16歳 夏
高校2年生の夏休み。
受験なんてものも大して考えないでいいし、学校生活にも慣れて、宿題もさっさと終わらせてしまった。
部活も特にしておらず、お金も大してないわたしは暇を持て余していた。
涼しい部屋にこもって携帯をいじっていた。
〜♪
当時わたしは、mixiをしていた。
特に目的もなくそれこそ暇つぶしに登録していたmixi。これがわたしのネット恋愛の始まりとなる。
もう詳しいことは忘れてしまったが、友達申請的なものが届き承認したら投稿が見れたりメッセージがやりとりできたり、、、
確かそんな感じだっただろう。
相手は20歳。ギターの写真がアイコン。
暇を持て余していたわたし。
好奇心旺盛なわたし。
年上の男の人に憧れを抱いていたわたし。
承認し、すぐにメッセージが届いた。
名前はここではAにする。
Aは20歳で社会人。
やりとりしていると家が近いことがわかった。それからわたしの夏休みはAとメールをすることが楽しみになっていった。
夜9時半、毎日この時間にAからは返信が来る。わたしはそれが楽しみだった。
Aはわたしの知らない事をたくさん知っていた。ある日Aは言った。
「会ったらキスしようね。」
わたしは16歳だ。
中学生の時、特別好きなわけでもない同級生に告白されて付き合ったことはあった。
と言っても一緒に2回くらい下校して夜何回か家の電話で電話をした。それくらいの付き合いだった。
「キスしようね」
わたしはすごくドキドキしていた。
好奇心でいっぱいだった。
Aは続けて言った。
「ディープキスもしよう。」
わたしは想像した。
ディープキスなんてものは噂でしか聞いたことなかった。想像したことがなかった。想像だけで気持ち悪かった。
絶対したくない!!!!!がその時の率直な気持ちだった。
それからも何も知らないわたしの好奇心を刺激してくるようなことをたまに言ってきたり、気付けばわたしはどんどんAにハマっていっていた。
やりとりを始めて2週間ほど経った時、わたしたちはついに会う約束をした。
暑い日だった。
自転車でわたしは地元の駅まで走った。ドキドキしていた。ネットで知り合った人と会ってはいけないと何度も学校や親に教わってきた。それをやぶるドキドキ。そして何よりもここ毎日わたしを刺激してきた年上の男と会うドキドキ。
待ち合わせ時間ちょっと前、わたしが駅に着くと同じ頃白のワゴン車が入ってきた。
そして男が降りてきた。Aだ。
Aは背が高く細く子犬みたいな顔だった。わたしはドキドキした。想像してたよりもずっと好きだった。
挨拶をしてAの車に乗った。
Aは後ろに乗ってと言った。
地元だからバレたらいけないし、と。
そしてわたしたちは他愛のない話をしながらちょっと山の公園に行った。
コンビニでごはんを買った。
Aは車内でわたしに聞いた。
「ホテル行く?」
わたしはドキドキしていた。
ホテルっていうのはラブホテルだ。
それくらいはすぐに分かった。色んな気持ちがせめぎあった。
細かくは忘れてしまったが、わたしたちはホテルにいた。
初めて行くラブホテルにドキドキした。
思ったより普通の部屋でわたしはちょっと落胆した。(ピンクでふわふわで可愛いお部屋を想像していたからだ)
ソファに座る。
隣同士でコンビニで買ったご飯を食べる。
Aが近づく。わたしは察した。キスされる。わたしはちょっと離れた。
一瞬だった。キスされた。そしてあれだけしたくなかったディープキスも。一瞬だった。あっけなかった。
ネット恋愛のこと はむ @b104
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ネット恋愛のことの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます