第74話*

 あなたは左脇のコルトと腰の後ろのナイフケースに触れて確認するとカメラを持ってコテージの扉を開ける。そこには若い女性が立っていた。なかなかに魅力的な顔立ちだ。

「中に入ってもいいかしら?」

 妖艶な笑みを浮かべて美女が問う。


「駄目だ」

 あなたの返事はにべもない。そして、カメラのシャッターを押す。

「どうして?」

「それは招かれざる客だからさ。俺の許しが無いと入れないだろう」


 あなたの言葉に美女は憎々し気な表情を浮かべると身を翻して去って行く。あなたはすぐに追わずに部屋に戻るとカメラをチェックする。思った通りだ。赤外線モードで撮影した映像には外気温とほとんど変わらない人型が写っていた。どうやらマスターの言いつけを守れない若い吸血鬼が引っかかったようだ。


 あなたはカメラのデータをスマートフォンに取り込み、定められたサーバに保存する。これで当初の目的は達成できた。証拠が手に入ったのですぐにでも凄腕のの派遣手続きが急がれるだろう。ただ、あなたはそれだけでは満足しなかった。カバンを手にして外に出ると例の屋敷に向かって歩みを進める。


⇒第16話へ進む

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890935249/episodes/1177354054890935693

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