第11話 ※土日祝日は運休

母が家にいた頃、月イチの父の通院は母が車で送迎していた。

しかし、父は母に「△△△!」だの「××××!」だの(文字にするのもはばかれる)暴言を吐き、この家から追い出してしまったのである。

病院の予約票は二日後の日付だった。


「いいんだ! 自分でバスで行く!」

「はあ、そうですか」

「おい! 市民バスの時刻表調べろよ!」

「(その辺を含めて『自分で行く』では…)ええと、朝6:32に公民館前から乗って…」

「何!? もっとゆっくりの時間はないのか!?」

「う~ん…次の7:42でも間に合うかな」

「だろ! まったく! よく調べろよ!!」

「(いちいち金切り声でリアクションしなくても…)で、終点の市役所前で降りて…」

「うむ」

「そこで27分待って、9:15発の市民会館行きに乗り」

「…ん?」

「郵便局前で降りて、次は、えっと…」

「お、おい! 一本のバスじゃないのか!? 直接○○医院に行くバスはないのか!?」

「ないです」

「もっとちゃんと調べろよ!!」

「ないです(断言)。お父さん、生まれた時から××市(かつて村)に住んでるんでしょ。交通網が発達していたら、ここまで寂れた街にならないよ。宅配のピザすら届かないんだよ?」

「……。」




翌日。仕事から帰宅すると、父は満面の笑みで言った。


「病院に電話して、予約は土曜日にしたぞ! お前仕事休みだからいいよな!?」


……何がいいのかはよくわからないが、自分の父親が一人でバスに乗れないタイプだということはよくわかった。

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