第102話 エピローグ
「さて、それでは今後のあなたの処遇について話をしましょう」
あなたは息をのむ。
「色々と不満はありますが、ハンターとして独り立ちすることを認めます。彼もあなたのことはそれなりに高く評価しているから」
あなたは喜びに顔を輝かせる。
「とりあえずは日本に帰って日常生活を楽しむといいわ」
支部長はそこでニンマリと笑った。
「あなたが正規のハンターとしての技量を持っていることは証明されたけれど、心構えはまだまだです。ですから、あなたがよりハンターとして相応しい行動がとれるようにより高度な訓練を受けてもらうことになっているわ」
あなたはなぜ支部長が笑うのかが分からない。ハンターは危険な職業だ。常に研鑽を積むことが求められているし、訓練は日常的に行っている。別に特別なことではない。笑う要素は無いはずだった。
「あなたには一流の先輩に指導してもらうことになっているの。これは非常に光栄な事よ。こういう地味なことは滅多に引き受けないんだから」
あなたはイヤな予感がして声を出す。
「一流のハンターですか? それは……」
応接室のトイレの方から水音がして、ガチャリと扉が開いた。
「よう。新人。これからよろしくな。この国のメシには飽きててさ。早速、日本に行こうぜ。ラーメン、てんぷら、スシ! なあ、いい店知ってるかい?」
にこやかに笑う彼の顔を見て、あなたはこの先のことを思いやりじわりと頭に痛みを感じる。まあ、その話は別の機会に譲ろう。
おめでとう。あなたは一人前の吸血鬼ハンターとして認められた。
-完-
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