第8話 宗教会議
目を覚まし、天井を見る。天井はいつも見る天井で少しほっとする。次に周りの確認。部屋はいつも通り片付けてある。「ぅーカエデー。ごはん。」俺の右手を握りリルさんが寝ている。ずっと見ててくれたんだろうな。(楓くん。その通りだよ!)この神人の心とか理解できないだろ。りるさんの手をどけ、掛け布団をリルさんにかけたあと朝ごはんを作る。保管庫を見ると魚がちょうど2匹あった。「今日は焼魚だな。いや揚げ魚にするか。」魚を先ず切り、塩 こしょうがないため塩をふりかけ衣をまとわせる。何故かパン粉があるんだよなこの国。ソースは玉ねぎ、卵、そして自家製マヨネーズのタルタルソースだ。ごはんを炊いている間にリルさんを起こしに行く。「リルさーん。ご飯ですよー。今日は魚ですよー。」リルさんは目を擦り「さかな?生臭いのキライ。」生臭さはないと思うけどな。「とりあえずご飯です。」大きなあくびをしながら椅子へ座る。「「いただきます。」」早速魚を食べる。サクッ!「美味い。この食感初めて。サクサク最高。」リルさんも食感を気に入ってくれたようだ。本当ならカレー粉を混ぜるので少し足りないが、美味いのには変わりない「エイワス。カレー粉って作れる?」(カレー粉?まぁ作れなくもないが今の君には加工したものは作れないし、まずカレー粉の材料わかる?)「かれーこ?なにそれ。魔物の名前?」「魔物じゃないですよ。調味料のひとつでしてカレー粉ひとつで色んなご飯が作れます。」リルさんは目を輝かせ、ご飯を口に詰め込み、荷物を詰め始める。「かれーこ探しに行こう。」「リルさんごめんなさい。ほら!このタルタルソースで食べてみてください。」自分の魚を切り分けリルさんの皿に置く。「たるたるそーす美味しい。卵と玉ねぎまよねーずの味がする魚と食べると美味しい。」リルさんの途方もないカレー粉探しの旅を阻止できた。(まぁ材料は私が調べておこう。)神ってなんでも出来るのか。コンコン「はーい。」ドアを開けると俺を連行した男がいた。「どうも回復なされたんですね。」「何の用ですか。」男は真剣な顔で「貴方の今後の対応を決める会議がありますので」会議なんて開かなくてもいいとは思うが「なぜ会議を開かなければならんのですか。」「貴方が勝つとは思いませんでしたし勝ったら勝ったでこの国の全宗教が困惑するので会議は開かねばならんのです。」会議中に殺される可能性あるな。だがこの国で生きるためにはこの会議は必須だ。もしかしたらリルさんが殺される可能性もある。「会議の際そちらの方をお連れできます。」リルさんは食器を洗いに出すとポーションを作っていた。「リルさん会議に着いてきますか?」と聞くとポーション作りをしながら「でる。」と言った。「出るそうなのでお願いします。」男は懐から紙を取りだし僕に渡す。「日時と会議場所はこの紙に記されています。では。」そういい男は帰っていく。「リルさん会議ってどんな服で行けばいいんですか?」リルさんはまだポーションを作っていてそれに集中している。ポーションを少し寝かせる工程に入ったようだ。「基本的には普段着でいい。けどピルグリムは捧げた体の部位を隠すのが掟。」普段着でいいんだ。俺の場合は右腕を隠すのか。まぁどう思われてるかは知らんが一応覚悟だけはしておこう。
会議当日。5分前行動を心がけ、少し早めに家を出る。リルさんがなかなか目を覚まさなかったため、リルさん用におにぎりを作りおんぶしながら会場へ向かう。「お師匠もうやめて疲れたリルは動けません。」お師匠どんな人だったのだろうか。あのリルさんが嫌がるほどの人物となると結構熱心な人なんだろう。そう考えているうちに会場につく。ローゼン南第2会議場。ローゼンには国のあちこちに会議場がある。宗教同士の争いが多いからだとは思うが何個も作る意味とは。到着すると多くの人が会議場に集まっている。多分教徒とマスコミだろう。「おいあれ見ろよ。」1人が気づくとほかの人たちも気づき始める。「大罪人だ。」「大罪人め。」など口々に大罪人と言ってくる。「カエデ様。こちらです。」1人の従業員だと思われる人に案内され会議場の裏口へ行く。個室に案内され、机にはスケジュールだと思われる紙が置かれている。そして人の配置場所など情報量が多い。会議の形としては日本の裁判のような形で真ん中に俺とリルさん。前に司会そして取り囲むように教徒が座る。その後ろでマスコミが並んでいる。「ここどこ。カエデ降ろして。」「おはようございます。リルさんここは会議場です。これ朝ごはんです。」リルさんはおにぎりを食べながら紙を見る。「会議なんて初めてだな。リルは何も喋らないからよろしく。」なんで着いてきたんだこの子は。今のうちにどんなことを話されるか考えておこう。まず、賠償金と今後の対応は確定だろう。次に国内でのリルさんと俺の安全の保証。紙を見る限り教徒からの質問とかもありそうだ。多分なぜ神獣を殺したのかとかだろうな。その時に考えればいいな。考えるのが終わると同時に従業員が入ってくる。「準備が出来ましたので入場願います。」「リルさん行きますよ。」おにぎりを片手にリルさんはうなずき後ろを歩く。
「これよりカエデ アズマの宗教会議を始める。」議長っぽいおじさんが会議の開始を宣言すると教徒達は手を挙げ始める。最初から質問なのか。1人の教徒が当たる。「私はマニル教のものです。質問します。貴方は何故神獣を殺した!」やっぱ聞いてくるよね。「質問には偽りなく答えていただく。」「はい。襲われて自分の身が危険になったからです。」「そのまま神からの裁きを受ければいいものを!」質問者がそう言うと「そうだ!」と、周りの教徒は大声で言う。「俺は神なんて信じない。だから裁きなんぞ受けてたまるか!自分の身が危険になったら生き残るために反撃するのが人間だろ!」そう言い返すと質問者が「ではその手はなんだ!その手はピルグリムの証だろう。神と契約したということは神を信じるということだろ!」「いいや俺は神なんて信じない!自分が生き残るためリルさんとの約束を守るために俺は神を自称する光と契約した。それだけだ!」(おいおい楓くん。神を自称してないよ私は。正真正銘神だ。)俺はお前を神だなんて思ってない。「質問は以上ですか?」と議長が聞くとおとなしく座った。次に当たったのはロル教徒の青年。「貴方が制裁戦に使った火の男を作り出す魔法はなんですか?しかも火の男は動いていました。まさか神聖な戦いに協力者を用意したんじゃないですか?例えば横にいる少女とか。神聖な戦いを、汚んじゃない!」まさかフレイムファントムで質問がくるとは。「あれはフレイムファントムという魔法です。魔法の方に意識を集中しなければならないのですがピルグリムになったことで神とやらに身体を預け意識を集中させてました。まず、魔力が少なくて大雑把なリルさんにフレイムファントムは使えません。」リルさんに睨まれる。ごめんなさい。神に体を預けたと言った瞬間周りはざわつく。「か、神に身体を預けるとはどういう。」「言葉通りです。契約した神もどきのエイワスに身体を預けました。普通ですよね?」「普通じゃねぇよふざけんじゃねー!」え?ピルグリムだったら普通じゃないの?(楓くん。私に関しては興味と、ほかの理由で着いてきてるんだ。)あ、そうなのか。「だからあの魔法を使った時人が変わったように感じたのか。」ほかの理由とやらが気になるがここはスルーで。「他にありますか?」と、議長が聞くと周りは静かになる。
「次に大罪人いや、カエデ殿による要求に移ります。」控え室で考えた意見を言う。「まず、賠償金。いくらほどでますでしょうか。」議長に聞くと議長は焦り出す。「俺は7日間拘束を受けたんだ。168時間も。過ぎた時間は帰ってこない!そして戦いに勝った分の賞金!」「少し話をしますので代表者は集まってください。」聞いてこないと思ったのか。マスコミからは「賠償金請求とかマジかよ。」「罪ななくなっただけでもよしとするだろ普通。」言ってればいいさ。「カエデ。ぐっじょぶ。」リルさんがサムズアップをしてきたのでサムズアップし返す。数時間経つ。お茶とお菓子が出てくる。結構待遇いいな。お菓子をむしゃむしゃと食べるりるさんを見ていると話し合いが終わったようで「えぇ。賠償金は金貨100枚と銀貨400枚でどうでしょう。」困った顔の議長と今にも殺してきそうな教徒達の顔が見える。「では次の要求を。」まだするの?という顔をする議長だった。「次に俺とリルさんの安全を保証すること。」「分かりました。書類はまた後日全宗教と貴女方に送ります。」よしあとは今後の対応を議長から聞くだけだ。そう考えてるとリルさんがはねながら手を挙げる「リルからは2ヶ月に1度ポーションの素材はいたむむむむむ」急いで口を塞ぐ。「すみません。なんでもないです。」リルさん今口出すとまじで殺されるから。
「ではカエデ アズマの今後の対応を言い渡す。全宗教はカエデ アズマに危害を加えず、カエデ エズマにはこの国に住むことを許す。これはローゼン王のご意志である。」会議は終わり、帰ろうとすると「おーいカエデくーん。」と女性の声で呼ばれる。知り合いなんていないはずだが。「やぁ初めまして。私はラン·ケラー。リース教の戦士だよ!」リース教といったらマルドもそうだったか。「で?リース教の方が何の用ですか?まさかマルドさんの仇とかですか?」そう言うとラン·ケラーは大声で笑い始める。「ハハハ!違う違う。マルドを倒した人だから興味を持っただけだよ。一つ質問があってね。」質問?俺に質問することなんてないと思うが。「今度のローゼン祭にでなるのかな?って。」ローゼン祭?「それってなんですか?」と聞くと知らないのかという目で見られる。「ローゼン祭ってのはね年に一度の祭りなの。その日は宗教とか関係なくみんな踊ったり芸をして楽しむの。そこで行われるローゼン王主催の薔薇戦に出場するのかなぁってね。」多分闘技大会なんだろうけど。リルさんを見る。めっちゃ眠たそうだな。「それはシークレットってことで。」そう言い残し、その場を立ち去る。ローゼン祭か。まぁ考えておこう。
「我が王。これで宜しかったなのですか。」1人の青年が笑みを浮かべる。「あぁ。いいか。奴を薔薇戦に出させるのだ。奴に見つからないように見張りをしろ。奴は我が臣下へと加わる存在だ。」家臣は「御意。」と応えると下がっていく。「さぁカエデとやら。我を楽しませよ。そして我が臣下となり我のためにその身いや骨の髄まで燃やし国のためいや、我のために尽くすのだ。ハハハ!ハハハ!」
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