第99話*
彼から渡されたスマートフォンの画面には大きな赤いボタンが表示されている。その上にはFireの文字。何かを発射するのだろうが、このような装備の事は聞いたことは無かった。あなたは訝しがりながらもスマートフォンを握りしめ、彼の様子を伺う。
彼は50センチメートルほどの2本の棒を操って、吸血鬼と打ち合っていた。人間より力強い吸血鬼の攻撃を巧みにさばき、受け流しながらもジリジリと移動している。少々押され気味のようだ。あなたが応援のため参戦しようというそぶりを見せると彼はキッと視線を送ってくる。
振り下ろされる剣を2本の棒をクロスさせて受け、1本で払いながら、もう一本で吸血鬼の肩に振り下ろす。鈍い音が響いたが吸血鬼は余裕の表情を崩さない。
「そのような打撃、痛くもかゆくもないぞ」
彼は吸血鬼の剣を受けたものの支えきれず大きく後ろに下がる。割れたガラスを踏んでジャリッという音が響いた。すかさず吸血鬼が踏み込んでくる。彼が叫んだ。
「今だ!」
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https://kakuyomu.jp/works/1177354054890935249/episodes/1177354054890936080
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