第12話BloodyRose

着々と勝ち進んで行く。準決勝が近くなる。つまりランさんとの戦いが近づく。ランさんは2本を剣を持っているが、片方しか使わない。その剣は紅く、何かを帯びているように感じた。ランさんの戦いはすぐに終わる。相手の武器ごと一太刀で切ってしまう。果たしてランさんの力が強いのか剣の切れ味がいいのか。そしてもう片方の剣も気になる。使うに足らない相手ばかりなのかそれとも俺との戦いで使ってくるのか。エイワスが言うにはランさんもピルグリムらしいが。ビークの爺さんの話を思い出す。この国はピルグリムや、フィンドが集まる。1ヶ月でピルグリム1人と1匹に出会うとは。幸運なのか悪運が強いのか。ランさんがすぐに戦闘を終わらせる。ついに準決勝。これに勝ってマルドとの戦いに勝てばガズエル王との決戦だけだ。勝つしかない。

準決勝。

「やぁカエデくん。君との勝負楽しみにしながら剣を振るってたんだよ。」一太刀で決着付けてたくせに。「ランさん。悪いが俺にはやらなきゃならないことがあるんだ。出来れば降参してくれると助かる。」「アハハハ!ランでいいよ。今ここで引いたら闘ってきた人達に示しがつかないからね。しかも私の信念に合わないんだよね。降参って。」やっぱりか。「これよりラン·ケラー対カエデ アズマによる準決勝を始める!」審判の試合開始の宣言とともに鐘が鳴る。ランは今までの戦い通り一太刀で終わらせにくる。そうはいくか。地面から岩を形成し、向かってくるランの攻撃を防ごうとする。「まぁそう来るよねぇ。」ランは岩に剣を突き刺す。そうすると岩は爆発した。「この剣はね。魔剣『エクスハティオ』。爆発の記憶を宿しているんだ。」記憶を宿ると魔剣になるのか。だがこれはまずい。魔剣の力のせいで俺の力が意味をなさない。「君の力が私には通じないことが分かったところで次はこっちを使おうかな。」魔剣をしまい、もう片方の剣を抜く。

その剣は片方の刃は普通の刃なのに猛片方はノコギリのようにギザギザとしている。だが驚くべきところはそこじゃない。ランは自分の腕を切り始めるのだ。そして剣全体に血がひろがると姿を消す。気づけばランさんは真近くにいた。そしてノコギリのような刃出切っくる。肉を抉られる。刃の一つ一つに反しがついている。「どう?私の剣の切れ味と血の味は?」血の味?何言ってんだこいつ。だがすぐに言葉の意味がわかる。体がふらつくのだ。「くっ、なんだ一体?」剣を見る。剣には光の筋がついているのだ。「アハハ。そう、私は血を捧げたの。そしてこの力を手にいれた。私の血は猛毒。けど安心して。この大会でかけられた魔法は物理的な攻撃にしか働かない。だから毒による攻撃では死んでしまう。だから毒の回りは遅いから。」自分の体の一部ならなんでもいいのか。(カエデ君。全身に毒が回る時間は5分だ。長期戦は出来ない。)だが、相手は血を流している。しかも大量に。相手も長期戦に持ち込まないはずだ。「今すぐに降参すれば解毒剤飲んで楽になれるよ。」体がふらつく。視界も少しづつだが悪くなってきた。降参すれば楽になるか。「いや、降参はしない。俺は言ったはずだ。お前ら全員潰すってな。」「よかった。君ならそう言うと思ったよ。あと5分。最高の5分間にしよう!」

注意すべき点は2つ。ひとつは奴の魔法がなんなのか。もうひとつは剣。エクスハティオと奴の力にあった剣だ。エクスハティオを使われれば俺の力は使い物にならない。もう片方の剣、今はノコギリとしておこう。ノコギリを使われれば毒の追加。さてどう動くか。奴の構えを見る。剣は両手持ち。今はノコギリか。身体強化の魔法が使えるなら何故二刀流にしないのか。(カエデ君。エクスハティオを使っている時の彼女には勝てない。なるべくノコギリの時に私の力を使うんだ。)ノコギリとエクスハティオを入れ替える時が隙と見ていいだろう。「ちょっとした魔法の応用だ!業火ファントム!」体をエイワスに預け俺はファントムに。だが、ファントムは小さく、炎も弱い。「じゃあ成長させるかな。」エイワスはポーションを投げる。そうすると炎は爆発し、ファントムも大きくなる。投げたのは魔力回復のポーション。リルさんのポーションのように100%回復とは違い、50%しか回復しないが、魔力の塊だ。ファントムがでかくなるのは当然。「へぇ。1回戦に使った魔法を火の男で使うなんて。」だが、まだ足りない。エイワスはポーションを投げ続ける。炎の温度はどんどん高くなっていく。そして投げ終わる頃には炎の温度は尋常じゃないほど暑い。「何をやるか知らないけど。君は魔力回復の手段を失った。私の勝ちでいい?」話に耳を傾けることなく俺は突っ込む。ノコギリでファントムを切ろうとするランを見て俺は内心笑っていた。「ランさん。その剣はエクスハティオとは違い、鉄で出来ているだろう。」「それがなに?その火に剣を溶かす程の温度は無いと思うけどなっ!」「鉄は1,538度以上の熱で溶ける。」俺は向かってくるノコギリを受け止める。剣の刃は溶けははじめ、地面に落ちる。「な、なんで!私の剣が!」ランは今の状況を飲み込めていないらしい。「楓くん!そのまま彼女に抱きつけ!」(馬鹿野郎!死ぬぞ。今の温度は1,538度以上なんだろ?)「大丈夫だ。この大会でかけられた魔法によって死にはしない!」言われたとおり抱きつこうとする。が、ランはそこにはいなかった。気づけば距離をとられている。「私の剣が溶かされた時は驚いたけどまぁいいわ。もう貴方には勝つすべがなくなった。魔力量も少ない。力を使ってもこの剣で粉砕できる。」ここからは接近戦か。最初に向かってきたのはランだった。その速さで一気に接近してくる。ファントムで攻撃を防ぐ。その時、魔力が流れてくる感触がファントムにくる。(魔剣の魔力を吸収できる!)さらに温度は上がる。(エイワス、ヒノトリだ!)「了解した。」エイワスは攻撃の回避をしながら詠唱を始める。「我は炎を操る者。我は翼を創る者。炎鳥は姿を現し、我を抱きしめ、時に我を傷つけ、時に我をさらっていく。炎鳥は死なずその炎は消えることなく燃え続け不死鳥となる。ならば我はこの身を委ねこの身を燃やし続けよう。舞え!ヒノトリ!」ファントムはヒノトリに変化し、宙を舞う。空からの攻撃なら回避はできないはず。エイワスは力を使い、奴を誘導する。「ねぇねぇ。その行動に意味はあるのかな!」「意味はあるさ。もしかしたら君の魔力が魔剣に流れていて魔力が尽きるかもしれない。」エイワスが引き付けているあいだに狙いを定める。狙いを定め、急降下。まだエイワスには回避の指示は出さない。もっと。もっと。(エイワス!回避!)は上手いこと岩で体を隠し、そのまま回避する。「い、いない。」攻撃範囲がどのくらいになるかは分からない。前に使った時よりも威力は高いからだ。ランがヒノトリに気づいたのはあと少しという時だった。回避を試みたようだが、エイワスの創った岩の破片が足の邪魔をしそのまま転ぶ。「チェックメイトだ。ラン·ケラー。」着弾すると辺り一面炎の海になる。直撃したランさんは無事ではない。焼けながらのたうちまわっている。エイワスは岩を何十にも重ねガードしたらしい。観客席からは怯えるような声や、ブーイング、兵士達の焦った声が聞こえる。とりあえずは決勝進出と言ったところだが、この戦いで罪に問われなければいいが。しばらく立ち続けていると意識が遠のく。そうだった毒がまわってたっけ。意識はなくなり、しばらく目覚めることはなかった。

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LOSTpilgrim @soara14200

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