第17話 女風呂を覗きたい!

「それじゃ、まずはダンジョンの成り立ちについてね!」


一通りの食事をおえて、やっと本題の講義が始まる。

なお、食事はキャンプの土定番のカレーだった。魔法のおかげで、野外なのに現代日本では考えられないほど快適な料理環境で調理ができ、しかもイオリさんの料理がうまい(以外!)琴音ちゃんも普段から手伝っていたようでスムーズに準備が完了し、とても至福の時間でした。


ちなみに、木梨君も幸せそうでした


「この世界ではダンジョンっていうのは、実は誰が作っているかはっきりとわかっているのね。」


へぇ、ダンジョンって謎だらけのイメージなのに


「まず小人種と呼ばれる人がいます。ノームやドワーフがこれに準ずるんだけど、彼らはみな生産系が得意な種族になるの。ノームが錬金、ドワーフは鍛冶が得意で、あ!あとは妖精とかもこの仲間でフェアリーっていうの調合が得意よ。化粧品は彼らから貰うの。」


いきなり、超重要な情報が混ざってきた。化粧品は妖精メモメモ。琴音ちゃんの目の真剣度が急に増した気がする。わかるわ。まぁ、それ以外は妥当なのかな?ノームは小人というか精霊だっけ?どうでもいいか。


「それでね、レオンっているじゃない?レオンは蛇鱗族の系統なんだけど派生した変異種で特別な種族に分類されてるの。まぁ、牙旺族は【変身の力に特化した蛇鱗族】っていうのが学術的な分類なの。何でレオンの話をしたかっていうとダンジョンマスターもこの法則に当たるからなの。モールマンっていう種族がいるんだけど、まぁ見た目はモグラさんなのね。土木、建築に強くって各国が重用している種族なんだけど、そのモールマンが使う魔法の一つに【建造】って魔法があるの。」


「魔法ですか?」


「そう、魔法ね。」


「魔力を代償に建造物を生成維持する魔法」


「ってことは魔力が無くなれば消えてしまいますよね?長期間は利用できないし、魔力供給し続けないといけない魔法ですか?あ、そうか。」


なるほどね。私は勝手に納得する。


「そう、もともとは仮組の足場だったり、間取りを決めたりするときの仮家具だったり一時的な利用方法だったの。でも、【建造】ってレベルが上級になると、ほとんど全ての物が再現できるようになる。」


「そこで、モールマンは考えたの魔力循環ができる装置を作って自分に魔力を吸収し続ければ、永遠に【建造】で作られた建造物を維持することができると。それは、便利とか不便ではなくて物作りをする人の夢みたいなものだったみたい。それで、【建造】に特化した人たちが覚えた新しい魔法が【迷宮】って魔法なの。この【迷宮】を使えるモールマンを便宜的に【迷宮族】って呼んでるの。」


そのあとも、小一時間ほどダンジョン講義が続きいろいろな事が分かった。


・迷宮族が作った物すべてをダンジョンと呼び、城、洞窟、平原となんでも作れるらしい。


・迷宮魔法を使うとモール族は生命をささげたダンジョンコアと呼ばれる魔力吸収装置の球を生成することができ、壊すとコア主が死んでしまう。


・コアは絶対にダンジョン内設置、マスターはダンジョン内から出られないなど、ダンジョン制約がいろいろとある


・また、便宜的にダンジョンが必要な魔力の事をDM(ダンジョンマジック)と呼び、迷宮族との交渉のため数値化している。


・ダンジョンは生物の生命活動を中心に魔力を吸収することができる。基準は人が一時間ダンジョン内で息をすると1DMとなる。


・物もダンジョン産でないものは長時間放置すると吸収される。


・迷宮族はDMを集めるために人を呼ぶ。モンスター召喚装置(このモンスターは、魔物と基本同じだが、ダンジョン内のみに生きることが可能で外には出てこない)や宝箱(ダンジョンから唯一外に持ち出せるものが入ってる)などを利用して集客する。


・DMは生物が死ぬと一番多く手に入るが、継続的には殺さずで滞在するようにするバランス型のダンジョン構成が今の流行らしい。


・昔は危ないのもあったが、危険なものは攻略隊が派遣されコア討伐をされるので、減ってしまった。


・ダンジョンマスターは不老不死となり基本ダンジョン内では無敵。コア破壊でのみ死亡する。


・コアを失ったダンジョンは普通の建造物や洞窟となり再生機能と制約を失う。なのでモンスターが魔物化して流出する可能性がありとても危険。


これらが基本的な知識らしく。迷宮族はすでに表舞台に出て他の人種と交渉しているため有名で、ダンジョンは商業的な成功も収めているらしい。組合とかあるんだって


「それで、このダンジョンなんだけど、組合にも登録されてないみたいで、場所もダンジョンがほとんどない場所なのよ。だから、昂暉のカンでは「新人マスターじゃないか」って。だから、最奥まで行って交渉できれば義勇軍的にもいいことあるかもって」


「戦争には行くんですよね?そんな日程的な余裕があるんですか?」


「はははは、まぁ、もう開戦していて手遅れなんだけどねぇ。私たちだけ先についても、ゼノグラン帝国本隊が来ないないと交渉もできないからね」


笑うとこ!?


「だいたい1週間後くらいに、現地に着くみたい。だから、このダンジョンの攻略は戻る時間をいれても2~3日かな」


「ダンジョンの攻略ってそんな短期間で出来るものなんです?」


「若いダンジョンなら2~3階層ってのもなくはないわ。ただ、今は若いダンジョンは保護されて、すぐ大きくなるから私は見たことないけど。まぁ、ここのダンジョンは情報が無いから明日見て判断しましょ。」


うむ、なかなかわくわくしてきた。ダンジョン探索っていってもお宝あるし、イオリさんという安全マージンもあるから楽しい探検だね。私と同様かは分からないが木梨君と琴音ちゃんもいい顔している。探索を始めるにはいいモチベーションだ。まぁ、もうダンジョンの中ですけどね。


「それじゃ、今日はもう寝ましょうか?」


「早いっすね?」


「まぁ、セーフティーゾーンって、どこにあるかわからないし見つけたら夜が明けるまでそこで待機が鉄則かな。そうはいっても、もうは20時だし。」


そういって、ポケットから時計を取り出して確認する。


「そういえば、時間確認する道具って持ってないや」


「あら、それはまずいわね。あっちゃんに言えば出してもらえるから」


「そうなんですね。戻ったら頼んでみます。」


「二人は大丈夫?」


すると、木梨君は冒険鞄と呼ばれるバックから携帯を取り出す。


「これじゃまずいっすよね。」


「そうね、赤阪の外では充電できないなんてザラだしね。」


都市部だと、ある程度電気も普及してるらしい。ただ、発電は魔法なのだとか。インフラの概念はあるだな。


「私は自前のがありますー!」


琴音ちゃんは嬉しそうにそういうと、袖口から可愛いデザインの時計が見える。


「それ大事なもの?」


「そうですね。高校入学祝いに母に買ってもらいました!」


イオリさんが少し表情を緩める


「じゃ、赤坂にいるときだけにして、冒険とか戦争とかは支給品を使うといいかも、壊れちゃうことも多いしね。なぜか、日本から持ち込んだものって修理魔法は効かないから、手作業で直す必要があるし。」


「そうなんですか!?じゃ、外さなきゃ」


そういって、バックに入れようとすると


「よかったら、私が預かろうか?収納バックだったら安全だし?」


「え?あぁ、そうですね。よろしくお願いします!」


そういって、琴音ちゃんは腕時計をイオリさんに渡す。多分、あの時計は琴音ちゃんにとっては形見みたいな存在なのかもしれない。一秒も手放したくない、そんな感情が行動の節々から感じる。


「よし、お風呂にはいろ!」


「「「え!?」」」


そういうと、収納ポケットから大き目のバスタブを出した。イオリさんはスキルを強くする代償に水魔法を封印しているらしく、生活用に水を出す魔法球を常備しているのだが、さっき壊してしまったので私と木梨君で頑張って水をためる。2分くらいかかった。そして、イオリさんが手を入れポンと1秒で湯が沸く。魔法って不思議


「あの、俺も入っていいんですか?」


良からぬ事を期待して、もじもじ質問する小僧。おまえなんか小僧で十分だ!


「もちろん、いいわよ後でね?」


そういうと、バスタブを大きく囲うようなカーテンセットが収納ポケットから登場し木梨君の視界を遮る。


「あ、覗いたら燃やしちゃうわよ~」


そうイオリさんは明るく脅す。こわい


その後、三人できゃいきゃい言いながらお風呂に入り、悶々と待っていた木梨君がお風呂に入る。その横顔は真っ赤に染まっていた。男の子も大変だね。


女三人の残り湯をどう使おうと、本人の勝手だが焼身自殺をする気はないと思うので、普通に体を流したのだろう。


なんか、不憫だわ木梨君。










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