど、この事で呼ばれたのですね」


と1人で納得して


「それでは羊の死体をお持ちします」


と言って庭へと出て行った。

それを聞いた俺は


「生贄が必要なのかよ……」


と少しゲンナリしながら聞いた。

すると加代さんは


「まあね、悪魔召喚をする必要がある魔術だから」

「必要のない魔術はないんですか!」


とその言葉を聞いた俺は確認を取ると


「それだともっと時間が掛かるし今の私のマナじゃ2か月ほど学校を休むことになるから悪魔の力を借りる、大丈夫生贄があればあいつら何もしないから」


と言って笑っていた。

加奈さんは


「大丈夫だよ、本当に契約にはうるさいみたいだし、私は宇宙人説を唱えてるけどね」


と言って笑っていた。

俺は


「で、羊の死体を持ってきた後俺ら協力とかした方がいいか?」


と聞くと


「そこで見ていて、今日は見せることが重要だから」


と言って加代さんは魔法陣に不備がないかを確認していた。

健也は


「偉く本格的だよな、なんか興奮してきたぜ」


と言って何故か嬉しそうにしていた。

まあ俺も流石にこんな非日常的なことが起こると思うとドキドキはしている、

と同時に恐怖ある。

これを見てしまうともう後戻りができないのではないかという恐怖が、

すると


「お待たせしました。お嬢様、羊の生首と分けた臓器です」


と言って一瞬にして部屋の中は血生臭くなった。


「ウワ!」

「やば!!」


俺と健也は一瞬にして鼻を押さえた。

それほどまでの異様な臭いはさすがにきつかった。

そして


「じゃあ始めるね、これからはもっと臭いからゴーグル渡すね」


と言って俺ら2人はゴーグルを貰った。

だが加奈さんと加代さんは何故かゴーグルをしていないし、鼻も防護していなかった。

俺は


「2人は大丈夫なのか?」


と聞くと


「うん、大丈夫」

「もう慣れた」


と言ってそして始めた。


「ベントラーベントラースペースピィプル! ベントラーベントラースペースピィプル!」

「それ宇宙人呼ぶ奴!!」

「な! お前もそう思うだろ!」

「黙って! この呪文は悪魔よおいでませの訳だから! ベントラーベントラースペースピィプル!」


と言ってそれを数分続けた。

そして


「我が名は伊勢加代! 悪魔様よ! 我が声に返答したまええええええ!!」

「なあ! これ言葉変えてるだけでほぼ宇宙人の交信呪文だろ!」

「お前もそう思うよな!」

「し!! 何か出てくる!」


そう言って突然光があたり一面を照らす


「「うわああああああああああああ!! 目がああああああああああああああああ!!」」


ゴーグルしかしていなかった俺と健也はもろに目が見えなくなった。

だが


「フン、サングラス便利だ!」


と言って姉の加奈さんの方は全く動じていない。


「来た!」


と喜ぶような声がした。

俺はうっすらと見えるようになり目を開けると


「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


芋虫の様な形をし、牙をむき出しにした気味の悪い生き物がいた。


「うわあああああああああああああああ!!」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

「やあ! TXO型-12!」


と加奈さんが挨拶をした。


「シッ知り合い!!」

「こんなのに!!」

「誰がこんなのや!! 失礼やろ君ら!!」

「喋ったあああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「何や!! 神様が喋ったらあかん法律でもあるんか!!」

「また喋ったあアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


俺と健也はそれぞれ大声を出した。

しかもやたらと萌えボイス

加代さんは


「悪魔さん、ようこそ」


と挨拶をするが


「いや、こいつ今神様って言わなかった?」

「ていうかこいつのどこが神様だよ……悪魔って言われる意味も宇宙人って言われる意味も分かる気がしてきた」


と俺と健也はその宇宙人か悪魔か分からない生き物を見て互いに疑問に思った。

するとTXO型-12は


「ワイが神様じゃダメなんか? 君ら失礼やろ? ひれ伏せ」

「いや、神様って……てか何で大阪弁?」

「流行らしたんワイらじゃボケ!」

「「嘘だろ!!」」

「てか人間に言葉や知識を与えたんワイらやぞ! もっと敬えよ!!」


と言って何かと偉そうだった。

俺も健也も少しイライラした。

だがTXO型-12は


「おい! 聞いてんのか! ガキ共! 全く!! イライラしやがって!! カルシウム足りてへんのちゃうか!!」


と文句を言ってくる。

かなりウザかった。

俺は


「あーはいはい、凄いねえ」


と言って適当に言った。

TXO型-12は


「チ! まあええわ、で? 何や? 加代? ワイ呼ぶん久しぶりやんけ? どないしたん?」


と加代さんに話しかける。TXO型-12

加代さんは


「この2人に魔術を見せてと言われたから今出来る魔術を行使した」

「ああなるほどなるほど、そういうことねー」


と言ってTXO型-12は少しうんざりしていた。

しかし、


「まあええわ、ただ君たちな、面白半分で呼ぶんは止めてくれるかな? さっきまでワイ上司におべっかしてる最中やったんやけど?」


と少し困ったように言った。

俺と健也は


「ああ、そっそうなんですか……すみません」

「そちらの事情も知らず……」


と謝罪をすると


「ああ! ええねんええねん! 子どものやることにいちいち目くじらは立てんようにするから、分かって貰えればと思って行っただけやから!」


と言って普通に許してくれた。

TXO型-12は


「まあせっかく呼ばれたしなんかした方がええか?」


と確認を取ってきた。

だが俺と健也は


「えっと……」

「あまり考えてなかったなあ」


とさすがに本当に魔術が成功するとは思っていなかっ為、いざ何かをすると言われても思いつかなかった。

するとTXO型-12は


「加奈? お前は未だにワイの事を宇宙人やと思っとるんか?」


と聞いた。

加奈さんは


「当たり前でしょ? 私はまだ科学の線を見ているし、君の存在が天から降って来た者と言われるのならば君は宇宙から来た宇宙人の可能性があるってのは目に見える」


と言って自信満々だった。

俺も


「まあ確かに、名前的にも宇宙人っぽいような気が」

「見た目のグロさもなんか宇宙人映画で出てきそうな感じだし」


と健也も言っていた。

TXO型-12は


「はあ、なあ? 君ら? 見た目で判断するのはあまり良くないで? やったらさ? ワイみたいな悪魔だっていないと思うか?」


と聞くと俺と健也は


「まあ、悪魔ならいそうかな?」

「確かにフォルム的にそんな感じはするかな?」


と答える。

TXO型-12は


「はあ、あのな? ワイはな宇宙人ではないんや、それに人間も他の星から見れば確かに宇宙人やけどな? お前らだって宇宙人と言われたらあまりいい気はせんやろ?」

「いや」

「別に」

「そこは嫌やって言えよ!」

「いや、だって他の宇宙からしたらそうなんだし」

「そうだな、嫌がる理由にはならないな」


と言って俺も健也もあまり気にしていないことを伝えた。

すると


「はあ、アメリカ人とか韓国人とか日本人とかあって他の国から外国人と呼ばれるのが嫌って言ってた奴がいたけど、君らはそんなの気にしないタイプやな」

「そうだね」

「まあ、確かに気にしないかな」


とTXO型-12の話に俺らは素直な答えを言った。

そして、TXO型-12は


「まあええは、とにかくワイは神様や、ええかそこは?」


と聞いてきたので


「まあ神様でいいよ、てか何で加奈さんには注意をしないんだ?」

「そうだな、加奈だってお前のことを宇宙人って呼んでるじゃねえか」


と言った。

するとTXO型-12は


「こいつの場合は一応は根拠を持ってワイのことを宇宙人って言ってるからまあいいとしてるんや、だが君らは見た目と名前だけで決めたやろ? それはさすがにワイ的には止めて欲しかったんや、分かる?」


と理由を言ったのでさすがに俺と健也は納得する。

だが俺は質問をした。


「そういえば、なんで加代さんが悪魔って呼んでも怒らないんだ?」


と今度は加代さんが悪魔と呼ぶことを聞いた。

するとTXO型-12は


「それはな、こいつはワイを悪魔を召喚するつもりでこの魔術を行っとるからや、だからええんや」


と言った。

そして、続けて


「それに、ワイが人間たちに力を与えたのも本当や、それに神は力を与えて人類を救う、悪魔は人間の欲望のために力を与えると言われているがどっちにしても人間なんかに力を与えれば力に溺れてその責任を全部悪魔だという考えになるからや、その為ワイらは神でもあるし悪魔でもあんねん」


と言った。

俺も健也も


「まあ、確かにそうかもしれないな」

「俺ら人間ってすぐに調子に乗るタイプが多いし」


と納得した。

すると


「やあ、お客さんかね」

「ああ、久しぶりやん! オッサン!」


と言ってTXO型-12は部屋に入ってきた男性に言った。

すると


「お! お父さん!!」

「ああ、仕事終わったの?」


と言って加奈さんと加代さんが見た。

その人はどうやらあの議員さんで2人のお父さんなのだろう

すると


「おお、もうコンタクト取ったのか? やるな、息子よ」


と言って聞き覚えのある声がした。


「ゲ!! この声は!」


俺は会いたくない人の声によって気分が悪くなった。


「どうしたんだ! 俺を見るなりいやそうな顔をして!! お父さんは悲しいぞ!」


と言って俺の父さんが現れた。

すると伊勢さんのお父さんは


「彼は一応うちの会社の支部に置いているんだ、そこで部長をして貰ってるんだ」


と言った。

そして俺は


「で、父さんの部長としての仕事って何なの?」


と聞くと


「ああ? それは伊勢様のおべっかと仕事を振り分けることだ、後は暇な時間を過ごすぐらいだ、あ! 昨日鳩が交尾していた!」


と突然屑発言をした。

俺はそれを聞いて


「おい、ちょっと待て、それって窓際族じゃないのか?」


と聞くと


「そんなことはない、おべっかと振り分けはちゃんとしているんだから仕事をしていないわけがないだろ!」

「それは単に部下に自分が貰った仕事を押し付けているだけだろ!! てか何でそんなんで部長になれるんだよ!」


と俺は父さんに怒鳴ると


「はあ? そりゃ部下が仕事を終えたら私が上司に仕事が上がったことを伝えてその手柄がそのまま自分に行くからだ、そんなの社会では普通だぞ」


と俺はそんな父さんの発言にがっかりした。


「つまり、俺らは今まで父さんの仕事のおかげで生活で来たんじゃなくて今まで会社の温情で生きて来れたってことかよ……」


と急激に悲しくなった。

父さんは


「こらこら、給料は俺のだぞ? それなのになんだ! その言い草は!!」


と怒り出した。

それを聞いてたまらなくなり


「はあ! それはお前の部下がお前の代わりに仕事をして貰った金だ! お前はただの給料泥棒だ!」


とキレた。

父さんは


「全く子どもってものは……はあ」


と呆れられた。

俺はふと一つの疑問が頭に過った。


「ちょっと待て! ここには仕事の失敗で左遷されたって聞いたけどそれっていったい何なんだ! あんたなら仕事の失敗は全部部下のせいにしてそうなのに!」


と聞くと


「それは俺が仕事をせずにボーッとしているところを上司に見られたからだ」


と当然のように言われた。


「はあ……もう嫌この男……」


と残念な気持ちでいっぱいになった。

俺は伊勢さんのお父さんに


「何で父さんなんかを雇ったままなんですか?」


と聞くと


「こいつのあまりの労基違反を脅しに止めさせることが出来ない、ならばおべっかをしてもらって気持ち良くなった方がいいかと思ったんだ」


と言って屑の使い道を心得ていた。

俺はさすがに


「どんな人間にも使い道があるんだな……」


と尊敬の念を向けた。

するとTXO型-12は


「まあ坊主、あんなオヤジでもお前が利用してやればええんや、子どもは親を選べんけどそれを理由に人生を棒に振る必要はない、世の中にはしっかりとした大人がいるからそんな人を見て育てばええと思うで? それにそんな父親にならないように心掛けるっていうのもええで、ダメな奴がいれば自分がしっかりしなければと思えるからな!」


と励まされた。

だが俺は父さんのダメっぷりを見て


「でもネットでは貧乏人はしっかりとした教育を受けれないから良い企業に入れないとも聞くし俺ってあまり賢いわけじゃないから……」


とネガティブな気持ちになっていた。

するとTXO型-12は


「何やねん、ガキはすぐにネットやテレビの情報に流されるな、まあまだ子どもやから仕方ないか、ええか? 自分の未来なんていつでも切り開けんねんで? むしろそんな情報に乗せられて自分の可能性を潰してしまうのが一番ようないで、失敗を恐れないで挑戦を忘れないようにしな、まあ現代ではそれは難しいかもしれんけど夢を持つことはタダやねんから持つだけもっとけ」


と言われた。

俺は不貞腐れながらも


「分かったよ」


と頷いた。

TXO型-12は


「なんやねん、可愛ないなあ」


と憎まれ口を叩く。

すると加奈さんと加代さんは


「「やり直したいなら異世界に行こうか!」」


と言った。

TXO型-12は


「何や、お前らまだそれ諦めてないんか? まあええけど」


と言って笑っていた。

健也は


「なんか完全に俺蚊帳の外何だが……」


と言って苦笑いをしていた。

俺は


「ごめん……」


と謝った。

すると伊勢さんのお父さんは


「君が生田久内君だね……娘からは聞いているよ、君に話がある、そちらのえっと……」

「僕ですか? 外田健也です」

「そうか、外田君、話があるから一緒に来て貰えるかい?」


と言われたので俺たちはついて行った。


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一緒に行った場所は研究所のような場所であった。

俺は


「ここは?」


と聞くと


「まああの子たちも頑張ってやろうとしていることと同じだよ」


と言った。


「え……まさか……」


と俺は嫌な予感がした。

すると健也は


「伊勢さんも異世界はあると?」


と聞いた。

伊勢さんは


「まあそうだね、無いとは言い切れないね、秘密事項もまだあるから詳しくは話せないが目指す者の1人だ」


と言った。

俺は


「そんな……てかそれってどこから資金でてるんですか!」


と俺は聞いた。

すると


「私はね、株が得意なんだ、そこから出た私のポケットマネーで行ってるから税金ではないよ、当然だ、そんなことに使うことなんて普通は出来ないんだから」


と納得な理由を言ってくれた。

そして伊勢さんのお父さんは


「君たちにはあの子たちがしていることを手伝ってくれないか?」


とむしろ頼んできた。

俺は


「えっと……昨日死にそうになったんですけど?」


と言ったら


「それは昨日私から加代に言い聞かせた、安心してくれ、そんなことはもう起きない」


と言った。

だが俺には他にも理由があった。


「バイトもしたいんですけど……お金もないですし」

「出すよ、給料」

「了解しました」


と俺はすぐに納得した。

健也は


「まあ俺は給料なしでもいいけど」


と言ったが


「いや、出すよ……この子だけに出すのは私のプライドが許さない」


と言って結構良識のある人みたいだ。

俺はこんな人の下で働きたいと本気で思った。

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