オーラバトラー戦記


 あらすじーーーー


 夏休みを利用した飛行機ライセンスの取得のために渡米した日本人大学生「じょう たけし」通称(ジョク)はロサンゼルスまで会いに来てくれた大学の後輩「田中たなか 美井奈みいな」通称(ミイナ)と熱い夜を過ごした。翌日、ミイナをディズニーランドへと送り届けるジョクの運転する二人乗りバイクは轟音を響かせていた。その時、対向車線から滑りくる小型トラックの引き起こした交通事故に巻き込まれ、二人の乗ったバイクは宙を飛んだ。


 ジョクは不思議な時空間の中で夢みながら目覚め落ちる感覚を覚えながら「聖戦士」と叫ぶたえなる声と、意思を聴いた。意識の凝縮を始めたジョクの存在が形をなし異次元をすり抜ける。

 切り開かれた「オーラ・ロード」よりジョクは異世界「バイストン・ウェル」へと召喚されるのであった。



「オーラバトラー戦記」は1986年から1992年に刊行されたTVアニメ「聖戦士ダンバイン」を元にしたファンタジー小説です。著者はダンバインの監督でもある富野由悠季さん。

 主人公は「ショウ・ザマ」から「城毅ジョク」になっておりTVアニメ聖戦士ダンバインから一部のキャラが登場しています。


 城毅じょうたけし、通称はジョク。漢字がなまって、こう呼ばれてる。(一巻一行目)という理由でジョクだそうです。疑問に思ってもジョクと呼びましょう。

 ちなみに、スーパーロボット大戦OGサーガ「魔装機神」シリーズに登場する「カンツォート・ジョグ」という敵がいるのですが、彼はここ由来らしいです。魔装機神を知らない方はまたいつか。



 内容はTVアニメよりも規制が緩いせいか、5巻「離反」まではエログロ展開が多いです。1巻「アの国の恋」では世界観の説明とバイストン・ウェルの蛮族ガロウ・ラン(ガンダムエックスのパイロットじゃねえよ)との戦の始まりがメインとなっております。ジョクが下半身をガロウ・ラン達にひん剥かれたりとかなり衝撃です。


 オーラバトラー戦記というタイトルですが1巻ではオーラバトラーは登場せず、オーラボム「ドーメ」というヒトデのような形をしたオーラマシンが登場します。ダンバインもオーラボム「ドロ」というクラゲのような気持ち悪げな見た目のやつがいて長細い触手の先端に「フレイボム」って火炎弾を装備してます。ドーメは「フレイボンム」という名前ですけどまぁ同じ武器でしょう。モデルが勇者ライディーンのザコ敵「ドローメ」らしいので「ドロ」と「ドーメ」なんだとか。ドローメも鳴き声もあいまってなかなか気持ち悪いデザインです。ドーメもたぶん気味悪いヒトデデザインなんでしょうね。


 オーラバトラーの本格的な登場は試作型でありジョクが愛機とする「カットグラ」が2巻「戦士・美井奈」からですね。この作品はダンバインのノベライズですが主人公機ダンバインとビルバインは登場しません。

 富野さんが使いたく無かったのか(特にビルバインは好きではないらしい)このカットグラがダンバインにあたるのですが、現在までに正式なデザイン画が無いそうなので各々脳内で想像するしか無いです。僕のイメージではアニメの試作量産機「ゲド」とダンバインの中間かなって思います。内蔵・固定武器も無くオーラソードのみで基本は戦いますが、場面によっては手持ちの火炎放射機を持ってたりしますね。


 アニメのショウと違いジョクは5巻までドレイク軍の騎士として戦いアニメにも登場する「バーン・バニングス」と「ガラリア・ニャムヒー」と共に戦い戦友となってゆくのでアニメとは違う意外な一面がよく見えます。ちなみに全11巻で6巻「軟着陸」7巻「東京上空」は地上が舞台なので物語の大半をドレイク軍で戦ってます。まぁ、最初は共通の敵、美しきガロウ・ラン「ギィ・グッガ」との戦いをじっくりと展開したりドレイクの娘「アリサ・ルフト」と恋仲になって軍の中でドンドン出世してお城付きの領地貰ったりしてますからね。ドレイクもギィとの決着がつくまでは不穏な動きはしてませんから離れる理由はないでしょう。ちなみに小説ではドレイクは後妻を娶って義理の娘ができるんですけどそっちがアニメの実の娘「リムル・ルフト」になります。アニメでは「ニー・ギブン」と良く言ってロミオとジュリエット的な悪く言ってオメェらいい加減にしろ大人しくジッとしててと言いたくなるような恋愛するんですけど、小説ではリムルが十歳くらいの子どもになってるせいか恋仲になりません。さすがのニーも子どもにそういった感情は沸かないよね。というか交流が無かったような。ちなみにニーはアニメ版の戦うヒロイン地上人「マーベル・フローズン」と伴侶になります。ん、そういやマーベル小説で活躍した記憶が……。



 先に書きましたけどアニメと同じように途中でジョクは開かれたオーラ・ロードから地上に戻ります。アニメではガラリアの「バストール」(小説版はジョクとは別のカットグラ)と共に地上に飛ばされますけど、小説ではバーンの「ガベットゲンガー」(おそらくアニメ版のズワァース)も一緒で三つの視点で物語が展開していきます。

 これねぇ、ジョクとバーンは結構いい人に出会えるんですけど、ガラリアは中世ヨーロッパのお城があるテーマパークに不法侵入しちゃってバイストン・ウェルの騎士としては間違ってないけど地上では悪手な行動を取ってしまってアニメ版以上に不憫なんですよ。それでアニメと同じ結末を向かえるからもうね。あぁ、スパロボなら助かんのになぁ、て、最近スパロボにガラリアはスマホ以外には出てないけど。


 あ、あとね、地上でバーンが最初に食べるのがおにぎりなんですけど、文章が


 ―――バーンは、海苔につつまれた飯を手にし、奇怪に柔らかい感触に口にするのを躊躇ったものの、その生暖かくて、柔らかくも固くもない固形物を口にした―――


 て、全然美味しくなさそうなんですよね。おにぎりがこんなに美味しく感じられない文章初めてだったんで記憶に残っちゃいましたよ。まぁ、記憶頼りに書いたんで間違ってる所もあるかもしれませんけど概ねこれだったと思います。まぁ、でもこれ外国の人が初めて食べる反応ってこんな感じかもしれませんね。アニメのガラリアもポカリスエットぽいジュース飲んで「なんだこの味はっ!?」て不快感示してましたからね。

 この後のバーンが味噌汁が口に合わなかったりタクアンと麦茶は美味しかったり割りかしほっこりとした反応みせて面白いですね。アニメの外道っぷりが嘘みたいって、小説でもちゃんと外道なんですけど。



 あぁ、だいぶ長くなってしまいましたから、ここで終わります。


おいおい、バーンのおにぎりで終わっちゃったよこれ。

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