第75話*

「動きはトロいが銀の作用に抵抗するってお前凄いな」

「そうじゃねえ。俺は人間だって言ってるだろ」

 

 ようやく彼の顔に理解が広がる。

「ということは……」

 サイレンサーを通したくぐもった音が響く。


「とんだお調子者だったな……な、なにっ?」

 吸血鬼が慌てた声を出す。なんと彼は2発の弾丸を避けていた。


「バ、バカな。この距離の弾を避けるだと?」

「ふう。この俺を騙すとはな。たいしたものだ」

「お前が勝手に勘違いしてたんだろ」

 あなたのツッコミは華麗に聞き流される。


「しかも、背後からの不意打ちをしてくる狡猾さ。これは強敵だな」

 彼はくるりと振り向くと吸血鬼に向かってその手の銃の引き金を引く。プシュ。狙いあやまたず吸血鬼の胸に着弾するがパッと弾ははじけ飛んだ。

「しかも、銀の弾が効かねえときた」


「そいつは防弾ベストを着ているんだ」

「早く言えよ」

「そんな機会は無かっただろ」

 痛みをこらえながら言うあなたには目もくれず、彼は吸血鬼を見据えていた。


 吸血鬼は余裕を取り戻す。

「どうやら、形勢は変わらないようだな」

 慎重に腕を伸ばして自動拳銃を構えている。

「さて、二人も元ハンターの部下はいらない。片方には死んでもらおう」


⇒第62話に進む

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890935249/episodes/1177354054890936040

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