ルナティック雑技団
このルナティック雑技団は、りぼんに1993年に連載されていた少女漫画。シュールギャグコメディの奇才、岡田あーみん先生の作品になります。
あーみん先生曰くルナティック雑技団は「ラブコメディ」というジャンルだそうです。ちなみに、絵柄がシュール同士で「ちびまる子ちゃん」のさくらももこ先生と仲がよかったそうです。
あらすじ--
わらびの中学に通う「
あらすじだけを読めば普通の少女漫画のように思えますが、この作品「狂気」に満ちたギャグ漫画です。そもそも、あーみん作品は全てにおいて狂気を張らんでおり、ついてこられるやつだけついてこいと言わんばかりのぶっ飛んだ展開の連続です。主人公においても前々作「お父さんは心配性」で必要以上に娘を心配する狂気的なお父さん。前作の「こいつら100%伝説」の色欲にまみれたナルシスト忍者となり、今回でようやく少女漫画らしく女子学生が主人公となった。かと思ったのですが、実は天湖くんが主人公らしいので、あーみん作品は三作全部男主人公のようです。が、話の中心となって動いてるのは夢実なので、実質的な主人公はやはり夢実だと思ってます。ちなみに天湖くんの名前は「てんこ盛り」を関西風にしただけというもので一番最初に決まったそうです。
基本的なストーリーはカリスマ性がありすぎて自然と孤立している天湖くんは自分が嫌われていると頑なに信じており、夢実がはじめての友達となります。夢実は天湖くんに自分以外の友達を作ってあげようと健気に奮闘する。という、やはり文字だけ読めば普通の少女漫画ですが、周囲が予想外にとんでもないのでうまくいきません。
まず、天湖くんのお母さんの「ゆり子」さん。彼女がこの作品一番の狂気です。息子を溺愛し、心配するあまり奇行に走る事がしばしば起こります。当然、息子と同い年の同居人夢実の事は敵視しており数々の嫌がらせを仕掛けますが天湖くんのために頑張る夢実はめげずに段々と慣れて、強くなってゆきます。時に夢実に反撃されたりもします(軽く辛辣な毒を吐いて脅す可愛いものです)。時に夢実が食べようとした漬物を先読みして食べ、時に口車に乗って夢実をタコ部屋送りにしようとし、時に被害妄想に奇声をあげたりしますが、この作品を読んでいると日常的になってくるので段々と憎めないキャラクターになってゆきます。あと、お父さんの事も息子と同じくらい大好きで出張に行くと気分が高ぶりちょっとしたことで精神がぶっ壊れ、お父さんが帰ってくると元に戻ります。お父さん曰く「精神が個性的」お父さんもゆり子さんの事を愛していますので、とばっちりで箸が額に突き刺さって血だらけになっても表情変えず笑って許します。
次に、天湖くんと人気を二分する学校のアイドル「
他にも、天湖くんに一途な想いを寄せるが本人の前では素直になれずに心無い事を言ってしまうお金持ちのお嬢様「
ちゃんと最後まで少女漫画のお約束な展開を抑えつつ物語は進んでいきます。
夢実は天湖くんを普通の男の子と同じ生活を送ってもらうため、個性的な登場人物に振り回されながら慌ただしい日々を過ごしてゆきます。原作は全三巻ですので、試し読みしやすいのでは無いでしょうか。個人的には、少女漫画が苦手な方にも読んでいただける作品かなと思います。
最後に天湖くんの特徴を紹介して終わります。
誰かと一緒にいるときに人がくると物陰に隠れる事が多い(嫌われものの自分が側にいるのはよくないと思っているため)
自然な笑顔は夢実をキュン死させる程の破壊力を持つが、意識的に作った笑顔は恐ろしく人によっては見下しているようにも捉えられる(友達は夢実しかいないので実質ひとりじめ状態であるが夢実はそれをよしとしない)
男女共にひとめ見ればその神々しさに昇天する人によってはサングラスを着用しなければならない(本人に自覚は無いため失神する程嫌われてると思い込む)
人を直視すると目からビームが出る(イメージだが、人によっては本当に心臓が止まることもある)
時折見せる男前ムーブで萌え殺しにくる(実質、ほとんど夢実に発動させるので大半はキュン死するのは夢実である)
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