第13話 じゃがいもを巡る攻防

台所で料理をしていると父がやたら覗き込んでくる。物理的にも精神的にも邪魔である。

「この食材は何か? これは何の料理を作る上での、どのような工程なのか?」

あなた前世で料理人に毒殺でもされたんですか。



「おい! これは何だ?」

「じゃがいも切ったんだけど」

「そうじゃない! なんで水に漬けてるんだ!」

「(切ったじゃがいもで正解じゃん)空気に触れて赤く変色するのを防ぐためです」

「こんなに水に漬けていたらビタミンが溶けるだろ!」

「ああ、普通の野菜と違ってイモ類のビタミンは水と熱に強いんだよね」

「……デンプンが出てしまうだろ!」

「え、デンプンって要は炭水化物でしょ? お米も普通に食べてるし、別に積極的に摂らなくてもいいんじゃないの? お父さん医者にも注意されてたでしょ」

「……。」



――そんな悔しそうな顔しなくても。

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