『几帳面、真面目…』

 穏やかな作業場に、怒号が飛んだ。


 納期が迫ってるだとか、残り少なくなってきたら徐々に、次の作業へ移らないといけない。


 臨機応変。ずっと同じだったのが突然変わる、頭を使うことになる。


 比較的おしゃべり、会話が成り立っているかどうか……誰が見ても、首を横に否定だろうな。綺麗に並べる子で、見ている側は気分が良い。流れる会話に時折、彼の声が入るのだ。絶妙なタイミングで、場に当てはまっている。それがおかしく、笑いが起きていたんだけど……


 段取りで変えなきゃいけない。彼の中では疑問が膨らんだらしく、乱暴な言葉が飛び出した。納得した様子が垣間見えるのも一瞬で、しばらく荒れていた。


 塩らしくなりかけたのは、計算かもしれない。だとしたら、これまで良いタイミングで何か言っていたのは、まわりの話をしっかり聞いてて、相槌を入れていたのかも。


 利用者と男性職員さん、怒りの色を含んだやり取り。


 温厚な男性職員さんだったから、珍しく声を上げていたのがちょっと怖かった。長く勤務してアレコレ知ってる人も少ないし、色々積もって引き金になってしまったんだろうか。



 弟みたいで可愛い男性ひと。「てとちゃんがやってくれるから」って、次第に私の手元は山積みに。「やってくれるからって……大変やで」女性職員さんが様子見ながら、渡してくれた。

 急げば出来ないことも無いけど……。やること増えすぎたら、どれを優先すべきかフリーズするんだよね……。何も言わないからって、何でもOKなわけ無い。断る理由探して疲れはてるなら、少々無理して引き受けるか、って思う。すこし厄介な人、って思っといてもらう方が都合良いのか? なんて、ふと考える。



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