厚狭の寝太郎


 あらすじーー


 むかし、むかし、山口県の厚狭あさという地域に庄屋しょうやさんのひとり息子がおりました。この息子、それはひどい怠け者で面倒臭がり、風呂も入らず着物を着替えるのも面倒臭がるありさまです。朝から晩まで畑や田んぼで汗水たらして働く村人はそんな息子を皮肉を込めて「寝太郎ねたろう」と小馬鹿にしておりました。

 そんな毎日が続くある日のこと、「やったぞ、わかったぞ」突然、起き上がった寝太郎ははだしのまま叫びながら村中を走り回ったのです。

 はてはて、寝太郎はなにがわかったのでしょうか?



 このお話は僕の住む山口県に伝わる昔話です。このお話を読んだのは幼稚園の頃、「ファミリーレストランいろり山賊」で売られていた「山口のむかし話」という本でした。いまでもこの本は家の本棚の奥に眠っていると思います。


 このお話のキモは怠けているように見えた人が、実はその心の中では工夫して考えて努力をしていたということです。要は寝太郎がひとりのアイディアマンとして村人達を救う手立てをプロデュースしていく話です。


 昔ばなしの中では厚狭地方は毎年のように水が足らなくお百姓さんの悩みの種でした。年によっては、日照りが続き水をめぐった争いが起きたり、飢え死にをしてしまうものもおりました。

 寝太郎は毎年繰り返される村人の苦しみや悲しみを取り除くために昼も夜も寝ながら真剣に考えてようやくたどり着いたアイディアで厚狭を救うために動き出すのです。しかし、怠け者と思われている寝太郎は肉親にも信用されておらず相手にもされません。しかし、真剣に何度も何度も頼み込んで少しずつ事態は寝太郎の考えるアイディアへと向かって動き出してゆくのです。


 山口地方のむかし話ですので、多地方の方は知らないのではと考えてたまにはこんなむかし話もええんじゃないかなと紹介してみようと思いました。

 が、このエッセイ書き終わってから一応、日本一有名なむかし話のデータベースを検索してみた所。


 ありましたよ厚狭の寝太郎がっ。


 いや、ビックリですね。さすが国民的ロングランだった日本一有名なむかし話アニメは伊達じゃない。

 もしかしたら、アニメでこのお話を観てた方もいるかも知れませんね。

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