巨魚名鑑①

〈ヘッドスピアー〉

 最大全長:約4メートル

 パルス器官:無

 

 旧東京観光バスを襲撃した群れのうち大多数を占めた巨魚。

 容姿はホオジロサメに類似する。巨魚と呼ばれる水棲生物の中では比較的小型な本種だが、積極的にボスを擁立し群れを作り、集団での狩りを得意とするため、単純な危険度は決して低くはない。

 巨魚は特徴を端的に表す名前がほとんどだが、本種もその例に漏れず、頭部にある大きな螺子巻き状の角が特徴である。この角は、一見すると鋭利なものに見えるが、その実先端はやや丸みを帯びており、刺すよりは突く、叩くという機能に特化する。これは巨魚の中には巨大化した貝が存在するため、この殻を割って食すためであると考えられている。

 肉質は食用に向いておらず、基本的に漁業の対象にはならない。



〈グラディエイター〉

 最大全長:約7メートル

 パルス器官:有


 旧東京観光バスを襲撃した群れを統率していたボス個体。

 パルス器官を有する上位の巨魚であり、通常、水を使って獲物を捕獲し、逃げ場を無くしてから捕食するといった行動を取る。

 ヘッドスピアーとは近似種の関係にあるが、実のところ、本種はあまり群れを作ることのない巨魚である。というのも、グラディエイターは名の通り角が巨大な刃状となっているのだが、気性の荒い本種が群れを引き連れて暴れまわった場合、先にその餌食となるのは群れの部下たちなのだ。

 これに関してグランフリートの研究機関は、「何らかの操作・干渉を受けた本種が、明確な意図のもと群れを『作らされていた』のではないか」という仮説を立てているが、詳細は不明である。

 脂が多いうえに狂暴なので食用には一切向かない。

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