早いことで1か月、俺の能力は戦闘だけなら最強だった
早いことで異世界に来て1か月が経った、その間の俺やクラスメイトは兎に角訓練の毎日、剣を振るい、自分の力のコントロールや使い方の模索、魔獣や魔法の知識
を身に着ける毎日を送っていた、そんな日々に動きが今日あったのだった。
「あー、君達がここにきて、早1か月、中には自分の力も習熟してきたものもいるだろう、そこでだ、そろそろ実践に入りたいと思い、その人選を行おうと思っている」
騎士のその言葉にようやくだとか、やってやるという気合の十分の声。
まだちょっと訓練したいかな、僕の能力戦闘向きじゃないっぽいんだよなと不安な声も上がった、俺は訓練は1か月間一日も忘れたことはない、休養日の日までひたすらに振るってきた腕を試すいい機会だ。静かに手を上げ立候補する。
「ふむ、立候補者多数、大いに感心する、今回の行き先は3つある」
騎士は魔獣の生息地について話し始める。草原、森林、湿地の三つ。
草原は見通しがよく街道もあるのでもっとも注視しており、人を割きたい場所。
森林地帯も林業を主目的とした村の被害を防ぐためにも人員を割きたい場所。
湿地の方は人間以外の他種族と協力しており、良好な関係の為にも人員を割きたい。
ようはどこも手が回ってないからなるべく分かれて欲しいといった感じなようだ。
クラスメイトの多くは草原を選びがちだった、まあそれもそのはず。
俺達が異世界に来たのは7月の終わりごろ、つまるところ現在8月終わりだ。
この世界と俺達の世界の暦や季節はほぼずれは無いようでこの世界も夏だった。
この地域か大陸だけかは知らないが馬鹿に暑い、そんな中で湿地や森林などの湿気や熱気がこもりそうな場所に行こうと思う奴はいないだろう。
しかし誰かが行かなければいけない。だがその誰かは自分ではなくてもいいだろう
きっとここにいるクラスメイトの多くがそう思っている…………
俺は騎士様の元へ歩き、一番人のいない場所に配置してほしいと頼む。
騎士様は俺のこの発言に非常に助かると礼をしてくれる。
誰かがするではなく俺がするといえる、そんな奴で俺はありたいのだ。
さてと、そうと決まれば武器を作ってもらわないと、えっとどこにいるかな。
クラスメイトの皆がどこにするか、行かないかと話し合ってる中を見て回る。
そうすればそいつはすぐに見つかった。
「あ、清孝君、もしかして君も今回の実践に参加するのかい?」
目元を長髪で隠したこの青年は
過去のトラウマからか人嫌いなところがあるが、根は正直かつ優しい奴なんだ。
小倉の一言にゆっくりと頷く、小倉にはいつも頼んでいることがある。
「それじゃ、練習用の木刀じゃだめだよね、武器造るよ」
小倉は目を閉じて手を前にすると集中し始める女神の力【想像】だ
小倉が想像できる範囲の代物なら、割とどんなものでも作れる。
原則として生物は不可能、理解の及ばない部分は魔力で補われる。
想像が正確であればあるほど作りやすいし、そうじゃないと作りにくい。
後は大きさにもよる。大きい物はより魔力が必要となる。
「出来たよ、でも本当にこんなのでいいの? 中に鉄棒入れただけの木刀なんかで」
小倉には前々から武器や防具を作って貰えるか打診していた。その理由としてはこの世界の武器や防具は魔力が前提だからだ、魔力を流すと魔法により切れ味なんかが増したり、その魔力で攻撃を受けきったりという代物だ、魔力を流さずに使うのはタブーというか一度やって壊した、つまるところ、俺にとってこの世界の武器はなまくら、防具は重たいばかりの衣服同然なのであって、使い物にならない。
そんなこともあって作って貰ったのが元の世界でも使ってた馴染み深い木刀に鉄棒を仕込んだもの、剣道は物心ついたころからやってるが、魔獣の毛皮がどんなに分厚かろうが日本刀で切れるような達人になった覚えはない。
そうじゃなくても正しく切るのに正確さはいるし手入れだって大変だ
それだったら形状は慣れた物にした鈍器で頭蓋を割る方がやれる気がするという話だ
それに木刀なら清潔な布でしっかり拭ってやるだけで手入れも楽だ。
「AKとか作ったのになぁ、ふふふ、魔獣もイチコロに出来るかな、使う?」
この小倉という男は所謂ミリタリーオタク。現代兵器のあれこれについて深い知識を持っている、実際こいつの武器は今言ったような銃器らしい。
勧められるが、素人がいきなりアサルトライフルだったか? 事故が起きそうで使おうにも使えん。しかしこれを全員に訓練させて。もたせればいいのでは?
という話となれば、それはまた違う問題があって。
「まぁ、あいつ等とつるんだり、ましてやこいつを譲るきないけどね、ふひひ。あ、清孝君は別だよ、助けてくれた恩もあるし、一丁持つ?」
過去のトラウマである中学の頃にそして高校の始めの頃に苛められたからか、少々人を穿った視線で見てしまう所がある、まあその苛めから助けたのは俺なわけなんだが。
今のクラスの連中は苛めとかそういうの嫌いな奴らばっかだし、なじんでくれればと思ったが、まだ時間がかかるようだ、しかし銃か使えれば強いかもだが
「木刀よりかは良いと思うよ、基本なら教えてあげるからさ」
ふむ、知識だけじゃなく技術もあるのかと聞けば、祖父とハワイに旅行に毎年行き見学したり実際に撃っていたらしい、なら大丈夫だろう一つ作って貰おうと頼めば、小倉はどんなのがいいか聞いてくる、手入れが簡単、丈夫、かさばらない、こんなところだろう。
「それならシグザウエルかな、長時間泥水につけても稼働した逸話がある丈夫な拳銃だ」
再び目を閉じて、集中する今度は木刀よりもすぐに出来る、一通り注意する事を聞きメモにも残しておく、銃弾をいくつか貰い装着、防具に関しても小倉製。
一般的なYシャツに防刃ベスト、ズボンも少し頑丈といった程度のもの。靴は軍靴と比較的軽装だ。さて、誰がどこにいくかも決まったようだ、実践どうなるか……
◇ ◇ ◇
結論から話をしよう、正直楽過ぎて拍子抜けだった。俺意外に湿地に来たのは
小倉だけであった、他の奴らはまだましそうな森林の方かなとか言って逃げた
まあ、俺達だけという訳ではなく帝国の兵士も幾人か就いてきてくれた。
そして、早速魔獣を探して探索すれば、まあ出てくる出てくる。
湿地と言う事もあって蛙や蛇に亀、湿気を好みそうな感じの魔獣が出てきた。
出てきたは良いが、襲うのはもっぱら王国の兵士か小倉だけ。
俺の事には気づいてないのかてんで襲って来ない、魔力しか感知しないってのは本当のようだ。そういうわけなので、俺は王国の兵士や小倉と別行動を取らしてもらい。
魔獣を不意打ちで殴り倒す。その魔獣を餌に他の魔獣が来たところをぶん殴る。
これの繰り返しで大戦果を挙げる事に成功したのであった。
成果にして100近くは殴り殺しただろうか? まだこれでも倒し切れていないのではなかろうか、俺に気づく魔獣もいないのでまったく傷を負う事もなかった。
俺の能力、生活方面は壊滅的だが戦闘方面では誰の追随も許さないのでは?
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