第2話 歓迎会
「こちら惑星トリアムアルファ航路管理局、入港を許可する。ビーコンに従って航行せよ。」
惑星トリアムアルファの星首都サレムでは遭難船からの連絡を受け入港を許可し、受け入れ準備に取り掛かった。
「良かった、これでひと安心だ。」
エンデバー号では連絡がついてホッとしていたがワープ航法が故障で使えず通常のパルスエンジンでの運航で到着まで数週間掛かってしまった。
この星最大の工厰に到着しみんな無事下船をはたした。
ワザワザ首長が出迎えてくれた。
首都星地球からの来客は数十年ぶりとのことで歓迎ムード一色だった。
だがこのトリアムアルファは人類にとって108番目の惑星開拓地で最も辺境にあり人口はわずか17万人足らずであった。
今も日に日に減っている。
星首都でありながら地球の田舎の空港よりさびれている。
鉄骨むき出しの管制塔、軍用の払い下げのレーダーサイト、砂塵と土埃が舞っていた。
「ようこそ、地球の皆様、大変な目に遭われましたな。」そう言って首長は船長と握手した。
「私たちは最大限の支援をお約束致します。どうぞご安心下さい。」と続けていった。
「ありがとう。皆に成り代わってお礼申し上げる。」と船長も挨拶した。
「さあさあ、お疲れでしょうがとりあえず迎賓館へご案内致します。」そう言うとバスがやってきて問答無用で全員バスに乗せられてすぐに迎賓館へ向かった。
窓から見る外の景色は半砂漠のような所で廃墟ばかり目立った。
一頃は賑やかだった頃もあったのだろう。
首都と言うのに人の住んでいる家はカプセル状のバラックばかりで入植当時のままの物がほとんどであった。
皆黙って外を眺めていたがあまりのさびれ様に「この星の入植は失敗したのか?」と思っていた。
30分程で迎賓館のゲートをくぐり抜け敷地に入るとそこは別世界で芝生が一面に覆いナチュラルガーデンの庭園が広がっていた。
ドーム状の建物の中に入ると建物全体が大きな温室園になっていて様々な植物が生い茂り、きれいな空気を全身で感じることができた。
その中庭の大きなテーブルに案内されて全員席に着いた。
テーブルにはグラスや食事の準備がすでに用意されていてシャンパンやジュースが注がれていった。
首長が立ち上がってグラスを片手に持ち「改めまして惑星トリアムアルファにようこそいらっしゃいました、地球の皆様。歓迎致します。どうぞゆっくりおくつろぎ下さい。」
「皆様には担当の者をお付けしますので滞在中は何でもお申し付け下さい。」
そう言うと乾杯した。
首長や大臣、有力者らしい人物らと船長は歓談し音楽も演奏された。
学生達は少し退屈したが我慢して飲み食いしていた。
迎賓館は宿泊もそのまま出来るので歓迎会の後個室へ全員案内された。
就寝前に全員談話室に集められてこの後の事を話し合う事になった。
船長、航海長、機関長は船の修理のため工厰につめることにして学生達は指導教官と一緒にこの惑星の見学をする一方、実習生として開拓の手伝いをすることになった。
学生達の本心はそんなめんどくさい事はしたくなかったのだが従わないと単位がとれなくなると言われると黙って従うことにした。
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