クロスアンジュ 天使と竜の輪舞


 ロボット物が好きだからひとつ好きな作品を紹介しましょう。というわけでこちら2014年のサンライズ作品「クロスアンジュ 天使てんしりゅう輪舞ロンド」です。



 あらすじーーーー


「マナ」と呼ばれる能力を遺伝子操作で生まれつき持ち合わせるようになった人類は。戦争や環境問題、食料不足などの諸問題は解決し、世界に安寧の日々が訪れた。

 だが、その一方で、突然変異により時折現れるマナをあつかえない者たちは「ノーマ」という蔑称で反社会的で野蛮な人物として虐げられ、「ノーマ管理法」と呼ばれる法律に基づき、社会から隔離されるという非人道的な扱いを受けるようになっていった。


 大国「ミスルギ皇国」の第一皇女で、民衆から絶大な支持を受けていた「アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ」もまた、幼き頃からノーマ根絶を理想とする思想に染まった人間の一人であった。しかし、彼女が16歳を迎えて洗礼の儀が執り行われた際、兄「ジュリオ」によってノーマである事実を暴露される。事実を受け入れられず、困惑するアンジュリーゼに対し、彼女をノーマとして捉え人間の世界から隔離した。その混乱の最中、我が子アンジュリーゼを兵士の銃弾から庇った母「ソフィア」はその命を落とし、父「ジュライ」はノーマを隠しかばった罪として皇帝の座を簒奪される。


 辺境の軍事基地「アルゼナル」へと追放されたアンジュリーゼは、身分だけでなく名前すらも奪われ、人型機動兵器「パラメイル」を駆る兵士「アンジュ」として、人間たちの敵「ドラゴン」と戦うことになる。アンジュは、この世界の裏側と、世界に潜む敵、真実を戦いの中で理解してゆく。



 この作品は、一言で言い表しますと「お下品」です。僕は一話を観るのが実は遅れまして友人から「主人公が○○から血を流してEDになった!」と、ネタバレのお電話がありました。なにいってんだこいつと思いながら視聴したらなにも間違っていませんでした。とんでもねぇのが始まったという衝撃の一話でした。


 さて、このクロスアンジュですがなんでも「コードギアス」というお化け作品の再来を狙って製作が始まったそうです。最初は良い子なアンジュ姫が仲間と仲良く冒険しながらロボットで竜を倒して行く王道ファンタジーストーリーだったそうです。ところが、「機動戦士ガンダムSEED」等で有名な「福田ふくだ 己津央みつお」さんがクリエイティブプロデューサーとして途中参加すると。


「ようお前ら、こんなアニメを作って満足か……俺は……やだね」


 と、言ったかは知りませんが、最初の設定から特殊性を持たせて変更し、差別主義な元皇女が迫害され地の果てへと落とされて同じ境遇の女達と共に傭兵としてドラゴンを狩るハードフルな物語が出来上がったそうです。


 この作品。まず、凄いのが萌えキャラとか綺麗所のお嬢さんとか主役級を数々とこなしてきた人気女性声優の皆さんに好戦的ワイルドな女達をやらせるといった所ですかね。たぶん、声優さんの中にはこんな言葉を言ったことも無いという方もいたんじゃないでしょうか。

 その筆頭に立つのが主人公アンジュを演じた「水樹奈々」さんでしょう。最初、主題歌を歌っているから始めから主役は決まっていると思ったのですが、自らオーディションで勝ち取った役だそうです。一話の差別的な皇女は見事なもので全く共感を得られない悪役ぶりを見せて数多くの視聴者に不快感を与えました。その後の失禁ものの怪演技の果てにとんでもなく逞しい傭兵へと成長したアンジュを魅力的に最後まで演じきりました。というか、アニメ終了してもゲームで更にパワーアップさせてます。


 他にも声を聞いたら解る主役クラスの方々を揃えておりますが、このクロスアンジュという作品。序盤でかなりドギツイ死に方をする展開が連続で起こり、中には何本ものアニメ主題歌を歌ってきた声優さんのキャラも含まれています。怒濤の戦死者とドギツイ展開に視聴者は次は誰が殺されるかと予想を始め「福田はまた桑島 法子を殺す気だ」と言われる始末(過去の監督作品で二回殺されてます)。演じたヴィヴィアンを気に入っていた桑島さんは福田さんに「私、また死んじゃうんですか?」と直に言いに言ったそうです。実際のヴィヴィアンの運命はいかに。


 続いてクロスアンジュの戦闘兵器ロボットを紹介。

 クロスアンジュには「パラメイル」と呼ばれる空飛ぶバイク型の飛翔形態フライトモードから人型の駆逐形態アサルトモードに変形する対ドラゴン駆逐兵器が存在します。操縦者は「メイルライダー」と呼ばれ、露出の高い専用のスーツを着用して二形態を駆使してドラゴンと戦います。飛翔形態はほぼ気密性ゼロの剥き出しで空を飛び攻撃を受ければ運が悪ければ即死。運が良ければ大怪我ですみます。駆逐形態は防御と反撃能力は上がりますが機動力が落ちるためほぼ的に近い状態になるので熟練のメイルライダーは変形を駆使してドラゴンを殲滅します。

 メイルライダーに取ってパラメイルは棺桶でもあり許された数少ない自由でもあるため、稼いだ金で自分好みにカスタマイズします。話の途中で「ジャスミンモール」と呼ばれるマーケットで色んな娯楽品や武器が売られており、ロボットアニメ好きへのお遊びかルプスビームライフルやバスターランチャー、天空剣に似た武器も並んでます。

 基本はアサルトライフルと実体剣。カスタマイズされたキャノン砲やミサイルなどで迎撃し、必殺武器として両腕に装備された「凍結バレット」を撃ち込みます。どっかのGとか運命とかのサンライズロボットの必殺技に凄く似ています。

 主人公アンジュの乗る「ヴィルキス」も基本はこの装備です。が、ヴィルキスにはとある秘密があり、話が進むに連れて強化されてゆきます。人によってはこれはスーパーロボットに近いという強化です。


 このクロスアンジュという物語は2000年代アニメには珍しいゲスなラスボスを倒してスッキリと終わります。打ち上げで最終回を流して女性陣が歓声を上げて数少ない男性陣をドン退きさせたほどだそうです。

 最終的にコードギアスの再来とはいきませんでしたがサンライズアニメの歴史に確かな爪痕を残した好きな人は好きな作品になったのではと個人的には思います。最初の設定から(特にドラゴン)かなり変わったので、二回目から観るとまた違った思いで観る作品でもありますね。あと、アニメスタッフの予想に反して男性よりも女性受けの方が良かったようでイベントの大半は女性で埋まってたそうです。男に媚びずに荒々しく立ち向かうアンジュ達の戦いは女性達の共感を生んだのかもしれません。


 ほとんど、魅力を伝えられませんでしたが、一度観たら忘れられない作品なので興味を持たれたら是非ご覧ください。

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