第33話*

 先ほどから車1台通らないなか薄暗い道を進んで行く。周囲は靄のせいで見通しが効かないが、なだらかな起伏の中に放牧地と森が点在している様子が、月明かりの中で見て取れた。ところどころに石垣がそびえ土地を隔てている。街道を外れて今歩いている道もいつの間にか舗装道路ではなくなり、土がむき出しなっていた。


 やがて、道の両側にも石垣が伸びて視界を遮るようになり、心細さを助長する。遠くで犬の鳴き声のようなものが聞こえた。あなたは物陰に何かが潜んでいないか神経を使いながら歩いて行く。だいぶ神経をすり減らした頃に前方に大きな建物の朧げな姿が現れた。どうやら、あれが目的のようだ。


⇒第22話に進む

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890935249/episodes/1177354054890935702

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