中沢啓治作品


 中沢なかざわ 啓治けいじ先生とは広島出身の漫画家さんです。自身の被爆体験を元にした戦後の広島を描いた「はだしのゲン」が最も有名で読んだ事がある方が多いと思います。イメージとしては戦中、戦後の広島を舞台にした反戦漫画しか書いて無いと思われがちですが、実は色々と戦争以外の漫画も描いてたりします。僕の出身高校には中沢先生の漫画がたくさん置いてありましてたまに借りて読んでました。知らない方も多いんじゃないかなと思いましてちょっと当時の記憶を頼りに紹介してみようと思います。


 ※当時読んだきりの記憶ですので内容とタイトルが間違ってる可能性がありますのでご容赦を。



『ガメラ』


 ゴジラと並ぶ有名な日本怪獣映画のコミカライズ。確かギャオスが出てたと思うので恐らく「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」だと思われます。主人公よりも手を振り上げてがに股で怒るお爺さんとコマ割りをほぼ突き破ってデカデカと描かれたガメラが印象に残ってます。ガメラめちゃくちゃ終盤に登場した記憶。


『おはよう』


 いつも元気におはようございますと挨拶をしながら新聞配達をする少年の話。実は病魔に蝕まれており残りの余命で家族にお金を残すために新聞配達を始めたと記憶。何か物哀しかった作品。


『いつか見た青い空』


 両親が日本に帰国してる間に戦争が始まり戦後も連絡を取る手段も無くアメリカで孤児となった兄弟の話。主人公は兄の方でボクシング漫画。足に障害のある弟が大事にしていた生活の糧でもある楽器をロクでなしな兄が金欲しさに質屋に楽器を売っぱらってしまいそれを買い戻すためにバーで喧嘩おっ始めてプロボクサーにボコボコにされてボクシングを始めたんだったかなと。対戦ボクサーが「ビッグベア」と「レッドアロー」の2名のみなので打ち切り漫画だったのかも。レッドアローに勝つために水中を泳ぐ魚にパンチを当てる特訓をしていました。実在のボクサーがこの特訓をやっていたかはわからないんですけど有名な少年マガジンのボクシング漫画にもこの特訓が登場した事があるらしい。最後の試合で両腕を壊し選手生命を絶たれ弟と一緒に日本に帰国する目標を失いますが終盤に弟が空き瓶で作曲した音楽が全米で大ヒットしてラストは親の居場所も判明し日本に帰国したような気がする。タイトルも曖昧なので違ってるかも知れません。


『お好みはっちゃん』


 近所の子ども達におやつのお好み焼きを焼いてあげる好青年なお好み焼きの店長ハちゃんが主人公の漫画。恐らく日本初のお好み焼き屋が主人公の漫画。ハちゃんの恋が中心でお好み焼きは実はたいして重要なアイテムでは無かったかなと。ちなみに日本初のお好み焼きバトル漫画は「オコノミ!」て少年ガンガンの漫画。昔、作者の協力の元、8ミリビデオで映画を撮るドキュメント番組を観た事があるので中沢先生の思い入れが強い作品だったのかも。

 ただ、僕が読んで一番記憶に残ってるのはハちゃんの葬式をどうしてもあげたくてたまらない葬儀屋のおっさん。町の人にボコボコにされて大泣きしてた記憶。ラストは当時悲しかったんだけど先生に失礼だけどなぜか覚えてない。


『タイトル覚えてないチンドン屋の漫画』


 タイトルは覚えてないけどラストが強烈に記憶に残ってる漫画。

 ストーリーは人の良いチンドン屋の少年が盲目の少女に恋をして盲目な彼女を励ましながら一緒に暮らし、少年は恋した少女に明るい世界を見せたくて自分の角膜を提供し彼女の前から姿を消す移植に成功した彼女は色のついた明るい世界を謳歌するが目の前に現れて笑顔を溢す盲目なチンドン屋を「ブサイク」だと罵倒するが彼が恩人である事にショックを受けて彼氏と一緒にその場を去る。ラストは彼氏に騙されて世界の汚さに絶望した彼女は少年の前に現れ目の前でガラス破片で両眼を潰し「綺麗な心だけを見たい」と二人笑顔でチンドン屋を始める。いい話風に終わるけど、なんか納得がいかなかった当時。恐らく読み切り作品。


『げんこつ岩太がんた


 「目標! 純金の墓!」が口グセなお坊さんが主人公の悪人を拳でぶちのめすギャグ漫画作品。水戸黄門の猿飛さるとびのように壁をぶち抜いて飛び出してる表紙がインパクト大。

 幼い頃に母親と死に別れ目の前で行き倒れたお寺のお坊さんに育てられるが恐らく破門されてるに近い。死んだ母のために純金の墓を立てる目標のため金にはかなりうるさい。美味しいコーヒーを提供する喫茶店の店長だが、コーヒーはブラジルコーヒーしか無い。腹の立つ客(極悪人)に鼻クソ入りのコーヒーを提供していた記憶。中沢先生にしては珍しくギャグに全フリしてる作品。悪党は容赦なく岩太にボッコボコにされてました。岩太自体もかなり周りに迷惑な人間だと思ったんですが、当時はこういう主人公が受けてたのかしら? 作中では「草刈正雄くさかりまさおみたいなハンサム」てセリフがあったので草刈正雄さんが若手人気俳優だった頃の漫画かも。最終回を見てないのでたぶん学校に続巻が無かったのかな。




 以上、記憶に残ってる中沢啓治先生の作品でした。

 高校以来これらの作品とは一度も出会って無いです(町の図書館でも確認できず)もしかしたら希少な作品を読んでいたのかも知れません。



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