『あの子、どういう子?』

 支援学校から体験を通じて、作業所という流れになる。それに気づくまで時間が掛かったなぁー、チクチクと刺さる事を言われたりした。普通という場所から作業所へ行った私は珍しい存在だろうな。それよりも、人と接することを避けてきたのが大きく躓いた原因だと思った。


 ざっくりと担当場所があるだけで、必要に応じて動かないといけない。


 女性職員(健常者)が尋ねてきた。

「入ってきた子、どういう子?」

 その職員は主に食堂だった。一階の作業場へは空いた時間に来る程度、喋りはせずとも私のほうが新人を見ている時間は長い。


「丁寧にするけど、気に入らないと乱暴な言い方かなー。何か思うことはあるみたい」

 女性職員は、「そうなんや、ちょっと怖いねー」と言った。


 うん、ちょっと怖い。時々、声を上げるし。言葉並んでなくて、叫びに近いんだよねー。役割をもらっていたら、丁寧にやっている所を見た。




 知らないうちに、気に入られてる場合があった。たまたま隣にならんで作業をしていると、タイミング良く次の資材を渡してくれた。

 人のこと良く見ているなーって思った。たぶん作業スピードが偶然合い、一緒に居ると楽しいになったんだと思う。

 仕事での経験、年齢も上なのに可愛い。女の子と言いそうになってしまう。現在の印象はズル賢い。


「こっち!」と指差しの意思表示しかない女性がいる。うまく話せないから全て行動での訴えとなる。

 真似っこ上手で可愛らしい。覚えてしまえば何でも速く、神様から与えられた才能かと思ってしまう。

 一緒に掃除することがあり、私も定着してきたと感じていた。なのに、離れてする事となる。職員さんから女性の様子を聞いて驚いた、私と一緒じゃないそう知るとパニックになったんだと。


 断片的にしか言えない子、行動で示すだけの子。なにか通じ合えたと感じたらすごく嬉しくなった。

 柔軟な考えをして、気持ちのパズルをはめていく。時にはそれを職員さんに言ったりして交流を図る、様々な視点や考え、良い学びの場となっている。



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