第4話 東邦義勇軍の元帥
二次元で許される見た目もリアルでやると
ここまで、気持ち悪いと思わなかった。
「お?来たか新人!」
人とあいさつするときは、逆様ではなく
正対した方がいいと思うの。
「昂暉…」
イオリさんの強い口調に、ただならぬ気配をを感じる。ここは沈黙が正解か!?
「すみません、降りるので許して下さい。」
昂暉と呼ばれた【人間もどき】は人とは思えない
軽い体で地面に着地する。
トン
「いや、すまんすまん。無理に起こすのもなんだし時間かかりそうだから日課の筋トレしてたわ。」
気軽いおっさんはNGです。軽蔑の目線で「パワハラで訴えますよ?」的な感じで見ていたらイオリさんのフォローが入る。
「ごめんなさいね。こんなん中2病でも、ここの転移者をまとめるリーダーなの。基本的には無視して大丈夫だから。」
「ちがぁ!う。中2病ではなく軍事オタクだから!」
なんで【が】と【う】との間に空間があるのだろう。そうか、軍事オタクだからか、よし関わらないでおこう。
「それでは、私は失礼します。軍曹殿!」
見よう見まねの敬礼をして、部屋を出ようとしたのだが止められた。
「まてまて、俺が悪かった。」
「一人でも同志を増やさなければいけないからな。」
意味不明。触らないで
「俺も、40を超えるいい大人だ。ちゃんとした会話もできるぞ?」
40代のナイスな男性は半裸で赤い長髪にはしないと思います。
「ごめんね。異世界を謳歌してる派閥の人だから。。。」
「よく…この人に付いていけますね。。」
「まぁ付いて行ってはいないけど…それも、これから話すわ。」
「じゃ、まず自己紹介からだな!」
「あ、この人は中田昂暉で組織のトップね。あと、あなたはしばらく黙ってて」
ボン
軽い爆発音と共に昂暉さんは壁に吹っ飛んで焦げている
辛辣うぅ
とちょっとした異世界ショートコントを挟んんで
私が昂暉さんに対しての警戒心を解くそぶりを見せないので、本人に自己紹介もさせずにイオリさんが事の成り行きを説明し始めた。
細かいことは、この世界で生活しながら覚えていくとして重要な事柄を整理すると
・この異世界はグランフロントと呼ばれていて、いわゆるファンタジーな世界になっている。
・この組織の名は【東邦義勇軍246】。最大目的は現代日本への帰還方法の模索、それに伴い必要があれば軍事行動を起こす。
・組織の発足は、昂暉さんとイオリさんと仲間たちによって20年前に転移された【ファーストコンタクター】と呼ばれる人たちによって作られた。今日までチートスキルと知識を使い、大陸中からある一定の地位を得ている。
・地位というのは独立義勇軍として、各国との交易と移動が許されていること。これにより世界各地でどのような探索行動も可能である。また、戦争に独自の判断で介入できる。ただし盟約として、どの望む国家とも継続的な同盟を結ぶことを義務付けられている。(先制攻撃はできない)
・転移者はこの世界では土人と呼ばれ、原住民的な人間は天人と呼ばれている。黒髪は土人しかおらず見分けがしやすい。その他にもファンタジー種族は大方いる。
・おそらく土人はすべてが日本人で、ユニークスキルというチートスキルを持っているが、スキル自体は顕現条件を満たさないことには使用ができない。
・ユニークスキルが顕現していない転移者もいる。
・土人が日本人しかいないことや、日本語で会話が成立していることなどから異世界というよりは、日本と関係のある異空間のような所に閉じ込められていると判断しており帰還が可能だと考えている。
・また、転移者のほぼすべてが日本での記憶を有しており、時間間隔が日本の1年がGF(グランフロント以後略)の5年に相当することもわかっている。
・ただし、帰還者はいない。
・現在は転移する際に白い光が立ち上ることが確認されていて、情報網から一週間以内に転移者を保護できる可能性が高いこと、2時間はたまたま。ただし、転移者はいつ来るかわからない。
・現在確認されている転移者は97名(うち三名は今回の転移者) 52名は東邦義勇軍所属
16名は近隣の町で現地の人として生活をしている(16名のうち12名はユニークスキルが顕現していない)
4人はパーティーを組んで冒険者として暮らす。2名は同盟国に仕官している。 残り20名は死亡を確認。
死亡者の内訳は軍の戦闘行為による死亡者は3名 軍内の自殺者が4名 残り13名 転移された直後に死亡か、軍非所属者
未確定だがその他の土人情報もある
・最後に、私には【義勇軍に所属して帰還する方法を探すこと】or【近くの町で普通の生活(とはいえ、中世ぐらいの不自由な暮らしらしい)をすること】or【自由】を選ぶことができる。ただし、義勇軍に所属した場合は戦闘行為は義務化される。
「なかなか、ハードな内容ですね。死亡者20名って…」
「まぁ、日本で考えたらそうね。。でも、義勇軍に所属していれば死亡率は低いの。18年間の戦争経験の中で死亡者は3名で。しかも、実際には一度の戦闘行為中でね。別に誇っているわけではないけれど、死なないように安全マージンを置いて戦闘行為を行っているわ。20年の経験も生きてると思う。おそらく、よい暮らしをしながら生きるならこれがベターだと思っている。」
イオリさんの言動に違和感を感じる。
「イオリさん、必死の勧誘ですね。。」
「本当のこと言ってやれ、どこにいても死ぬときは死ぬんだ。だから、一緒に戦ってくれと。人殺しを手伝ってくれと。代わりに、自分がで守ってやるからと」
「昂暉。。」
そうか、一緒に戦う。聞こえはいいが、戦争するだから、要は人殺しの勧誘だもんな。偽善だとわかっていても自分のそばに転移者を置いておきたいんだ。イオリさんは優しい人だ。
「なるほど…もう一つ質問していいですか昂暉さんがトップの理由を教えてください。」
正直不信感がある。トップへの不信感はクオリティに直結する。それが、社会にでて2年間で学んだことだ。
「唯さんそれはね。」
「イオリ、自分で説明する。」
「…わかったわ。」
「現行、この世界で人間…土人は種族の強さでいうとせいぜい5番目くらいだ。天人が相手なら無双もできるが、そうだな魔族とか言えばイメージしすいかな。強力な他種族も多く存在する。」
「そんな中で、軍隊としての知識を使った中規模集団戦闘を行うことで勝率を挙げている。簡単に言えば多対一を作ってくことだな。そして、その知識が多少ある俺がこの組織を元帥として引っ張ている理由だ。まぁ、50名程度じゃ小隊もいいところだがな。」
元帥…軍の統括ってことか?軍事オタクなので名乗りたいだけ?いや、以上に対外的な意味合いもあるのかもしれない。さっき、条約的な事言ってたし。
「どうする?軍に入るなら、これ以上の情報も提供するし、軍事教練の支援もする。」
「一つ、軍をやめる方法?」
「死ぬか、帰るかだな。」
ヘビーだなぁ
「昂暉。やめた人もいるわ。ただ、そのほとんどがユニークスキルが顕現できなかったからなの。」
「俺たちが天人より優れているのはユニークスキルと知識だけ。ぶっちゃけ一対一で殴り合ったら普通に負けるわ。」
「昂暉さんもですか?」
「あ?俺は勝つさ!!くっかかかか!!やってみせようか?」
「わかりました。所属します。」
「無視!?」
「本当!?よかったわ。これまでも女性を説得するのはすごい難しかったから、よかったわ。」
多分、赤髪のせいだな。
まぁ、そうはいっても本当に選択肢が無い。今の私には、戦闘手段が生活手段がない。もし、辞めるなら生きるすべを身に付けてからがいい。それに、この昂暉って人は気持ち悪いけど、たぶん大丈夫な上司だと思う。女のカンだけど。。。
「いえ、ほかに選択肢もなさそうですし、それに、異世界チートには憧れます!!」
「同志!?」
「それは違います」
無視無視
「まぁ、なんにしても一緒に行動してくれてうれしいわ。これからの事の説明と、組織のみんなも紹介しなきゃね。」
「ん?ほとんどいねぇぞ?」
「あぁ、そうか保護に行ってるんだもんね。」
「そういうこと」
「じゃ、戻るまで数日かかるから、それまで一緒に戦闘訓練しようか?ファンタジーも嫌いじゃないみたいだし。はやく、自分の身を守れるようにならないとね。」
「まぁ、ユニークスキル次第で生き方が変わるからな早く見つかるといいな」
「わかりました。訓練お願いします。」
ウーム、チートも一筋縄では行かぬか…
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