『まっすぐな子』
まっすぐな子、と聞いて思い付くのは、どんな事だろう。
誠実?
純粋?
こういうのを想像していたら、痛い目に遭う。
親子のように、距離が近くお世話になった女性職員さんがいた。その職員さんは、利用者(障害の子たち)を「まっすぐな子やから」と言っていた。
裏表のない、純粋と捉えていた私。
仲良くできるんじゃないかと、歳の近い男性を普段の会話で耳にするようになる。控えめ、だと思ってたが出掛けたがり。気に入らない事があると途中で帰ってしまう人だった。
気になってはいるけど、途中で帰るため接点が無い。職員さんを通して思いを結ぶことにした。手紙のやり取りからLINEを交換するにまでいく。
と、シンプルに書いたけど、ショートメールで済むのにどうしてもLINEがいいとか。メールをしたいだけなら方法は探せばあるのに、私の言葉が届いてる気がしなかった。
「機種変更したから」で済むところを、「前使ってた携帯がダメになった。今使ってるのはできるからこっちでメールしよう」
男性から送られてくるのは、ひらがなのみの文面。ショートメールをするのに番号は渡してある、アプリを入れたら知らない間に入ってるはず……初期設定なら通知がいくのに。
新しい携帯に変えたのかと聞いても、同じ内容が繰り返し。
まるで謎解きゲーム。ひらがなばかり、案外読みづらい。意味もどっちなのか、すごく悩む。改めて言葉を知ってること、漢字を知っておく事が大事だと認識した。
仲良くなりたい一心で、一生懸命になっていた。悲観的な性格だと分かってきて、プラスの考えを示したら何か変わると期待しただけに、暗いトンネルから出ることの無い彼。足元が沼へと沈む気分から逃げたくなった。
今は、受け取るのみのLINE。
気が向いたら、スタンプを送信した。思いっきり気に入られてるっぽく、愛想悪い返しでも彼は変わらずだ。
同じだと安心、
同じだと落ち着く、
違うことに戸惑う、
変わるのが苦手、
言葉のまんま、まっすぐ。
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