紙飛行機の旅
春風月葉
紙飛行機の旅
一機の赤い紙飛行機が青すぎる空に向かって飛んだ。
飛行機は風の力で高く、高く飛んだ。
やがてそれは木々より高く、鳥より高く、それは高く飛んだ。
いつかは落ちていくのに、それでも紙飛行機は高く飛んでいった。
それはいったいどこへ向かって飛ぶのだろうか。
どれだけの時間が経っただろう。
赤い飛行機は落ちることなく飛び続けた。
しかし、気まぐれな空を飾る白い雲は黒く濁り、眩しい日差しは消え、冷たい雨が降り注いだ。
水を吸った赤い紙飛行機は徐々に高度を落とし、ついにその時はやってきた。
ペタリと紙飛行機は地に着き、一機の長い長い旅は終わった。
紙飛行機が着陸した場所は見たことのない赤い花が一面に咲く美しい場所だった。
紙飛行機はこの遠い場所を目指して飛んでいたのだろうか、それとも飛んだ末この場所に行き着いたのだろうか。
少なくとも花々は赤い紙飛行機を迎え入れるかのように鮮やかな赤い花弁を風に踊らせていた。
紙飛行機の旅 春風月葉 @HarukazeTsukiha
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