　あらすじーーーー

　バイストン・ウェルと地上世界を巻き込んだオーラマシンの戦乱から700年と時は経過した。魂の故郷バイストン・ウェルに再び戦乱の風が吹きすさぼうとしていた。

　バイストン・ウェルの支配を目論む男「黒騎士」ラバーン・ザラマンドはオーラ・バトラー「ズワウス」を繰り伝説の「バランバランの秘宝」を求め守護一族を襲撃する。

　一族の森の狩人シオン・ザバは抵抗をするもバランの姫レムル・ジルフィードと共にラバーン軍に捕らわれてしまう。二人は同じく捕らわれの身であったミ・フェラリオ「シルキー・マウ」の導きによりバランバランの秘宝オーラ・バトラー「サーバイン」の元へと辿り着くのであった。

　いま、シオンはサーバインと共に覚醒の時を迎える。

　New Story of Aura Battler DUNBINE〈ニューストーリーオブオーラバトラーダンバイン〉とは1988年にOVA全３巻で発売された聖戦士ダンバインの７００年後を描いたアニメ作品です。通称「OVAダンバイン」富野監督は完全ノータッチであるらしく直接的な続編というわけではなくありえる可能性のひとつという事らしいです。

　スーパーロボット大戦シリーズには機体のみが「スーパーロボット大戦OE」「スーパーロボット大戦BX」機体とシルキー・マウのみが「第四次スーパーロボット大戦」「スーパーロボット大戦Compact2三部作シリーズ」「スーパーロボット大戦リンクバトラー」「スーパーロボット大戦64」「スーパーロボット大戦X」ストーリー再現が「スーパーロボット大戦Compact3」「スーパーロボット大戦T」で参戦してます。

　OVAの主役機「サーバイン」とライバル機「ズワウス」は長らく強力な隠し機体の常連としてスパロボプレーヤーに愛されておりました。初登場の第四次では武装がオーラソード一本という事で三つの武装射程が１という使いにくさでしたがそれを差し引いてもお釣りがくる高性能機だったのでみんな必死に攻略本や友達ネットワークを駆使して発見するマス目を探したもんです。あぁ、懐かしい。

　このサーバインという名前は聖戦士ダンバインの仮タイトルだったそうで、そこから名前をいただいたようです。ちなみに、仮時代のオーラ・バトラーのデザイン画を見た事ありますが、石像に鳥の頭が付いたなんか劇場版ドラえもんに出てきそうなデザインでした。たぶん「勇者ライディーン」という作品のファンタジー要素のリベンジという側面もあったから最初鳥だったのかな(ライディーンはゴッドバードという鳥型の形態に変形します)

　話を本編に戻しまして、700年後のバイストン・ウェルという事で前作でエ・フェラリオ(成人女性の見た目)として登場した「シルキー・マウ」が地上人召還の罪によりミ・フェラリオ(小さな妖精)となって登場します。記憶も無く性格もミ・フェラリオらしいお転婆になっています。声も銀河鉄道999のメーテルからドラミちゃんに。彼女の罪が許される１０００年まではミ・フェラリオのままという設定だったかな。他にダンバインキャラの転生体が何人か登場します。主人公シオン・ザバと敵役の黒騎士ラバーンはわかりやすくショウと黒騎士の転生ですが、初見でわかんなかったのはヒロインであるバランバランの姫「レムル・ジルフィード」ですね、彼女は最初「シーラ・ラパーナ」かなと思ったんですけど、実は前作の敵役のひとりドレイク・ルフトの娘「リムル・ルフト」だったみたいです。ダンバインでショウと恋仲であったというわけではなく、彼女はショウの仲間の「ニー・ギブン」と敵対する家同士という障害のあるロミオとジュリエット的な恋仲だったんですね。それが転生したらなぜかシオンのヒロインになっていておやおや？となるわけですけど同じ魂と再び恋仲になるわけでは無いと今では理解してます。

　が、肝心のニーはどこいったと思ったら作中に「ロズン家のギー」という爺さんが出てきました。明言はされてねぇけどこれ絶対ニーの転生だって誰でもすぐにわかっちゃってまぁ。ニーさん先に転生して前世の恋人と結ばれない悲劇。まぁ、本人達は前世知ったこっちゃ無いからいいのかな？

　最後にこの作品の象徴のひとつに「ハーモニー処理」という緻密に描き込まれた一枚の止め絵を動かす手法でオーラ・バトラーを表現しているんですね。このアニメ技術によってオーラ・バトラーの重厚感を魅力的に現してます。風の谷のナウシカの「王蟲（オウム）」にも使われてるので観たことある方も多いんじゃないでしょうか。ちなみに、この作品の第１話が雰囲気ナウシカっぽくて２巻目の砂漠の巨大な虫の脚のギチギチとした動きがこれまた王蟲っぽいですね。もしかしたらナウシカで王蟲担当した下請け会社が参加してるのかしら。

　しかし、このハーモニー処理には欠点がありまして、実は緻密な止め絵だから動けないんですよ。一応、ロングカットで普通のアニメ戦闘もやりますけどほぼ数秒で終わりメインはハーモニー処理されたサーバインとズワウスの戦闘です。そのおかげか登場するオーラ・バトラーは3体しかなかったり。3体目は赤い「名無しのオーラ・バトラー」です。出番少なくて悔しいから名前つけなかったんですって。

　動かないアニメロボットの代表格のひとつとなってますが、この絵画的な一枚絵はなかなかに見応えがありまして、アニメ自体も全3巻と観やすいのでダンバイン知っても知らなくても一度は観ても損は無しだと個人的には思います。

　ちなみに、スパロボXとTではゴリゴリに動くサーバインが堪能できますが、これはアニメーション担当した方がフィギュアを細かく動かして超絶に時間掛けて作ったみたいです。本編で装備してない盾を持ってるのはフィギュアの名残りですね。この盾はエンディングに出てくる女神のレリーフが元になってます。この時に流れる「辛島（からしま）美登里（みどり）」さんの歌う「モノローグを染めて」も素敵な曲です。サーバインのハイパーオーラ斬りに設定するとタイミングバッチリなんですよねこれがな。