第13話 邪悪なる衝動


あまりにも永くあなたを待っているので

今が現世かも来世かもわからないのです

光よりも速く走れる子どもがいたと聞きます

愛すればこそ暴いてしまうのは

私のせいでしょうか


瑠璃色の海に火種をまいたのは

誰に背負わせる罪でもないけれど

庭に白い山茶花が咲くのは

私のせいでしょうか


ここが上か下か それだけの違いなのか

言うなれば金でしょうか

それでも大きな目が落ちたら

無常過ぎる無情の理ですか そう言い切りますか


あなたの優しさなど これっぽっちも

本当にこれっぽっちも 怖くないのに

庭に白い山茶花が咲くのは

私のせいでしょうか


あまりにも永くあなたを待っているので

いっそ夢に見てしまいそうです

ただの切なさであればいいのに


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る