第3話 車庫入れ

車庫入れが苦手である。

家のガレージに前進で入れたい。

車庫出しはスムーズにできて問題はないのだ。バックで入れる必要性は見当たらない。


しかし父は私を鍛えたくて仕方ない。


「慣れなければだめだ! 鍛えろ!」


慣れる前に事故ったらどうするのか、という問いかけには返事がない。

とりあえず父の監督のもとバックで車庫入れに挑戦する。


「オーライオーライ!」


ふむ。そろそろストップかな。


「はいっ! オーライ!」


……えっまだ入れるの?


「オーライ! オーライだ!」


いやもう無理……。


「オーライだって!!」


え……ええ?


『ガンッ』


……。



「ああっ! おい! オーライって言っただろ!」

「いや……だって『オーライ』って言うから……」


「ん? ……あ。俺が悪いのか。うん……」


どうも「OK」って言えなかったらしい。


その後あんまり車庫入れに口を出してこない。

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