『過去を知って、相手を見て』

 昼食時、食堂ではお盆を持ち、列に並ぶ。突然後ろから脇腹をつつかれた。当然、やった者は後ろの人である。いつもであれば、ごめんなさいってすぐ謝ってくるのに、じと~っと見ても素振りや言葉がない。


「あっそう、もう知らん」

「やだ、ごめんなしゃいぃ~」と、相手は謝った。


 マジで怒ってるわけじゃない。ただ、両手がふさがってるのに、やりに来るなと言いたいのだ。直接じゃないけど、周りから相手の事は聞いてて、いじめられていたとか。

 入って間もない私に、交流を紡いでくれたのは、嬉しかったな。スマホで時間潰しをしていたとしても、「1人で寂しそう」という考えで話しかけてきたのは驚いた。仕事ではがんばって話してるから、休憩はなるべく1人で落ち着きたい、というのが私の思いなんだよ。

 相手を思い率先して動くが、空回りしてるのが残念な部分だな。荷物を持ってる人がいて、ドアを開ければいいと考えが働いて動くけど、「大丈夫よ、平気」と軽々やってしまうのを目の当たりにし、いじける。パッと行動に移すのが、見習いたい部分。私は最後まで見てて、ようやくだからね。いじけるに近いかも、必要なかったかーアハハ……少しショック、みたいなね。


 機嫌悪かったらすごい面倒な女性ひとだけど。良い奴さ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る