『手先の器用さ』

「覚えておいて欲しいって事ですか?」


 まだ、ひとつき…のような気がするけど、穏和かな性格が心の距離を無くしてくれる。ショートヘアでゆるふわの女性職員さん。茶髪が似合うの、いいなぁ。元美容師さんだから候補に選びました、器用そうじゃん?


 ひたすら包装をしてほしいのだよ。


 他に居るのは気分屋さんだからね。私も気分屋だけどさ。

 紙じゃなくてビニール素材。つるつる、見えづらいし、手に汗だとやりにくい。


「元美容師さんだから、器用だし、いけるんじゃないですか?」って、男性職員さんが話しかけた。その返しは、「あれ結構アバウトなんですよ、これは性格出ますよ」


 アバウトってまじか。おもしろい話が聞けた。ぜーんぶまとめて “器用” だと思ってたから、というか、そういう括りにするなぁ。想像から出した答え、経験から出てくる答え。意味が違ってくるね。


「てとちゃん、これは大丈夫?」


 なかなかOKを出さない私だからか、いろいろ気にする素振りが伺えた。基本的にはOK。細かく見ていけば出てきますが。


 完璧にしたい欲が出た。8割、9割出来てるのに、残りは自分の欲求ですからね。求めるのもどうかと思って。一生懸命を焦らせてはいけない。



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