さるかめ合戦


 あらすじーーーー


 むかーしむかしのそのまた大むかし。青海島あおみじま仙崎せんざき(現 長門市ながとし)という地域は今と違い陸つづきだったそうな。青海島には何千という猿の群れが住みつきわがもの顔で野山の作物をあらしまわり、村人たちは大変に困っておりました。なかでも、群れから外れた親子猿は毎日のようにかよい(地名)にやって来ては悪さをするのです。

 さて、そんなある日のこと今日も浜辺に一匹の猿が降りてきて

「ぼちぼち、潮がひきよるのう。ぐっへっへ」

 と、海を眺めますといつもの仙崎の通り道に大きな石がどっかりと居座っているのを見つけました。

「ありゃあなんじゃ、おかしいのう。あんな所に石なんぞなかったが……けたくそ悪いのう」

 いぶかしむ猿がじっと目をこらすとその大きな石は、微かに動いているようでありました。



 はい、というわけで倉庫の本棚から発掘してきました。山口のむかし話その二です。

 実はフィリピンの方にも似たようなむかし話があるそうです。かなりの類似点があると民謡学者さんも語ってるそうな。ちなみに、あっちの方は死亡したりして過激なパターンがあるようです。


 このお話は長門市によると仙崎の独立を描いたのではと推測してるそうです。

 お話はざっくり言うと猿達が自分たちの通り道で昼寝をしている大亀に腹をたててちょっかいを掛けて今まで行けた場所に行けなくなるという悪さをしていた報いを受ける結末ですね。かなりギャグテイストに地形を変える大惨事が起きるので割りと読んでいて面白い。ちなみに、どこの地域のむかし話にもある猿の顔や尻が赤い理由や尻尾が短い理由もこのお話に書かれています。


 最後に例によって坊やをよいこに寝んねさせる国民的むかし話アニメでこのお話を調べましたら……やっぱりありましたねぇ。

 この、アニメに知らない日本のむかし話はあるのだろうか。

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