第23コーナー「今後の方針」
赤色の部屋の——俺は座って頭を抱えた。
村絵とも水槍とも村絵とも、完全に引き離されてしまった。
詩音は相変わらず呆然と魂が抜けたような状態で、何やらブツブツと呟いている。
「ごめんなさい、村絵ちゃん。私がちゃんと側に居なかったから……」
余程、村絵と離されたことがショックであるのだろう。涙を流し、目を泣き腫らしていた。
「こんなことに巻き込まれるなんて……。早く、村絵ちゃんを見付けてあげないと……」
「ああ。そうだね」
何気ない一言に俺が同調して頷いたので、詩音は驚いて顔を上げた。
「別に死んだって訳でもないだろう。この部屋のどこかに飛ばされているのかもしれない」
村絵が死んだところを直接目撃した訳ではないので、まだ希望が持てる。扉が閉まると部屋全体の構造が変化するものと考えれば、どこかには存在しているはずである。
「こんなところでじっとしている場合じゃないよ。みんなも赤色の扉を探しているんじゃないかな? 捜してあげないと」
詩音も俺の言葉に納得してくれたようだ。
「そうだよね」と、頷く彼女の瞳に生気が宿ってく。
「村絵ちゃんも、先にゴールに辿り着いているかもね。……私達も、早く迎えに行ってあげないと!」
村絵に対する思いが、詩音の心の原動力となったようだ。
立ち上がった詩音は大きく伸びをすると、俺に手を差し出してきた。
「行きましょう。私達も!」
「ああ!」
俺も大きく頷き、詩音の手を取って立ち上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます