第3話 サヤと俺

肩になにかが乗る重みと、耳元の温もりで目が覚めた

意識がはっきりとした時、声を出しそうになった

サヤが俺に抱きつき耳元で寝息を立てていた


この状況どうすんだよ


時計の針がまだ6時も指してない早朝から、俺の心臓が鼓動を速く刻んだ


そーっと顔を持ち、反対側に向かせて、手をどけた


起きた…かな?


スーッスーッ と寝息が聞こえて ほっとした


サヤは俺が朝ごはんを作り終わり、着替えて、

布団の置いてある部屋の隣の部屋で雑誌を読んでいる時にようやく起きた。


「ハルー?ハルー?」


開いてない目で俺を探しながら呼んでいる


んー?

と俺は返事だけ返した


「あのねーお腹すいた」


サヤの寝ている部屋を覗くと


開いてない目がもっと潰れる笑顔でそう言っていた


もう出来てますよ、というかもう11時だ 寝すぎ

と部屋に入りながら声をかけた


「なんかハル抱いて寝ると深く寝ちゃって」


なんだコイツ朝からめっちゃ惚気んじゃん

可愛いかよ


顔に出ないように我慢した


ほら、立つぞ

俺が手を掴んで立たそうとした時


ピンボーンピンポーン


インターホンが鳴った

覗き穴を見なくてもわかる


「ハル、誰?」


あぁちょっと待っててな

掴んだ温かい手を離し玄関に向かう


お荷物おひとつ届いてまーす

やっぱりこの間ネットで頼んでたやつだ


これでサヤと…


荷物を持って部屋に戻ると


「宅配かぁ」と、どこか安心したように言うサヤを今度は立たせた


昨日、サヤが作ったハンバーグの残りで作ったつみれ汁、卵焼き、ウインナー、マカロニサラダ、

ちょっといつもより豪華な朝ごはん


「つみれ汁美味しいね」


そりゃどうも

あっさりと返したが1番手の込んでいるものだっただけに嬉しい


「ねぇ今日こそバイク乗っけてよ」

卵焼きを箸で割りながらそう言われた


ダメだってまだ1年経ってないんだから


「またそれだぁーケチー」


ケチで結構ー。危ねぇから言ってんだぞ


割り切れてない卵焼きを口にほおばって、頬を膨らませていた


今届いた荷物の中身知ったら喜ぶだろうなぁ

来週で1年かぁ

きっと気づいてないんだろな



私は何故かニヤニヤしてるハルの顔を見て、

いい旦那さんになってくれるんだろなって思ったけど言わなかった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る