裕
どれだけの人の迷惑になっただろう。でもそんなの気にしている場合じゃない。図書室で辺りを見渡す。取り合えず適当に本を選ぶ。すると横に居た男の子が、
「…愛?」
と私の名前を口にする。こっちを見ている。怖い。なんだかよく分からないけど、この子と一緒にいると怖い。私の目の前にある本棚のジャンルは「社会・事故」もっと怖くなる。私は本も借りずに速足で図書室から逃げる。
「…あっ」
その男の子は図書室の出口まで追いかけてきた。怖い、怖い、怖い。自分の中でも余裕が無くなってるのが分かる。とにかくあの子の近くにいるとめまいがする。なんなの!?あの男の子…私はあの子の名前を知らないのにあの子は知ってる?私が記憶喪失だとでもいうの!?それともあの子がおかしいの?きっとあの子よね、私が記憶喪失だったとしてなんで名前とか母さんの職業も自分の成績も覚えてるのよ…
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