才能に関する一般的な意見と私なりの反論

 さて、昨今才能については様々な意見が言われている。


 1、才能は持って生まれた力であり、全ての者に備わっているわけではない。

 2、才能は結局遺伝であり、親の能力によって左右される。

 3、才能は神からの授かりものであり、選別された者だけが持っている。


 これら三つの意見に確証はあるのか?


 じっくり考えてみれば、どの意見にも確証がないことがわかる。うん、なになに? 自分の友人に天才がいるって? 天才に関しては後述しよう、今は社会に蔓延した才能についての意見について議論しよう。


 まず意見1 これを信じてしまうと、凡才には悲しいよね。私は凡才未満だから、この意見が正当なら、今頃愚痴ばかりが零れるだろう。


 確かに、才能は全ての者に備わっていない。とはいえ才能が生まれ持った力というのは謬見だろう。ここでいう力の在処は、脳だ。それもほとんどの凡才の原因は環境に依存する。

 これは意見2にも通じることであるが、あなたは幼少期どんな教育を受けただろうか?

 

 人間が母語を獲得するのは、幼少期の言葉の模倣による。

 

 ある本で読んだ内容だが、生まれて間もない新生児の発する声の音韻は、世界共通であるらしい。ここで主張したいのは、人間生まれた時点ではさほど能力に違いが無い、ということだ。


 なので我が子に英語を習得させたいという方は、母語獲得をしていない三歳以前から英語の学習をさせるとよいであろう。


 ここで意見2について付け足しておきたいことがある。

 意見2は才能は親の遺伝、とだと述べている。そこでよく考えてほしいのだが、プロ野球のスター選手の息子が、親の遺伝子を受け継ぎスター選手になり得るか? これも確証がない。

 逆説にみたいにはなるが、甲子園を沸かせたとあるプロ野球選手の父親は、ラグビー選手であったという。運動能力に多少の遺伝はあるにしてもこれでは野球の才能は遺伝も何も関係ないではないか――例が野球ばかりですまない。

 ちなみに身長、容姿などは、七割くらいの割合で遺伝の影響によるという。高身長で眉目秀麗も才能の一つだと思っていた人がいれば、悲しませた責任で謝りたい。


 要するに言いたいのは、スポーツに関して才能は、幼少期の運動中枢への刺激と後の訓練によるものが大きいということだ。

 ではスポーツ以外ではどうか。それこそ才能は脳に重きを置くことになる。


 カクヨムだから小説を書くことの能力を例に、才能が脳に起因することを説明しよう。

例えば、プロの小説家を目指すAとBの男性がいたとしよう。

Aは描写力、語彙力など諸能力においてBに優っている。

 AとBは同時に同じ小説を読み始めて、同時に読み終わりました。

 さて、ここで問題。AとBはこれまで読んだ本の冊数は等しく、小説を書き始めたのも同時期で、書いた文量も時間も鍛錬に割ける時間も同じです。これらの条件を踏まえた上で、先程読み終えた小説の内容を覚えている率が高いのはどちらでしょう?


 論理で答えを導きだそうとすると、両者の努力量は等しいので多分混迷する。

 この問いの答えは、両者の脳にある。

 調べてみるとおそらくAはBよりも学業成績が良い。そんな事実が何故わかるかって? それはAの方が描写力、語彙力など諸能力で優っているから。何故優っているかと言えば、それは頭の回転が速く記憶力が良いから。

 細部まで解説すると、頭の回転が速い分同じスピードで本を読んだなら、脳に入ってくる言葉の処理に余裕があるので、処理だけに留まらず記憶する作業も行われる。記憶力が良い分、読んだ本冊数が同じなら一冊からの吸収率が高く、さらに長期記憶にも得た情報が保存されやすい。

 これで才能が脳に起因する訳が、お分かりいただけたと思う。


 次は意見3についてだ。

 才能は神からの授かりもの、この論理は才能とはかけ離れた能力の話である。

 神に選ばれた者は、大概『神童』と呼ばれることが多い。

『神童』と聞くと、『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』や『交響曲41番(ジュピター)』などの曲で有名な、オーストリア出身のモーツァルトを連想するが、彼は神から力を授かったというよりも、父からの英才教育に与ったというでべきであろう。

 つまり『神童』というのは、親の教育とちょっとの素養で生まれ得るものだ。


 待たせてしまって、すまない。天才について。これは少し判断が難しい。

 なににおいて天才と冠すべきか、明確な基準がない。

 よく聞くのは、天才には精神障碍者が多いという話だ。

 とはいえ精神障碍にも種々あるので、精神障害の全般が天才になる素質を持っているわけではないと思う。

 ただし一つ証明されていることは、天才もたゆまない努力を積み重ねている、という事実だ。

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