第7話beginning agreement II

「やぁ楓くん。答えを聞こうじゃないか。私と契約すればこの状況を打破できる。」やっぱり現れたか。契約先の人間がピンチになったら来ると睨んでいたが予想通りだ。「あぁ。もう覚悟はできてる。だが俺の気持ちは変わらない。神は信じない。俺はリルさんとの約束と自分のために力を手に入れる。」光が笑ったように感じた。「それでいい。いや、君はそのままでいい。では私の名を明かそう。我が名は創像神エイワス!」そう名乗ると時間の流れは戻る。「エイワス!」そう叫び、右腕を地面に叩きつける。地面からは岩石が生え、マルドの攻撃を防ぐ。「いきなり岩石を生やすとは君、魔法は炎だけじゃなかったかな?ん?その右腕まさか!」「あぁそのまさかさ。俺はピルグリムだ。」「ありえない。この戦闘の中で。しかも大罪人が!」マルドが困惑しているうちにポーション摂取。(楓くん。君の最後の作戦今なら決行できるよ。私にこの身体を一時的に委ねなさい。)「あぁ。じゃあ一気にケリをつけるとするか!フレイムファントム!」フレイムファントム。炎で人型を作り、それを操作。操作するために炎に意識を向けなければならないため1人では使うのは困難で、使っている間はほかの魔法が使えないロマン砲といえるな技だ。だが今の俺ならできる。「さぁ。マルド君。君も神の力を使うがいい。私が相手になろう。」今のうちに俺は残りの1000人を相手にする。「おい!炎の男がこっちに来るぞ!」気づくのが遅いんだよ!意識がファントムにあるため、スキルメイキングで炎の剣を作り出す。まずは1人。

「カエデの腕が光ってる。まさかピルグリムに。」リルは驚いてる。だってあのカエデが神と契約したから。「おい嬢ちゃん。あれお前の連れかい?だったら話は早い。お前さんを人質にしてあいつに負けるようにさせて貰うぜ!ぶはァ!」ちょっと黙っててよ。「そう。カエデはこの闘技場で誰よりも、いやリルの次に強い私の相棒にして私の英雄だよ。」男達はその場から逃げていく。カエデならきっと勝てる。「カエデー!頑張れー!」

1人の少女の声援が聞こえる。マルドを除き残りのあと400人(エイワス、マルド以外の雑魚を蹴散らしたい。あれを使うぞ。)「OK。じゃあ意識を戻すよ。」エイワスがマルドから距離をとると意識が戻る。「フン!」地面を叩き、岩石を何重にも重ね、ドーム型を作る。「我は炎を操る者。我は翼を創る者。炎鳥は姿を現し、我を抱きしめ、時に我を傷つけ、時に我をさらっていく。」石の削れる音がすぐそこまで聞こえる。だがここで詠唱を止めるわけには行かない。「炎鳥は死なずその炎は消えることなく燃え続け不死鳥となる。」ついに光が見えた。だがもう遅い。「ならば我はこの身を委ねこの身を燃やし続けよう。舞え!ヒノトリ!」ヒノトリは舞い上がりマルドの削った場所めがけ飛んでいく。ヒノトリが舞った瞬間岩石のドームは崩れる。ヒノトリは舞い、400人の戦士たち目掛け突進する。フレイムファントムのように意識をヒノトリに向ければ操作は可能だがその必要は無い。戦士たちは次々と燃えていく。死にはしないがしばらくは病院のベットの上で生活だろう。「ハハハ!まさかこんな技まで使えるとは!美しい!実に美しい!そして私は今君という最大の敵と戦えるこの瞬間を楽しんでいる!」マルドは素足になり、突進。今までは拳での戦闘だったが、今は足技による戦い。足には風が纏われていて蹴られた瞬間闘技場の壁まで飛ばされる。発達した足に神の力。今までは手を抜いていたとしか思えない。「ピルグリムになったばかりで力の使い方がなっていない。さっきの鳥の魔法を撃ったせいで魔力もあと少しといったところですか。選択を誤りましたね。」残りのポーションは3本。確かにヒノトリを撃ったのは大きい。「確かにヒノトリを撃ったのは大きいな。だが秘策はまだあるんだ。まだ負けじゃない。今だからこそ聞こう。マルド、君はなんのために戦う?」そう聞くとマルドはため息を吐き、さっきまで笑顔だった顔は真剣な顔になった。「決まっています。私は神のために戦うのです。だからカエデ、君のような大罪人を殺す。」「神のためか。つまり実体もないいるかすら分からないもののために戦うとは哀れだな。」「では君はなんのために戦う!大罪を犯してもなおなぜ君は戦う!」「決まっている!俺は自分自身のためと俺を信じて待ってくれている相棒のために戦う!」「相棒?あぁ、あの愚かな魔導師の弟子ですか。」愚か?その言葉を聞いた瞬間リミッターのようなものに抑えられていた感情が爆発する。「リルさんの師匠が愚かだって?ふざけるな!俺はリルさんの師匠がどんな人かは知らない。だがリルさんを育て、リルさんの大切な人だ!そんな人をバカにするお前は許さねぇ。」剣をもう一度握り直しマルドへ接近する。マルドは空気を蹴った。そうすると俺の右腕に切り傷が現れる。「私が接近戦しか出来ないと思っていましたか?残念ながら私の神の力は遠距離からの攻撃もできる。」風が刃となって飛んでくる。マルドの発達した足との相性が抜群なようで一瞬で8個の風の刃が飛んできた。岩石で防ぐが綺麗に真っ二つ。ここは策を練り直さなければ。(楓くん。落ち着きなさい。奴と真っ向から戦っては意味が無い。ここはやつの目を欺く必要がある。熊を欺いた時のあの爆発と何かを掛け合わせるんだ。)爆発と何かを掛け合わせ相手の隙をうかかがうそのためには煙幕となる何かが。回避に専念しつつ当たりを見回す。戦闘不能になった戦士達は回収されもう闘技場にはいない。身の回りには何も落ちていない。ポーションはあと2本。ひだり腕にはグローブ。そうかグローブだ。「いい案が思いついた。」作戦をエイワスに説明する。(なるほど。だがタイミングがコンマ1秒でもズレれば全て意味がなくなるそれでもいいかい?)「もちろん。やらなきゃ殺られる。」タイミングは奴との距離が近すぎず遠すぎずの位置にあるとき。奴は風の刃を撃ち続ける。避けつつ少し考える。なぜアブソリュートゼロの氷は溶けたのか。奴の神の力は風のはずだ。「聞きたいことがある。なぜ氷は溶けた。」「簡単な話ですよ。熱風を発生させて溶かす。それだけです。」生物を凍らせて分子レベルまで粉々にする程の氷を溶かすほどの熱風を発生させるって。(敵との距離50m)あと40m(蒼爆の範囲は10mタイミングは任せてくれ。)リルさんのやっていたように残り2本のポーションを飲み乾す。魔力量は十分。「何を考えているかわかりませんが最大限に神の力を使えない君に私に勝つことは出来ない。」マルドは接近してくる。予想通りだ。近づけば奴は近接戦を持ちかけてくる。「蒼爆!」爆発を起こしマルドとの距離を離す。そして爆発と同時に周りが見えないほどの吹雪を起こす。「目くらましですか。」「おいエイワス。お前の力は形あるものをほかの物質に変えるんだよな。」(あぁ。だが今の君には加工したものつまり剣とかは作れない。)十分だ。「身体預けるぞ!フレイムファントム!」「作戦通りに動くとしますか。」エイワスは闘技場全体に岩石を配置する。吹雪はまだ続いている。エイワスが準備をしている間、俺はマルドとの戦闘をする。炎の塊のため、攻撃は全く受けないが、マルドは攻撃を全てかわす。吹雪はだんだんやみ始める。(エイワス準備の方は?)「準備は出来た。合図ひとつで決行できる。」吹雪が止み、闘技場全体が見える。風景をあらわすなら岩石の森「本体はどこにいるのやら。」ファントムでひたすら攻撃。全てかわされる。だがマルドの背中がひとつの岩石に着いた。「なっ!」この瞬間を見逃さない!ファントムでマルドの体にまとわりつく。「離せ!離せぇー!」(今だエイワス!)「了解した。」右の岩石から俺の身体(エイワス)が現れ、ファントムを触る。そうするとファントムは鉄へと変化し、マルドの足と胴体、腕を拘束する。そのあと岩石で手足を固定する。「チェックだ。」マルドの首へ剣を突き立てた。「負けだ。」マルドが負けを認めると鐘が鳴り、観客は湧き上がる。2人の兵士が入口から吹き飛んできた。そのあとに「カエデー!」と叫びながら涙で顔を濡らし腹に飛び込んだ。「ぶはァ!リルさん。家じゃないですけどただいま。勝ちましたよ。」リルさんにただいまを言った瞬間涙がでてくる。「おかえりカエデ。おめでとう!おめでとう!」ひたすら祝ってくれるりるさん。良かったやっと終わった。マルドの拘束をとく。「マルドさん。リルさんの師匠を侮辱したことを謝ってもらおうか。」「敗者は勝者の言いなりになるのが規則だ。君の師匠をバカにしてすまない。」リルさんは横たわっているマルドに近づきしゃがみこむ「いいよ。けど1発やらせてもらうから」ニコッと笑うリルさん。みんなから見れば満面の笑みだが俺にはわかる。あれはめっちゃ怒った顔だ。それは予想通りでリルさんは「これはお師匠とカエデのぶんだ!死ねー!」と雷を落とした。リルさん怒らせたらダメだわ。とにかくこれで一件落着だ。気を抜いた瞬間体を支えていた筋肉が脱力し、その場に倒れ込む。俺を呼ぶ声と体を揺すられる感覚がくるが、今だけは眠らせてくれ。意識が遠のいていく。そして眠りについた。

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