第3話 メガネなしで簡単に3D映像を見る方法
先輩に付き合ってもらってるうちに俺の霊感もアップしてきて、幽霊のいそうな所はパッと見当がついて、じいっと目を凝らさないでも幽霊の姿が見えるようになっていった。
ああそうだ。
幽霊とは関係ないんだけどな。
片目が使えなくなって、一つ発見したことがあるんだよ。
目って、左右二つあって、二つの画像を掛け合わせて、物の立体感を感じてるんだよな?
片方が使えなくなって、右一つだけの画像で、やっぱり立体感ってのは乏しくなってるのかなあ……って思うんだけど。
ここで発見。
片目でテレビとかパソコンで映像を見てるとな、立体に見えるんだよ!
知らなかっただろ?
いやほんと、試してみろって、面白いから。
……「ルパン三世」のオープニング(※)? あ……、あったな、そういう記事。うん、そういうことだよ。……チェッ。
お薦めはドローンの空撮とか、珊瑚礁なんかの水中ダイビングの映像な。ウミガメなんか空を飛んでるみたいだぜ?
不思議なんだよな、両目で見てるとテレビの映像なんて全然立体的に見えないのに、片目で見ると立体に感じるんだよ!
リアルの世界を見るとかえって平面的なのにな。
なんでか考えてみるに、
一眼でも、レンズの焦点があって、立体の情報ってのはその画像の中に含まれているよな?
実は立体情報の含まれた画像って、実は左右二つの画像を脳内で掛け合わせて作った立体画像と、同じなんじゃないか?ってね。
ただ、普段は写真とかテレビの映像とか、立体としては、紙に印刷された平面、箱のモニターに映った平面、としか、立体物としては紙やテレビの箱を見ていて、そこに映った画像は脳内で「平面」としか認識されないんじゃないか?
片目で、立体物の立体情報を外して見ると、レンズを通した立体情報を含んだ画像の、その立体情報が、脳内でダイレクトに立体情報として認識されるんじゃないか?
ってな。ややこしいな。ま、ニュアンスは分かるだろ?
もしくは、単純に、
片目だと処理出来る情報量が少なくなって、ぼけた部分が無視されて、結果的にピントの合った部分が強調されて、立体的に見えるんじゃないか、と。
実際片目でテレビとかパソコン見てるとすげえ疲れるからな。
試す時は程々にしておけよ?
とまあ、幽霊には関係ない話だったんだけど、
ちょっと似てるかな?とも思うんだよな。
見方を変えると、平面が立体に、立体が平面になる。
いわば、次元が変わるんだよな?
幽霊……この世をさまよっている死者の魂も、そういう、この世なんだけど、次元がずれちゃって、お互いに認識出来ない、そういう狭間の存在になってるんじゃないか?ってね。
そんなことを先輩に言ったら、
「へえー、面白いことに気がついたね」
って褒めてくれたよ。
「よし。わたしも帰ったらさっそくムキムキのボディビルダーの映像でも見てみよう」
って、思いっきり見透かした目でニヤニヤしてな。
そういう人だったよ、先輩って人は。
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(※)「ルパン三世」のオープニング……2015年の第4シリーズ(青ジャケット)のオープニングを片目で見ると立体的に見えます。神風動画制作の「ジョジョの奇妙な冒険」第1~3部オープニングでも同様の効果が見られます。……改めて調べてみたらけっこう知られた話のようで……チェッ。
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