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「……その後、お風邪は大丈夫かにゃ?」

「あ、……っ、――――…………」

 ヘアバンドなど作りものではなく、頭頂部からシームレスに生えた獣の耳。

 うにょうにょと動く、長くてするんとした尻尾――否、しっぽ・・・

 目下に映るそれは、まさしくにゃんこ・・・・の――。

「………………おはようかわいい

……『かわいい』じゃないだろ僕。ドコの国の挨拶だそれ。

本当ほんとー!? わっ、ほら! ちゃんと『かわいい』って言ってくれたでしょ?」

 賭けでもされていたのか僕は。

「マジか……」「うっわ」「ないわー」「キモい」

「非道くねぇ!!?」

 僕はただ圧倒的すぎる"kawaii"に脳を蝕まれただけなんだが!!?

「えっ……江入さん、実はご出身プレイボーイの国……?」

 何言ってやがる級友テメェ!!?

「ああほら、驚くのはいいけど罵詈雑言そういうのは――!」

「……ホントだ。江入、怒りと恥辱のマリアージュ涙目添え」

 フランス料理か外野がハチャメチャなんかか僕はうるさいんだが!?

「ええと――ほらほら江入えーりくん、落ち着いてにゃー?」

 項垂れるねこみみ、ゆらめくしっぽ――。

「はうゃ」

……変な声出たが!? 思いの外チョロい自分に驚きを禁じ得ないんだが!!?

「かわいい……」

 そして学習しないな僕!

 外野の視線がものすごく凍傷級やばい。……なんかもう視線はとにかくバリア張ってる頑張って無視しようことにしよう。エーティーフィールド全開。下向いとこ下。

「あ、そうだ江入えーりくん」

なにはぅへ!?」


「……LINE交換しよう?」

「………………へ」

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