第9話 ローゼン祭の出店決め
「今年は出店やるからよろー。」リルさんはそう言いひたすらポーションを作る。ローゼン祭の出店か。「今更出店やることには何も言いませんが、なんの出店やるんですか?」「リルのポーションを売る。1個金貨1枚」「辞めましょう。」「何故?」「高すぎるんですよ値段が!」「ならば銀貨200枚」「却下です。」リルさんは怒った顔をする。「じゃあ何にするの?」安くてこちらの利益になるものか。(うーん。君の一人暮らしの料理スキルを使うのはどうだい?)「料理とか。」リルさんはその手があったかという顔をし、目を輝かせる。「何作る。」「最近寒くなってきましたし暖かいものでも。」この世界にも四季があるらしく、丁度冬にあたるようだ。「なるべく安いやつがいいですね。」この世界の米の値段は1キロ銀貨2枚。多分200円ぐらい。めっちゃ安いと思って爆買いした分がある。「お餅でも作りますか。」「おもち?なんかモチモチしてそう。」「お餅はいつもご飯の時に出る白米から作るものです。」けど醤油ないから味がないな。「ちょっと市場行ってきます。」
市場を歩く。お餅といえばお雑煮と行きたいところだが、材料は多いし、手間は多いしで少し嫌だ。ほっつき歩いていると馴染みのあるものが目に入る。「これ、小豆かな?」値段はなんと1キロ銀貨4枚。安い。「なんでこんなに安いんですか?」「コロンの事かい?コロンは沢山取れるし、今年は少々取れすぎてね。安いんだ。」なるほど小豆ではなくコロンか。だが安くて助かる。急いで財布を取りに戻る。「リルさん!出店の料理はおしるこにします!」「おしるこ?お餅使うの?」「はい。コロンの実を使った暖かくて甘い料理です。」リルさんは興味を持ったらしく「それにしよう。」それだけいい米を倉庫から出していく。「エイワス。臼と杵を作りたいんだが。」(最近君は力の使い方がなってきたからそれぐらいなら作れるよ。)土からまず石を生成し、それを木に変える。そして木を杵の臼に加工。「なにこれ拷問道具?」「違いますから餅をつくための道具ですから。」市場で米を爆買いし、小豆も爆買いする。「あ!カエデくん!」この声はランさんか。「どうもこんにちはランさん。」「コロンの実とマーリーを沢山買って何するの?それってあんまり美味しくないじゃん。」と言いながらランさんは笑う。マーリーというのは米のことで、米と小豆はこの世界では不人気のようだ。しかし米を美味しくないとは。炊いたことないなこの世界の人達は。「何を言いますか。マーリーは炊けば美味しいんですよ。まぁローゼン祭の時に良ければよってください。マーリーとコロンの美味しさを教えてあげましょう。」「OK!楽しみにしてるね!」ランさんの舌を唸らせるためにも今から早速試作だ。
まずは米を餅にする作業から。いつも以上に水を入れ米を炊く。「うわぁベチョベチョだ。」まぁ水多く入れましたし。熱いうちに米をつき、餅に変える。「リルさん熱いかもしれませんが僕がつくのをやめた時にひっくり返してください。」「あい。」餅つきの始まりだ。つくときは腰に力を入れて振り下ろす時に力を入れる。めっちゃ疲れる。だが出店成功のためにも試作を頑張らなくては。リルさんは言った通りひっくり返してくれる。つき終わり、餅を見る。餅は俺の知る餅で、さっきまでのベチャベチャはモチモチに変わった。「どうぞリルさん。」「モチモチしてるけど味があんまりない。」まぁそのままですし。餅は冷やして置いとき、次はおしるこの大事な部分である小豆だ。まず小豆を湯で、アクを抜く。そして塩をひとつまみ入れ、沸騰したら火を弱め、煮る。その間に餅を解凍し、団子にする。
2時間後。小豆柔らかくなり、味も甘く、塩のしょっぱさが、甘味を引き出してくれる。茶碗におしるこをよそい、リルさんに渡す。リルさんは猫舌らしく、熱いのがわかるとフーフーと息をかけ、おしるこを食べる。「甘い。さっきまでのおもちの味がなかったけどおしるこの甘さで美味しい。これは金貨1枚で売れる。」そんな高値で売りませんって。俺も食べてみる。うん美味しい。だがもうちょっと塩を入れてもいいかもしれない。あと少し水っぽいから水を減らすか。(楓くん。私もおしるこ食べたいのだが!君が作ってくれた神棚っぽいやつに置いてきてくれ!)こいつ本当に神なのか。鍋を見る。鍋にはもうおしるこがない。「カエデ。これは売れる。」リルさん。食いすぎです。「明日はお腹壊しますから気おつけてください。」忠告通りリルさんはお腹を壊しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます